いざ原点回帰! 阪神中野拓夢内野手(28)がヒットメーカーの基本に立ち返る。
高知秋季キャンプ打ち上げから一夜明けた18日、所用で甲子園を訪問。来季はコンタクト重視のスタイルに戻す考えを明かした。今季は強いスイングにこだわり過ぎてバランスを崩し、打率2割3分2厘と本来の実力を発揮できなかった。今オフは下半身を重点的に鍛え、再び安定感を高めるイメージ。最多安打のタイトルを獲得した23年の輝きを取り戻しにかかる。
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不振の原因は一体、何だったのか? 懸命に自分自身と向き合い続けているのだろう。
「もう1回、自分がどういう打者なのか、コンタクト率を上げるためにはどういう練習をするべきか、考えながらやっていくことが大事かなと思います」
高知秋季キャンプ終了翌日。中野の両目はギラつきを失っていなかった。
初の打率3割超えを狙った今季、自己ワーストの打率2割3分2厘とまさかの数字に終わった。
「自分自身の考え方に一番問題があったんじゃないかと。その考え方をもう1回見つめ直したい」
昨季は打率2割8分5厘で最多安打のタイトルも獲得していた。なぜ成績が急降下したのか? 答えは明確になりつつあるようだ。
「去年の自主トレくらいから上半身中心のウエートトレーニングを結構やり過ぎていたというか…打球速度やスイングスピードを上げようとした。今年はそれでうまくいかなかった」
昨オフはさらなる飛躍を目指し、筋力強化に尽力した。結果、持ち味のコンタクト力を見失った。
「今年の自主トレは少し下半身を鍛えながら。どうしても疲れてくると下が弱ってきて打撃にも影響する。1年間戦う上で下半身の強さが大事。下半身をもう1回鍛え直して追い込んでいきたい」
反省は必ず糧に変える。
秋季キャンプでは若手に混じって17日間、鍛錬を積んだ。期間中の早出ジョグは日課となり、背中で若手の手本となった。打撃フォームの改良にも着手し「シーズン中より構えの部分を少し変えながらやっていました」と試行錯誤した。
「秋季キャンプで体を追い込めたのは今までなかったので、そこは良かったと思います」
充実の秋を無駄にしないためにも、今オフも例年通り古巣の三菱自動車岡崎(愛知)の施設で単身トレで体をいじめ抜く。
「しっかり下半身をトレーニングしたらどういう結果が出るのか。いろいろ試していきたい」
方向性は定まった。あとは自慢の快足で復活ロードを走り抜くだけだ。【山崎健太】