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札幌招致へ影響避けられず=協賛集めに懸念も―五輪汚職事件


 東京五輪・パラリンピック組織委員会元理事の高橋治之容疑者が受託収賄容疑で逮捕された汚職事件は、札幌市が目指す2030年冬季五輪招致への影響が避けられないとみられる。国際オリンピック委員会(IOC)が候補地を絞り込む見通しの12月に向けて招致機運を高めたい時期だっただけに、関係者は「タイミングが悪すぎる」と受け止める。  30年五輪招致は現時点でソルトレークシティー(米国)、バンクーバー(カナダ)と争う構図。コロナ下で東京大会を開催した日本の運営能力への信頼感などから札幌が最有力との見方が多かった。ただ、IOCが重視する住民の支持率は他の2都市に劣る数字も出ており、日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長は「機運醸成が招致のカギ」と言う。  東京都職員として電通関係者らと16年夏季五輪招致活動に携わった国士舘大客員教授の鈴木知幸さんは「今回の一件で確実に札幌五輪反対論が強まる。IOCのバッハ会長も無視できなくなった」とみる。一方で、ロサンゼルスで28年夏季五輪を開催する米国には30年との連続開催に後ろ向きなムードもあることなどから、「札幌に代わるところはない」との見方を示す五輪関係者もいる。  札幌市幹部は「スポンサーを集められるかという不安もある。IOCのイメージ悪化も心配」と懸念する。先の五輪関係者は「企業はイメージがいいから五輪に協賛するわけであって、これではスポンサーなんかになるもんじゃないと思ってしまう」と述べ、招致できても協賛が集まらず、札幌市の負担が多くなる可能性にも触れた。  1980年代以降に商業化が進んだ五輪をめぐっては、不透明な金銭の流れや買収問題が何度も露見した。東京大会でも竹田恒和JOC前会長がフランス司法当局の捜査対象になった。不明瞭な意思決定の過程や、情報が集まる一部の関係者が利益を手にする構図が背景にある。先の関係者は「電通だけでやるからこうなる。2、3社が合同でやればチェック機能が働くはず」と改善点を指摘した。 (了)【時事通信社】
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