<ワールドシリーズ:ヤンキース2-4ドジャース>◇第3戦◇28日(日本時間29日)◇ヤンキースタジアム
【ニューヨーク28日(日本時間29日)=四竈衛】ドジャースが「ビッグ&スモール・ベースボール」で3連勝-。フレディ・フリーマン一塁手(35)が、ワールドシリーズ(WS)3試合連続アーチを放った。初回、強行出場した大谷を一塁に置いて右翼へ弾丸ライナーの先制2ラン。ブレーブス時代の21年から通算でWSタイ記録となる5試合連続弾となった。ド軍打線は豪快弾とスモール・ベースボールを織りまぜた攻撃で快勝。20年以来4年ぶりの世界一へ王手をかけた。
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敵地ヤンキースタジアムを黙らせるフリーマンのひと振りだった。初回1死一塁。同地名物で、試合開始直後にヤ軍選手の名前を呼ぶ恒例の「ロール・コール」をかき消すかのように、ヤ軍ファンで埋まる右翼席へ2ランをたたき込んだ。左肩の負傷を押して出場し、四球で出塁した大谷が走る必要のない最高の形で先制。ヤ軍の機先を制す1発で主導権を握った。
右足首の捻挫でリーグ優勝決定シリーズの第6戦を欠場するなど、体はボロボロの状態。痛みの影響で踏み出しても踏ん張れず、インパクトの際にねじれるため、一時は打撃の調子が下降した。それでも、WS初戦の逆転サヨナラ満塁弾から3戦連発と、驚異的な勝負強さでド軍打線をけん引してきた。「今はリーグ優勝決定シリーズの時ほど悪くはない。休養日が助けになったのかもしれないが、自分のスイングができるようになったからだと思う」。7回には一塁から三塁へ激走。身を削るような姿に、ド軍ベンチも沸いた。
主軸の「ビッグ」な一撃だけではない。4回の守備では、左翼T・ヘルナンデスが好返球で二塁走者スタントンを本塁で刺し、反撃の目を摘んだ。3回1死二塁からは、ベッツの詰まった打球に対し、二塁走者エドマンが好判断で三塁を蹴って生還。貴重な追加点をもぎ取った。攻守に大活躍のエドマンは「ソトの右翼の位置も見ていたし、一塁を越えると思ったよ」と当然のプレーのように振り返った。6回には、今季5盗塁のラックスが二盗に成功。K・ヘルナンデスの打球が中前へ抜けると、決死のヘッドスライディングで本塁にタッチした。
豪快なアーチに「スモール・ベースボール」を加味した理想的な戦いで、頂点まであと1勝と迫った。シャワーで汗を流し終えたフリーマンは、いつになく口調を強めて言った。「このロッカールームにいるみんなが信じ合っている。トミー(エドマン)の走塁、ギャビン(ラックス)の盗塁など、そういうことが10月の試合なんだ」。勝ち方を知る西の盟主に、現時点でスキは見当たらない。
▼フリーマンがワールドシリーズ(WS)で3試合連続本塁打。WS第1戦から第3戦までの3試合連発は、58年ハンク・バウアー(ヤンキース)2002年バリー・ボンズ(ジャイアンツ)に次ぐ3人目。ポストシーズンで3試合連発は、ドジャースでは85年ナ・リーグ優勝決定シリーズ第4~6戦ビル・マドロック(88年ロッテに在籍)以来の球団最長タイ。これでブレーブス時代の21年からWS5試合連続本塁打。17~19年スプリンガー(アストロズ)に並ぶWS最長タイ記録とし、レジー・ジャクソンとルー・ゲーリッグの4を抜いた。