<スペインリーグ:Aマドリード1-1Rマドリード>◇29日(日本時間30日)◇シビタス・メトロポリターノ
【マドリード=高橋智行通信員】スペインリーグで175回目となったマドリード・ダービーは、1-1の引き分けに終わった。レアル・マドリードGKクルトワに物が投げ込まれたことで一時中断という異例の事態となる中、ホームのアトレチコ・マドリードが後半アディショナルタイムに追いつき、1-1で引き分けた。通算成績はAマドリード41勝、Rマドリード91勝、43分けとなった。
シーズン開幕から公式戦8試合無敗で3位のホーム、アトレチコ・マドリード。シメオネ監督は休養期間がRマドリードより2日短い厳しい状況の中、1-0で勝利した前節セルタ戦からスタメンを2人しか入れ替えなかった。システムを5-3-2から予想外の4-4-2に変更し、フリアン・アルバレスを左サイドハーフ、グリーズマンとセルロートを前線で起用した。
公式戦5連勝中で開幕から9戦無敗をキープする2位のRマドリード。アンチェロッティ監督はエースのエムバペをけがで欠いたため、システムを4-4-2に変更。3-2で勝利した前節アラベス戦から2人入れ替え、新たにモドリッチをボランチに起用して中盤に厚みを持たせ、ロドリゴとビニシウスを2トップで組ませた。
試合開始前、スタジアムがクラブカラーの紅白で染まり、バックスタンドはAマドリードの巨大エンブレムで彩られ、南側ゴール裏には“最後の日まで”というクラブへの忠誠を誓う横断幕が掲げられた。
スペインリーグ175回目の対戦は序盤から激しくぶつかり合う拮抗した展開となった。ボールを触るたびにビニシウスと元Aマドリードのクルトワに激しいブーイングが飛び交う中、最初のチャンスはAマドリードに訪れる。前半9分にフリアン・アルバレスが左サイドから切り込んで最初のシュートを放つが、角度があまりなくGKにセーブされた。
序盤、相手のハイプレスに苦しめられ、攻撃をうまく組み立てられていなかったRマドリードは17分、バルベルデがミドルシュートを打つも、GKにファインセーブされた。
それ以降、両チームともボールを失った後、中盤より低い位置で待ち構えたため、お互いに相手の守備網を突破できず、時間だけが進んでいった。
Rマドリードは36分、ビニシウスを起点とした左サイドの攻撃からロドリゴがパスをつなぎ、ベリンガムがペナルティーエリア正面からグラウンダーのシュートを打つが、GKにキャッチされた。
前半、ボール支配率はAマドリード46%-Rマドリード54%、シュート数は4本-5本と、どちらにもあまり決定機のないまま終了した。
後半も前半同様に両チームともに得点するよりも失点をしない方を優先し、相手の持ち味を消し合って堅実にプレーしたため、あまりチャンスの生まれない展開となった。
そんな中、均衡を破ったのはRマドリードだった。後半19分にビニシウスが左サイドから上げたクロスをファーサイドでミリトンが右足で巧みにトラップし、右足の豪快なボレーシュートで先制点を記録した。
失点後、南側ゴール裏に陣取る熱狂的なホームサポーターがヒートアップし、クルトワ目掛けてさまざまな物を投げ込んだ。これにより主審が両監督と話し、24分過ぎに試合中を決断。選手たちにロッカールームに下がるように命じた。その後もゴール裏のウルトラスの興奮状態が収まらず、Aマドリードの選手たちが落ち着くようになだめに行っていた。
実際に試合が再開したのは18分後。その後もスタンドからのブーイングが続く中、Rマドリードは28分にビニシウスが追加点を狙いにいくが、GKにファインセーブされる。
それ以降、交代枠を使い切ってチームをリフレッシュしたAマドリードが激しいプレスをかけて同点ゴールを目指していき、36分にリーノが個人技を発揮して放ったシュートは惜しくもGKの好手に阻まれた。
一方、Rマドリードは終盤に投入されたエンドリッキが単独でカウンターを仕掛け、ロングシュートを狙ったが、枠を捉えられなかった。
そして49分、Aマドリードに待望の瞬間が訪れる。ハビ・ガランの縦パスに反応したコレアがDF裏に抜け出し、GKをかわして同点弾を記録した。一度はオフサイドの旗が上がるも、VAR確認後に得点が認められ、土壇場で同点に追いついた。
首位バルセロナが今節、オサスナに敗れたことを考慮すると、両チームともに無敗をキープしたものの痛み分けとなった。Rマドリードは勝ち点18で2位、Aマドリードは勝ち点18で3位となっており、バルセロナとの勝ち点差はそれぞれ、3と5になっている。