<明治神宮大会:東洋大姫路10-0聖光学院>◇高校の部1回戦◇20日◇神宮
17年ぶり3度目出場の東洋大姫路(近畿・兵庫)が、5回コールドの快勝で明治神宮大会初勝利&8強入りを決めた。先発したプロ注目の最速147キロ右腕、阪下漣投手(2年)が聖光学院(東北・福島)打線を相手に5回を投げ2安打無四球と快投。初の全国大会で完封デビューを飾った。打線も長打4本を含む10安打10得点の猛攻をみせた。
◇ ◇ ◇
東洋大姫路・阪下の制球力は、悪天候の中でも全く乱れなかった。最速140キロの直球と多彩な変化球を両サイド、低めに丁寧に集め、聖光学院打線を手玉に取った。5回をわずか44球でまとめ、2安打無四球無失点。全国デビュー戦で完封勝利を手にし、創部61年目の同校にとって3度目の出場で明治神宮大会初勝利をもたらした。
「強気のピッチングができた。勝利に貢献できて、すごいうれしいです」
「神宮対策」が功を奏した。大会の1週間前に、メンバー外の選手を中心に同校の練習グラウンドのマウンドを“神宮仕様”の硬めに作ったという。「硬いマウンドを作ってくれたおかげで、いつも通り投げることができました」。試合前から雨が降り続けていたが「少し足場が滑るところもあったんですけど、それは相手も一緒。雨はあんまり気にしなかったです」。
バッターとしても最後を締めた。9点リードの5回1死三塁から「絶対に決めてやる」と直球を捉えて打球はセカンド頭上を猛スピードで突破して右中間へ。10点目をたたき出す“サヨナラ”タイムリーを放ったが、勢いそのままに三塁まで走り、勝利を確信すると右拳を下から突き上げ豪快なガッツポーズを決めた。前夜は試合に備えて珍しく素振りを行ったといい「努力が少し報われたかな」と笑顔をみせた。
次戦は中1日を空け22日に東京王者の二松学舎大付との準々決勝に臨む。「どんどん振ってくるチームだと思う。今度はやっぱり真っすぐで、どんどん押し込んでいって、ピンチでも強気のピッチングでチームの勝利に貢献したいです」と力を込めた。「(同世代で)コントロールは日本で1番になりたい」と意気込む抜群の制球力を武器に、チームを初の頂点まで押し上げる。【古財稜明】