有形レガシーは今=巨費投入の五輪会場―TOKYOから1年(5)

 東京五輪に向けて巨費を投入して改修、新設された施設は多い。祭典後の歩みが始まり、「負の遺産」への懸念もある。  国立競技場をめぐっては2017年11月、大会後に陸上トラックを撤去して球技専用とする方針が政府から示された。しかし、20年10月に世界陸連のコー会長が世界選手権開催を提案。民間事業者からの「トラックがあった方がイベント開催に使いやすい」との意見もあり、維持へと転換した。  50年間で約1200億円と試算される維持管理費は重く、運営権売却はめどが立たない。その中で日本陸連は25年世界選手権招致を開始。約500億円の経済波及効果を見込み、公費投入の大義を得たい政府や東京都と利害が一致した。旧国立での1991年以来となる東京開催が、収益確保への起爆剤になるかどうかは未知数だ。  都は約1400億円をかけて六つの新規恒久施設を整備した。運営を民間に委託して順次再開しているが、年間収支で黒字を見込めるのはコンサートなどにも使える有明アリーナだけ。事業者は収益アップに知恵を絞る。  海の森水上競技場は4月末に一部再開し、音楽イベントも行われた。ゴールデンウイーク中に開催したボートやカヌーの体験会は満員で、年間70回実施する計画。大会や練習以外では、屋上テラスでのヨガ教室や隣接する公園でのウオーキングイベントを行い、会議室や宿泊室を使った企業研修も売り込む。CM撮影の問い合わせもあり、荒沢修所長は「陸の上でも使っていただけるように誘致していく」。知名度を上げつつ、収支の改善につなげていく考えだ。  スケートボードなどの会場跡地は「有明アーバンスポーツパーク」として24年3月ごろ先行開業予定。スポーツクライミングの屋内ボルダリング棟、バスケットボール3人制コートも設ける。都の担当者は「大会のレガシーを後世に残していきたい」と話している。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕東京五輪閉会式で打ち上がる花火=2021年8月、東京・国立競技場

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