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入院できず自宅で即席の救命措置…母を救ったブラジルの医師

  • 2021年01月22日 11:30:00

【マナウスAFP=時事】「母は私の腕の中で死んでいくのだと思った」──ブラジルの医師、マルコス・フォンセカ・バルボサさん(36)は病院の空き病床が不足する中、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患(りかん)した母親を救うために自宅で即席の措置を強いられた。(写真はCOVID-19に罹患した両親の看護をする医師のマルコス・フォンセカ・バルボサさん)
 バルボサさんは今月、ブラジル北部マナウスの公立病院の集中治療室(ICU)に母親のルースさん(56)を入院させようとした。だが、COVID-19の新規感染者の爆発的増加で、病院は患者であふれかえっていた。
 「母は発熱していて、ほとんど呼吸ができなかった。挿管する必要があった。自分は医師だと伝えたが、私たちはプラスチックの椅子で4時間以上も待たされた」とバルボサさんはAFPに語った。
 順番を待っている間に母は死んでしまうかもしれない、と察したバルボサさんは自力で何とかしようとした。「望みは薄かった。間もなく母はプラスチックの椅子の上で、私の腕の中で死んでいくのだと思った。私は即、立ち上がり、母を車に運び、家に連れ帰った」とバルボサさん。「そしてあらゆる友人と、自分が在宅治療を行った元患者にメッセージを送り、助けを求めた」
 このSOSによって酸素ボンベと非侵襲的な人工呼吸器を入手することができ、バルボサさんは即席の措置で母親を治療することができた。「酸素マスク一つで母の命をつないだ」。呼吸を助けるために経鼻カテーテルも使ったという。
 「4日間、毎日24時間体制で母に付き添った」。その後バルボサさんは病院勤務に戻らねばならず、「教師の妻に母を託した」。
 現在ルースさんは回復してきたが、バルボサさんは確認の電話を絶えずかけている。「彼女が救われたのは、生きる意志と神のおかげ。今も生きているのは本当の奇跡だ」とバルボサさんはいい、母親を救った自らの努力については謙虚な姿勢を崩さない。【翻訳編集AFPBBNews】
〔AFP=時事〕(2021/01/22-11:30)
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