<ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12:日本9-6台湾>◇23日◇東京ドーム
憧れのレジェンドとの対面で目の色を変えた。プレミア12スーパーラウンド第3戦・台湾戦で3試合ぶりにスタメンに名を連ねた清宮幸太郎内野手(25)が、5回2死二、三塁の3打席目に右中間最深部へのフェンス直撃2点適時三塁打を放った。試合前に幼少時代から交流のあるマリナーズ会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー氏(51)から〝激励〟を受け、日本代表としての重責も感じながらプレーした。
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いつも以上に、晴れやかな表情だった。キリッとした目元には決意がにじんでいた。清宮が3試合ぶりに、「7番三塁」でスタメンに戻ってきた。今大会は一塁や指名打者での出場のみだった。試合前練習では、今大会初めて就く三塁のポジションで精力的に守備練習をこなし、感覚を取り戻す作業にいそしんだ。いつも以上に集中した顔つき。無理もなかった。
その少し前のこと。打撃練習中だった。目の前に憧れのレジェンドが姿を現した。マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー氏(51)が来場。同球場で開催された「eプレミア12」のチャンピオンシップゲームに特別ゲストとして登場した。清宮にとっては、リトルリーグ時代から交流を持つレジェンド。固い握手を交わすと、力は自然とみなぎってきた。「めちゃめちゃ。めちゃめちゃ頑張れそうです」。少年のような笑顔で、うれしそうに話した。
憧れの人の視点に驚かされた。清宮は台湾で行われた18日のドミニカ共和国戦で、中継ぎ左腕・井上からの一塁へのけん制球を捕り損ねて後ろにそらした。イチロー氏は、その“隙”も見逃さなかった。清宮は「『ちゃんと見てるから』って。『けん制は捕れよ』って。けん制まで見てくれてうれしかったです。そんなところまで…。いつも気にかけてくれているのも聞いてたのでありがたいですね」と、何度も何度もうなずいた。
いつも、イチロー氏は見守ってくれていた。今春キャンプ直前に、左足首を捻挫し長期離脱を余儀なくされた。その時も、同氏は未来の大砲の様子を気に掛けてくれていたという。清宮は「連絡とかは知らないですけど」。ただ、人づてに聞くだけでも、うれしかった。「本当に野球を愛されている方なんで。日本代表として恥じないプレーをしたい」。左胸の日の丸の重みを感じた瞬間でもあった。【栗田尚樹】