さあ出陣だ。パ・CSファイナルステージが16日、みずほペイペイドームで開幕する。日本ハムは、ロッテとのファーストステージで温存された伊藤大海投手（27）がソフトバンクとの初戦に先発する。相手は、ともに14勝で最多勝を受賞した有原。15年大谷以来、球団9年ぶりに投手2冠を獲得した絶好調右腕が、満を持して最多勝右腕バトルを制しにいく。
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じっくり力を蓄えてきた道産子右腕の伊藤が福岡の地で快投し、日本シリーズを引き寄せる。「もちろんわくわくもしますし、愉しみですけど、すごく落ち着いている。いい準備ができたのもありますし、変に気負いすぎていない自分もいる。大丈夫そうかなっていうのはあります」。意識しすぎず、緩みすぎず。ベストなメンタルを築いてきた。
効果的な調整の裏には、新庄監督の思い切った“読み”があった。14勝目を挙げた9月26日の楽天戦翌日に指揮官から提案を受けた。10月8日のレギュラーシーズン最終楽天戦で単独トップの15勝目を狙い、間隔的に登板が厳しくなるCSファーストステージは一切、ベンチ入りせずに他の投手に託すプラン。「僕も監督も同意見だった。日本シリーズに出られなかったら、ここで負けてもファイナルで負けても一緒という考えは変わらなかった」。ソフトバンクとの決戦を見据えるシフトに、決めた。
15勝目は逃すも「CSに向けいい経験ができた。またしっかり気を引き締めて準備していきたい」とふんどしを締め直した。準備する間、チームはファーストステージ初戦黒星から逆転突破。「すごかった。初戦の雰囲気は怪しかったですけど、奮起してすごくチームの状態もいいと思う。勢いに乗って、こっちが先に試合をしているのでアドバンテージはある。思い切って愉しんでいけたら」。粘り強い仲間の戦いで、さらに気持ちのギアを上げた。
今季みずほペイペイドームでは3戦登板し2勝0敗と相性は良い。同ドームで最後に登板した9月18日ソフトバンク戦では、自己最多135球を投げ完封し、お立ち台で「絶対ここに戻って来る。また福岡で応援お願いします」と呼びかけた。ファイナルでの福岡再上陸を意味する“アイルビーバック（また来る）”宣言。約1カ月の時を超えて戻ってきた屈強なターミネーターならぬ“ヒロミネーター”が、敵地ファンを震え上がらせる。【永野高輔】
◆CSファイナルステージの主なルール 6試合制。先に4勝したチームが日本シリーズに進出。シーズン優勝球団には1勝のアドバンテージが与えられる。引き分けが生じた場合、引き分けを除く勝利数が同じならシーズン優勝球団が進出する。延長は12回まで。12回終了時に同点の場合は引き分け。12回表終了時や12回裏の攻撃中に後攻のステージ勝ち上がりが確定した場合、その時点でコールドゲームとなる。
