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風と山のごとく下克上=甲府、功労者が決める―天皇杯サッカー


 甲府の快進撃もこれまでかと思われた。1―1の延長後半10分すぎ。直前に途中出場した42歳の山本がハンドの反則を取られPKを献上した。「ああ、終わったな」。膝から崩れ、ぼうぜんとした表情で天を仰いだ。  土壇場でGK河田が見せた。「やりやがったなと思ったけど、彼がこのクラブを支えてきたのは間違いないので」。在籍20年目のベテランを思いながら構えた。広島の満田のキックをぎりぎりまで見極め、右に飛んでセーブ。勝利の女神に見放されなかった。  後蹴りのPK戦では、河田が相手の4人目を止めて5人目に指名された山本へつないだ。「1回救ってもらった命。意外と冷静だった」。左隅へ思い切り蹴り込み、仲間から歓喜の祝福を受けた。  ヴァンフォーレの語源は武田信玄の「風林火山」に由来する。前半26分の先制点は、CKから「風」のごとく素早くつないで三平が決める鮮やかな流れ。守っては「山」のごとくどっしり構えた。J1勢に4連勝して決勝進出を果たしただけあって、終始押し込まれながらも逆転は許さなかった。  リーグ戦で7連敗中と苦しむチームが成し遂げた「下克上」は、天皇杯の妙味でもある。来季のACL出場権も獲得。「戦ってみないと結果は分からないが全力で臨むことに間違いはない」と吉田監督。アジアの舞台でも番狂わせをもくろむ。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕延長後半、PKを止める甲府のGK河田(奥)=16日、日産スタジアム 〔写真説明〕PK戦を制して初優勝を果たし、喜ぶ甲府イレブン=16日、日産スタジアム
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