東京学芸大が23日、第57回関東大学サッカー大会(関東大学リーグ戦3部参入戦、会場は非公表)最終節で尚美学園大を1-0で破り、1位で関東3部への自動昇格を決めた。
0-0の後半35分に途中出場のMF半田祥真(2年)が決勝点を奪った。チームを率いる桐田英樹監督は「本当に良かったです。リーグ戦全て理想的な進め方ができました。選手が頑張った」と安堵(あんど)した。
関東3部から降格し、今季は東京・神奈川1部で戦った。2位で参入戦に進出すると、初戦の上武大に6-1で大勝。リーグ戦とカップ戦で3度敗れた宿敵・帝京大と、城西国際大と引き分けて、大東文化大に劇的な勝利を収めた。1位で最終節を迎え、勝てば自動昇格が決まる有利な状況で首位を守りきった。
かつては関東1部の強豪も、近年は低迷。19年に関東2部で最下位に沈み、東京1部へ降格した。1季で昇格し、翌シーズンは奮闘したが、22年に再び降格。23シーズンは新設された関東3部で戦ったが、さらにその下の東京・神奈川1部まで転落した。
今季から、OBでコーチだった桐田氏が監督に就任した。社会人として働きながら、平日1回と週末の指導でサッカーの原理原則を徹底し、選手には「成長」を求め続けた。
前監督でコーチとして残った星貴洋氏は2つ下、顧問の新海宏成氏と、夏から加入した元鹿島アントラーズの岩政大樹コーチは1つ下。20代の柴田将磨コーチや矢口達仁コーチ、岩田俊太朗GKコーチらとともに、OBたちの力を結集させた。
私立大が強化に力を入れ、「戦国時代」とも言われる大学サッカー界。資金力の乏しい国立大で関東リーグに所属するのは筑波大のみだ。東京学芸大は推薦枠やグランド事情など数々のハンディを乗り越えて、「あるべき場所」へ戻ってきた。桐田監督は「うれしいのはうれしいですけど、また来年あるので。関東に戻っただけ。うれしいけどもっと上手にならないと厳しいなというのが正直なところ」と名門復活へ、さらなる成長を求めていく。【佐藤成】