24日、プロ野球ドラフト会議が開かれる。指名を待つ日本生命・石伊雄太捕手(24=近大工学部)は自慢の守備力に加え、打力を強化し大学以来、再びドラフト候補に浮上した。
大学時代もNPBスカウトから注目を集め、プロ志望届を提出したが、指名はなかった。「当時、プロでできる自信があったかと言われたらそうでもなくて、『行けたらいいな』ぐらいで、自分の足りない部分をわかってました」。
社会人野球各チームの練習参加に赴く中、日本生命で2泊3日の練習に参加。指導者との会話から、より成長できる環境というイメージが沸いた。「すっごいやりやすかったんです。(社会人野球には)ただプロに行くためではなく、“一生懸命気にかけてくださる”日本生命で力をつけて、プロでも評価してもらえる形が、僕の中でベストだった」。
入社後、バットの振り込む量は大学時代の冬場のみから、1年間に。弱みを強みにするべく、打撃練習に力を注いだ。
日米通算2000本安打を達成した、同チームの福留孝介コーチの指導日は、鬼練習が待ち受けている。「みんな死にそうになっていました」。トス打撃で福留氏が「20本」と設定。しかし、テンポを早めてボールは上がる上がる…。気づけば設定数の5倍の100本に到達した。また、間近で見るレジェンドには、オーラとともに存在感のある体格に見入った。「すごい体格ですけど、福留さんはウエートをしたことがないそうで。バットを振り続けて(筋肉や)体幹がついたのではないかと。もっと振らないといけないと思いました」。2年目は強い打球で打ちかえすほか、下位打線ながらここぞの場面で得点をかえしていた。「練習では、ただヒットを打つだけではなく『ここ1球』、『最後の1球』と絶対打ってやる意識で、徐々に得点圏で打てるようになって、よくなりました」。
今秋は日本選手権近畿地区予選で敗退。9月に公式戦を終え、満員電車に揺られ、日中は大阪市内の同社で勤務する。「僕たちも一生懸命野球をやっていますけど、(同僚は)とても応援してくれますね」。“サラメシ”は「皆さんに気を遣っていただいている」とお昼休みは先輩たちに、白ご飯食べ放題サービスのある定食屋へ足を運ぶ。
今年7月には阪神との練習試合で2度二盗を阻止。NPBスカウト陣の前で、自慢の守りもアピール済みだ。「一番の武器は守備です。そこだけは誰にも負けない。守備は絶対的な安定感の中で、打撃の結果が出てきたら」。NPBでは攻守両面でチームの要になる。【中島麗】