紀平、完全復活へ一歩＝２年ぶり全日本切符―フィギュア女子

　フィギュアスケート女子で右足首負傷のため北京五輪代表入りを逃した紀平梨花（トヨタ自動車）が、２５日まで名古屋市内で行われた中部選手権で約１年５カ月ぶりに実戦復帰した。「試合に戻ってこられる状態になって、すごくほっとしている」と率直に話した。 　昨年疲労骨折した右足首はまだ痛む。「足のことだけを考えたら出たくない」というのが本音だったが、欠場すれば１２月の全日本選手権への道が断たれる。「やっぱり全日本を捨てるのは無理」との思いで決心した。 　３週間前に氷上練習を再開した。連覇を遂げた２０２０年の全日本で決めた４回転サルコーや、持ち味のトリプルアクセル（３回転半）など高難度のジャンプは組み込めず、ショートプログラム（ＳＰ）とフリーで跳んだ３回転はサルコーとトーループのみだった。 　転倒やミスがあって合計１５４．４９点にとどまるも６位で通過。次の西日本選手権はスケートカナダに出場予定のため免除され、２年ぶりとなる全日本への切符を手にした。「ここまで来られてよかった」。不安を抱えながらも再出発し、一歩を踏み出せた意味は大きかった。 　世界選手権や四大陸選手権への意欲が強いからこそ全日本にこだわる。「自信を持って試合に挑めるようになりたい」。完治させれば完全復活は早い。誰よりも自分自身がそう信じている。　（了） 【時事通信社】 〔写真説明〕フィギュアスケート全日本選手権の公式練習で調整する紀平梨花＝２０２０年１２月、長野・ビッグハット