日本ハム上原健太投手(30)が「動ける100キロ」で巻き返す。今季未勝利に終わった左腕は、シーズン中のトレーニングで体重が約6キロ増で大台にビルドアップ。筋力だけを増量したことで動きの軽快さは維持したまま、オフに突入した。節目の10年目となる来季へ向けてパワーアップした土台をキープしながら、再起を期す。
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不完全燃焼だった9年目を終えた上原の肉体は、一回り大きくなっていた。「シーズン中に普通にトレーニングをして、いろいろ意識してやっていたら想像以上に増えました」。今季は94キロでスタートした体重が現在は100キロ。過度なトレーニングをしたわけではない。「摂取カロリーがちゃんと消費カロリーを超えられるように、食事やサプリメントの摂り方を見直して増えました」と効率よくパワーアップ。その上で体脂肪は「10~11%」と筋力だけの増量に成功した。
体の動きに重さは感じていない。「スプリントもタイムが速くなっている。20メートル走は2秒82から2秒78くらいになった。垂直跳びとかも全部、記録が伸びている」と身体能力はむしろ高まった。「100キロになりたいって思っていた。それが(ボールの)重さに変わってくる。しかも、動ける100キロなら一番いいじゃないですか」と笑みを浮かべた。
今オフは100キロをキープしながら野球のパフォーマンスにつなげる作業に入る。今季は開幕ローテ入りを果たしたが、未勝利。投球時の左腕が「上がりすぎ」と感じながらも修正できなかった。「サイドスローで投げているつもりでも、全然オーバースローだった」というギャップを埋め、フォームを再構築する。
現時点でも「球速よりボールの力。かなり出力が上がっている手応えはある」。8割の力感で、これまでの全力投球の強さは生み出せる。あとはフォームを含めた技術面が向上するだけ。もちろん21年オフから取り組む打者としても地道にレベルアップを図り、来季は「動ける100キロ」として1軍で躍動する。【木下大輔】