20年ドラフト1位のソフトバンク井上朋也内野手(21)が、定位置奪取を誓った。昨オフは同じ三塁の先輩、栗原陵矢内野手(28)と米アリゾナで合同自主トレを行ったが、同じ土俵で練習していては師匠を超えられない。今オフは独り立ちして国内単独自主トレに切り替え、5年目の来季に勝負をかける。同じく福岡・筑後での野手キャンプに参加中の川瀬晃内野手(27)は「全試合出場」に意欲。25年のレギュラーを目指す戦いはもう始まっている。
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腹はくくっている。プロ5年目を迎える来季へ、井上が“独り立ち”で挑む。
「今年は一緒に行かないです。クリさん(栗原)を追い越そうとしているのに、同じことをやっていてもダメなので」
昨オフは栗原に弟子入りし、米アリゾナ州で合同自主トレ。先輩とともに海を渡ったが、今年は国内での単独自主トレに切り替える。「基本的に1人でやろうかなと」。栗原はホットコーナーを争う最大のライバル。同じ土俵で戦っていては越えることは難しい。「打倒栗原」を最大のテーマに、地元の大阪や東京を拠点に一から鍛え直す。「プレミア12」でも侍ジャパンに名を連ねる最強のライバルに、三塁奪取の挑戦状をたたきつけた。
昨年9月にはロッテ小島からプロ初本塁打を放ったが、今季の1軍出場はわずか5試合。飛躍を期待された1年だったが、10打数無安打5三振と結果が出なかった。チームは4年ぶりのリーグ優勝を果たしたが「喜び? まったくです。悔しさしかないですよ」と戦力になれなかったもどかしさが募る。
花咲徳栄(埼玉)で高校通算50本塁打をマークし、20年ドラフト1位で入団した右の大砲がプロの壁にぶつかっている。5年目の来季を崖っぷちの1年と位置づけている。「来年も1軍の試合に出られなかったら、『クビやな』って。むちゃくちゃ感じている」。
今季のウエスタン・リーグでは打率2割8分8厘、4本塁打、41打点。左右投手別で左投手は打率3割3分3厘と打ち込んだが、右投手は同2割6分5厘と課題も残った。「右があまり打てなかったので。そこを詰めていけば打率も、もうちょい上がっていたかなと思う」。現在は福岡・筑後市のファーム施設で秋季キャンプに参加中。打撃練習では課題克服を意識しながら連日精力的に振り込み、この日は午後の自主練習で約1時間、本多内野守備走塁コーチのノックで汗にまもれた。「勝負は始まっている。100%の状態で2月の(春季)キャンプを迎えられるように」と目をぎらつかせた。並々ならぬ覚悟で、25年シーズンへと向かう。【佐藤究】