プロ野球ドラフト会議が24日に行われる。プロ志望届を提出した選手、ドラフト指名を待つ選手。吉報を待つグラウンドに、日刊スポーツの記者が思いを尋ねに向かった。
◇ ◇
花咲徳栄（埼玉）の石塚裕惺内野手（3年）は、高校生NO・1遊撃手として評判だ。ドラフト会議でも上位指名が有力視される。
あらためて本人に問いかける。「石塚裕惺さんは、どんな人ですか？」。
苦笑いする。
「えー、難しい…。難しいですよね。プロの球団からいただいた調査書にも性格とか自己分析とかを書く欄があって。紙だと考えてから書けるんですけど、こうして言葉で聞いていただけるとすぐにどうやって答えたらいいのか、パッと出てこないですね」
甲子園では初戦敗退も、U18の日本代表で4番打者として活躍。ドラフト上位候補として連日、調査書に向き合った。自分に向き合った。プロ野球は近年、選手の「人間性」もより重要視している。
「自分では、なんて言うんですかね、協調性をもってやっているとは。良くも悪くもですよ。なんか、人に合わせます」
本人の中では黒歴史にしていることがある。
「小学校の時、ワンマンチームだったんですよ。味方のミスにカリカリしたりして。勝ちたかったからなんですけど、父が監督をやっていて、そういう態度に当然厳しくて」
マリーンズジュニアに選ばれ、自分に近いレベルの選手たちと野球をした。いろいろと思い知った。
「自分の意見を押しつけるんじゃなくて、周りにしっかり合わせることも覚えました。良くも悪くも」
良くも悪くも、と短時間で2度口にした。協調性は時に、良い方向にいかないリスクを秘めていることを18歳にして知っている。
「でも、悪い方には流されないのは自分の中では分かっているつもりです」
18歳なりのアラートを持っている。
「自分が何になりたい、どうなりたいかって考えた時に、今それをやることが必要なのかどうか考えることが多いですね。だから自分がダメと感じた方に流されない自信はあります」
好きな四字熟語は「熱願冷諦」だ。熱心に願い求めること、冷静に本質を見極めること。たくさん届いた調査書で、あらためて己を知ることができた。【金子真仁】
