侍の「助さん格さん」なくして、プレミア12連覇の道はない。28人の戦士。出場機会が限られる男たちも戦っている。チームは1次ラウンドB組を5戦全勝。ここまで出場1試合の古賀悠斗捕手(25)は“スコアラー”としても鎮座する。ベンチでは味方野手に相手投手の特徴を伝え、ベンチ裏では中継ぎ陣に相手打者の傾向を言語化する。
国際大会では、初見の敵が潜んでいる。今回の侍ジャパンには、打撃コーチはおらず、ベンチに常駐するスコアラーもいない。古賀は「自分は大したことのない成績でジャパンに呼んでもらったので。井端監督から『こういうことをやってくれ』と言われているわけではないです。勝ちたいだけで。優勝したいので。特別なことをしているわけではありません」。当たり前のことでも、辰己は「古賀がいい事言ってくれて、助かっています」とうなずいた。
ブルペンにも「助さん格さん」がいる。チームでは大抵投手コーチが2人以上いるため、1人がベンチ、1人がブルペンに待機。ベンチからの投手交代の電話は、投手コーチ同士で済ますが、プレミア12では吉見投手コーチ1人だけ。ベンチからの連絡は中継ぎ陣、ブルペンキャッチャーが電話番として受ける。ここまで1試合登板で、左肘痛で離脱が決まった鈴木翔も、出番を迎える投手へ「力水」を渡すなど、潤滑油として走り回った。
日本のために出来ることに徹し、「静まれ~、静まれ~!」と相手をひれ伏させて白星を奪ってきた。試合出場だけが仕事ではない。日の丸という紋所は「助さん格さん」も左胸に付けている。スーパーラウンドでも変わらぬ立ち回りで、“黄門様”こと井端監督と最後に笑う。【栗田尚樹】