苦い過去の二の舞いにはならない-。日本代表の森保一監督(56)が、W杯最終予選の初戦という“鬼門”突破へ、万難を排して臨む。3年前はオマーンに0-1の黒星。8年前の前々回も初戦でUAEに1-2と敗れている。4日、試合会場の埼玉で会見した森保監督は、レジェンド招請や選手の進化など4つのポイントを挙げ、最大限の準備とともに勝利を約束した。
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いつもの穏やかな口ぶり。森保監督は、最終予選の幕開けを前に泰然自若とした。「まずは確実に突破できるように全員で1戦1戦最大の準備していきたい」。聞こえのいい言葉はないが、秘める思いは強い。その鬼門へ、万難を排した。
<1>分析 相手を率いるのは前回オマーンを率いたイバンコビッチ監督。徹底した日本分析の将に対し、逆に中国分析に余念がない。FIFAランキングは日本の18位に対し、87位だが「分析からどう攻撃したらいいのか、どう守備したらいいのか。そのチーム戦術を共有している」。
<2>長谷部コーチ W杯を知り尽くすレジェンドの招聘(しょうへい)は大きい。森保監督たっての希望。欧州で磨き上げられた百戦錬磨の頭脳について「彼の存在は大きい。試合に向けた準備、チームが目指すことへの最大限のことをやってくれる」。
<3>個のレベルアップ 3年前との違いを問われ「個の成長」を挙げた。世界最高峰プレミアリーグには遠藤、三笘、冨安に加え、今季から鎌田、菅原も所属。欧州CLでプレーする選手も年々増えている。「個の成長をしてくれているのでチーム力が上がっている」。日本サッカーの成長は年々感じている。
<4>聖地開催 現場の強い要望で埼スタでの開催となった。W杯予選23勝4分け1敗、勝率(白星率)82・1%を誇るまさに聖地。04年のドラゴン久保、05年の大黒様、11年吉田決勝ヘッド、13年本田PK、16年蛍ボレー…。目に見えない力が働くパワースポット。観客席からの近さも利点。「サポーターや応援してくださっているみなさん、アジアを勝つために共闘していただければ」。
対戦国分析、レジェンド招請、チームの成長、そして聖地という験担ぎ。すべてをつぎ込み、初戦をもぎ取りにいく。【佐藤隆志】