<日本シリーズ:ソフトバンク-DeNA>◇第4戦◇30日◇みずほペイペイドーム
DeNAタイラー・オースティン内野手(33)が、先制ソロ本塁打を放った。
乾いた打球音が、球場に響いた。0-0で迎えた4回1死、ソフトバンク石川柊太投手(32)が投じたオースティンが外角の146キロ直球を強振した打球は、右翼のホームランテラス席に飛び込んだ。右拳を力強く握りしめ、痛めた左足を少しかばいながら、ダイヤモンドを回った。
「いつもそうですが、常に強い打球を打つことを心がけています。特にこの打席は追い込まれていたので、芯に当てるイメージを強く持っていました。先制点を取れてよかったです」
ベンチで放物線を見つめた牧は両手を掲げ、喜びを表現した。左足甲に痛みを抱える中、146キロの速球を捉えた強烈な打球に左翼スタンドのDeNAファンも驚嘆。対照的にソフトバンクファンで埋まった右翼スタンドは静まり返った。
第1戦の3打席目に左足甲に自打球を受け、第2戦を欠場した。28日の練習も治療に専念する中、29日の第3戦は「4番DH」で強行出場した。第1打席から左翼線へ痛烈な打球を放つと、激走で二塁へ。2四球も選び、3打数1安打3出塁の活躍で、チームの勝利に貢献した。
自身の状態について「正直良くないですけど、出られる方法を模索して今日に至った。チームのトレーナーに非常にいい治療をしていただいてますけど、期待したペースでは、正直まだ腫れは引いていないです」と吐露。それでも、チームの勝利に「何より1つ勝てたことをうれしく思います」と笑みを浮かべた。
欠場した第2戦の試合後、治療を終え、球場を引き揚げる際にオースティンは「自分以上にあの場に出たいと思っている男はいないと思います」と覚悟を示した。この日の2回には、チーム初安打となる中前打をマーク。背番号「3」がバットと背中でチームをけん引した。【久保賢吾】