1993年のJリーグ創設時を知る唯一のJリーガー、J3アスルクラロ沼津のMF伊東輝悦(50)が、今季限りでの現役引退を発表した。
清水エスパルスでプロ生活をスタートし、高卒2年目の94年6月11日のガンバ大阪戦でJリーグデビュー。J1通算517試合出場は歴代9位で、ヴァンフォーレ甲府時代の2011年7月には史上初めてJ1通算500試合出場を達成した。主にボランチとして活躍。特筆すべきはそのフェアプレーだ。
J2通算25試合、J3通算18試合を合わせ、リーグ戦で560試合に出場したが、レッドカードを受けたことがなく、累積警告による出場停止もなし。リーグ屈指の出場数を誇りながら、警告数はJ1通算25枚、J2、J3各1枚の計27枚にとどめた。07年には全34試合3056分間の出場でカードなし。フェアプレー個人賞を受賞し、「フェアでアグレッシブなプレーを続けていければいいと思います」と話していた。
紳士で鉄人-。出場停止がなかったこともあって、97年8月から75試合連続、03年4月から68試合連続、05年11月からは110試合連続スタメン出場を記録した。J1の同一チームで50試合以上連続先発を3度は、フィールドプレーヤーでは伊東の他にDF駒野友一(サンフレッチェ広島、ジュビロ磐田)だけ。大きなけがもなく、常にスタメンを張り続けた。清水でのJ1通算483試合出場はクラブ歴代最多だ。
36歳だった11年に甲府に移籍。12年にJ2に降格したが、1年でJ1に復帰した。14年からはJ3でプレーを続け、沼津では22年10月30日のヴァンラーレ八戸戦でJ3最年長記録となる48歳1カ月30日で出場。50歳になった今季はまだ出場機会がないが、50歳以上でリーグ戦に出場は、同じく93年のJリーグ元年を知るFWカズ(現JFLアトレチコ鈴鹿クラブ)だけとなっている。【石川秀和】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「データが語る」)