松山英樹選手(29)は毎年末、東日本大震災とその被災地への思いを語っている。昨年はこう話していた。「あれから10年。休む間もなくゴルフをやってきて、次の10年はもっと早くなると思う。それまでに、来年(21年)だったら最高だが、メジャーに勝ちたい」  そして、マスターズ・トーナメントで日本男子初のメジャー制覇の快挙。「最高」の形で夢をかなえた。  松山選手は東北福祉大(仙台市)の1年生だった2011年、大震災の報をゴルフ部合宿先のオーストラリアで聞いた。テレビに流れる衝撃的な東北の惨状に言葉を失った。  仙台に戻ると切実な問題があった。10年のアジア・アマチュア選手権で優勝し、11年4月のマスターズ出場権を得ていた。日本人アマ選手では初となる栄誉だったが、混乱の中で出場辞退も検討した。しかし、出場を促す地元の声がメールなどで次々と届き、出場を決断。持てる力を振り絞り、ローアマに輝いた。  19年末には、「あの時メッセージをくれた人たちがいなければ、今の自分はなかったかもしれない。そう思うと怖いが、それ以上に怖い思いをしたから、あの時、東北の人たちは自分を応援してくれたのだと思う」と胸中を明かしている。恩返しとして目指していたのが、「そのためにゴルフをやっている」と断言するメジャー制覇だった。  13年秋以降、プレー内容に応じた金額を積み立て、寄付する被災地支援活動を続けている。「何かニュースになって、ちょっとでも、あの時メッセージを送ってよかった、と思われる選手になりたい」と願い続けてきた松山選手。震災から10年たった東北に、「マスターズ制覇」の大ニュースを届けた。 【時事通信社】 〔写真説明〕ローアマチュアのシルバーカップを手にする松山英樹=2011年4月、米ジョージア州オーガスタ(EPA時事)

情報提供元 : 時事通信社
記事名:「 届けた「大ニュース」=松山選手、地道に東北支援―マスターズゴルフ