2025−26シーズンを25勝35敗・B1東地区8位と厳しい結果に終わったサンロッカーズ渋谷。今年5月にクラブ名を「東京サンロッカーズ」へと変更し、今季から開幕する「Bプレミア」に向けて新たな道を切りひらいていく中、新生チーム初代HCに就任したのは5季に渡り名古屋ダイヤモンドドルフィンズの指揮を執ってきたショーン・デニス氏だ。
ハードなディフェンスと展開の速いバスケットを武器とするデニスHCのスタイルは、東京SRにどんな変化と成長をもたらしていくのか。昨シーズンの振り返りから日本のバスケットボール界の変化、そして東京SRでの新たな目標などについて話を聞いた。

名古屋Dでの昨季「とてもいい功績だった」
ーー長年名古屋ダイヤモンドドルフィンズで指揮を執っていましたが、昨シーズンを振り返ってみていかがでしたか
とてもいいシーズンでした。(選手の)けがなどでチームとして思ったよう結果は出せなかったのですが、最終的にディフェンスの部分では、ディフェンシブレーティング(相手に100回攻撃された場合の平均失点)でNo.1をとれましたし、CS(プレーオフ)で宇都宮ブレックスを倒してセミファイナルに進めたというのはとてもいい功績だったと思います。
ーー2016−17シーズンに宇都宮ブレックスでACを務めてから長く日本のバスケットを見ていると思いますが、どのような変化を感じていますか
まずはじめに、バスケットボール自体が速くなったというスタイルの変化だと思います。海外の大きい選手がドミネート(支配)するような試合だったところを、どんどん速くなっていったというところが一つの変化だと思います。外国籍の選手の特徴が変わっていったことに付随して、ピック・アンド・ロールやポストアップ、インサイド中心のバスケットボールが入ってきた。もっとスペースを意識して広く大きいスペースでプレーするようなスタイルが増えてきているように思います。
そして、もっとも大きな変化は、コーチ陣やスタッフの状況の変化だと思います。10年くらい前でしたらリーグ内で3、4人、外国のスタッフが日本でコーチしているだけでした。ですが、今はもっと多くの、十数人のコーチが日本のリーグでコーチをしている環境で、彼らからいろいろなバスケットを取りいれている。
また、(リーグの)レベルもどんどん高くなってきています。外国籍の選手も、昔であれば海外でキャリアを積んでピークを過ぎたあとに日本でプレーするような傾向でしたが、今はBリーグも成長しているリーグということで、若い20代の選手やBリーグからキャリアをスタートさせる選手も増えて、いい選手が集まってきている。だからこそ日本のバスケット、Bリーグはより良く、魅力的になってきていると思います。

東京SRでの新たな挑戦「強いクラブとして戻ってきたい」
ーー東京サンロッカーズに来て間もないと思いますが、チームの印象はいかがですか
まだ(合流して)短い間なので、そこまで(選手の)全てを知っているわけではないですが、コーチとして長くやっているので、フィルムを見たり、リクルートの段階でこういう選手がほしいと決めてリクルートしている選手なので、練習で見ていても自分たちのスタイルにとてもフィットしているなと感じますし、今はとても満足しています。今週末からプレシーズン(9日間の大分県での合宿とプレシーズンゲーム 九州シリーズ)が始まり、ここからまだ長い道のりですが、試合を重ねるごとに彼らを理解し、強みや新しいところを探していけたらと思っています。
ーー日本代表が多くいるというのは素晴らしいことですが、チームをつくる上では難しい部分もあると思います。その点についてはどう考えていますか
国を代表する選手たちが(チームに)いるということは喜ばしいことですし、彼らにとってもいい機会になるのですごく喜ばしいことです。ですが、チーム1年目のHCとしてそこへの難しさはあります。システムをインストールしきれないところや、(期間中)抜けてしまう選手へのティーチングの時間が少し足りないというところは大変なところです。
シーズンを通してけがや病気などトラブルも起こりうるので、その部分とも(併せて)どう対処していくかというのも今のうちからやっていかなければいけない。ですが、自分が変えられるところにフォーカスしていきたいと思います。プラス、今いる選手たちをどんどん鍛え上げていって、彼らがナショナルチームから戻ってきた選手たちに教えることができるくらいの完成したチームを今のうちからつくっていきたいです。

ーーBリーグドラフトで1巡目1位の山﨑一渉が加入しましたが、彼の印象はいかがですか
若くしっかりと厚みがあり、とてもポテンシャルの高いいい選手という印象です。そして、まだ彼がどこまで良くなるのかということは誰にも見えていないと思います。それは彼のこれからのハードワークやメンタリティーというところにかかってくると思うので、そこをうまく磨いていきたいですし、彼にとっても最大のチャレンジになるでしょう。
彼はこれまで4番ポジションでしたが、2番3番とポジションが変わるので、アジャストしていかなくてはいけないということもあり、Bリーグでは(4番の時よりも)もう少し外で守れるように練習していかなくてはいけないというところはあります。ですが、彼は長いウィングスパンを持っていますし、そういった身体的な強みをオフェンスでもディフェンスでも生かしていけるようにしていってほしい。そして彼の一番の強みであるシュート力もこれからどんどん磨いていくと同時に、シュートがなかなか決まらない状況の時にゲームの中でどう勝ちに貢献していくか、インパクトを残すかというところを彼自身見つけていかなくてはいけないということが課題でもあります。
ーー新HCとして、東京SR1年目の目標と、(複数年契約かは分からないですが)今後の長期的な目標を聞かせてください
まず1年目のゴールとしては東京SRのアイデンティティーとカルチャーをつくっていくところです。カルチャーというのは「グロースマインドセット(成長志向の思考パターン)」という、常に成長していくというメンタリティーを持つこと。
今シーズン1年目の目標としてアイデンティティーとカルチャーをつくった上で、そのまま階段を上るいくように再びCSに進出できる、日本の強いクラブチームとして戻っていきたい。それがコーチやスタッフ、選手たち、チーム全体の目標です。
(金野恵理)
