株を始めるにはまとまった資金が必要だと思っている人は多いだろう。しかし、最近では少額投資ができる証券会社も増えている。ネット証券なら日本株でも1株から買うことが可能だ。
投資はお金持ちがするものというイメージは、すでに過去のものになっている。ここでは、株式投資に必要な金額や少額投資のメリット、1万円から投資できるおすすめ銘柄を紹介する。
株を始めるにはいくら必要?
株を始めるのに必要な金額は、投資信託のように最低100円と決まっているわけではない。
ネット証券なら日本株でも1株投資が可能で、1株なら10万円もかからない。なかには1,000円で買える株もある。
銘柄や購入株数によって異なる
株を始めるのにいくら必要かは、銘柄や購入株数によって異なる。
日本株は、リアルタイムで売買するには原則100株ずつでなければいけない。株価が5,000円の株を買う場合は、1日100万円まで手数料無料のSBI証券や楽天証券でも最低50万円は必要だ。
一方で、リアルタイムでなくてもよいならネット証券で1株から買える。たとえば、株価が6万2,000円前後のキーエンスでも、1株だけ買う場合は7万円以内で購入可能だ。
日本株で最も株価が高い企業でも6万9,000円前後であるため、7万円あれば1株は買える(2023年4月14日15:00時点)。
なお、楽天証券であれば1株でもリアルタイムで売買ができる。日本株の少額投資を考えている人は楽天証券を選ぼう。取扱銘柄数は少ないものの、トヨタ自動車や任天堂をはじめとした有名企業はカバーしている。ネット証券最大手のSBI証券と比べて手数料も安い。
単元未満株(100株未満の日本株)の取引手数料比較楽天証券 | SBI証券 | |
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購入手数料 | 0.22%(※) | 無料 |
売却手数料 | 11円+0.22%(※) | 0.55% |
(最低55円) | ||
1株売買に必要なコスト (株価5,000円の場合) | 33円 | 55円 |
取扱銘柄数 | 473銘柄 | 3,800銘柄以上 |
リアルタイム取引 | ◯ | ? |
(98銘柄) |
\1株売買もしやすい/
1万円から始められる
株価が1万円以下の銘柄なら、株式投資は1万円から始められる。
株価1万円以下の日本株は3,800銘柄以上あり、キーエンス、ユニクロ(ファーストリテイリング)、ニトリ、JR東海、ソニーなどを除いた大半の有名企業は、1万円以内で購入可能だ。1株でも配当金は株数に応じてもらえるだけでなく、1株で株主優待がもらえる企業もある。
日本株の少額投資で頻繁に売買をしたい人は、売買手数料が安い楽天証券を選ぼう。配当や優待目当てで長期投資をしたいなら、購入手数料が無料で取扱銘柄の多いSBI証券がおすすめだ。
【シミュレーション】株でどれくらいの利益が出せる?
株でどれくらいの利益が出せるのかを、ソニーの直近5年の株価を使ってシミュレーションしてみる。
■株価の動き(2018年4月16日~2023年4月14日)5年前の株価は5,288円(2018年4月16日15:00時点)だったが、2023年4月14日15:00時点の株価は1万2,110円に上昇している。また、ソニーの株を5年間保有すると1株あたり合計275円の配当金がもらえる。
手数料と税金を考慮しない場合、配当金を含めれば1株あたり7,097円の利益だ。金額でみると少ないかもしれないが、株数に応じて利益は増えていく。100株投資した人は5年で70万9,700円の利益だ。
ちなみに、米国株に投資する投資信託で人気のある「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」を買った場合と比べると、ソニーのほうが利益は大きい。
■利益の比較(2018年7月2日~2023年4月14日)ソニー | eMAXIS Slim米国株式 (S&P500) | |
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2018年7月2日 | 5,595円 | 1万円 |
2023年4月14日 | 1万2,110円 | 1万9,494円 |
配当 | 275円 | 0円 |
利益率 (配当含む) | 121.40% | 95.00% |
個別株は選ぶ銘柄によって大きく利益が変わるが、選び方次第では投資信託を上回るリターンを得ることができる。
配当や利益には原則として税金が発生する。だが、一般NISA口座で株を買って配当金を証券口座で受け取る方式(株式数比例配分方式)にすれば非課税になる。
SBI証券で一般NISA口座を開設して、単元未満株(100株未満の日本株)の投資ができるサービス「S株」を利用すれば、手数料と税金を一切負担せずに株を買うことが可能だ。
一般NISAは2023年までの制度でつみたてNISAとの併用はできないが、2024年以降は新NISAのスタートにより事実上併用できるようになる。なお、2023年までにNISA口座(一般NISA、つみたてNISA)を開設した人は、2024年には自動的に新NISA口座が開設される予定だ。
SBI証券で一般NISA口座を開設しておけば、2023年までは株の少額投資、2024年以降は株と投資信託の分散投資など、幅広い商品から選べる。
株の少額投資をはじめとした長期投資を考えている人は、SBI証券の一般NISAがおすすめだ。
\購入手数料は無料/
株初心者が1万円から始めるメリット
投資金額が増えれば利益も増えるが、株初心者はできる限り少額、まずは1万円から始めたほうがよい。
1万円から始めるメリットは2つある。
損失のリスクを抑えられる
株式投資には、株価の下落による損失のリスクがある。1万円という少額から始めることで、損失の額も少額に抑えることができる。
たとえば、日本を代表する日用品メーカーのライオンの株価は、2023年11月に発表された決算が不振だったことで、好調だった9月に対して11月に約20%も株価が下落した。
9月の1株1,600円のタイミングで100株購入し、約16万円の資金で取引をしていたとすると、20%下落した場合は約3万円もの損失になる。一方、1万円(6株程度)の取引であれば、わずか2千円程度に抑えることができる。株価が急に下落した場合でも損失額を抑えられるのは、1万円という少額で株を始めるメリットだろう。
投資の勉強になる
1万円程度の株式投資では大きな利益を得ることは難しいが、多大な損失を出すリスクを避けながら株式投資を勉強できるというメリットもある。
株式投資を勉強するには、実際に投資をしてみるのが一番効率的だ。1万円で買える銘柄はどれか、どの銘柄であれば今後伸びそうか検討する中で、企業の業績や決算をチェックするスキルや習慣が身につき、株式を保有した後は株価の値動きを日々確認することで、確実に株式投資の知識を深めることができるだろう。
\単元未満株で少額から投資ができる/
株初心者が1万円から始めるデメリット
株初心者が1万円から投資を始めるのは、デメリットも2つある。
少額投資である以上仕方がない面もあるので、慣れてきたら徐々に投資資金を増やしていくとよい。
利益が少ない
投資金額が少ないため、どうしても利益が少ない。1万円の株価が2万円になっても、利益は1万円しかない。
配当金はソニーでシミュレーションしたとおり、1株だけでは5年間持っていても数百円程度にしかならない。配当金が多い銘柄を選んで買うとしても、年間400~500円程度が現実的な金額だろう。
少額投資に意味がないわけではないが、1万円で株を買って大きな利益を出すことはできない。ある程度まとまった利益を狙うなら、100万円程度の資金は必要だ。
分散投資がしづらい
1万円の投資金額では分散投資がしづらい。
いくら1株とはいえ、有名企業はある程度株価が高い。株価が4,000~5,000円程度の株だと、ギリギリ2銘柄買えるかどうかだ。少し銘柄数を増やそうとすると、すぐ資金が足りなくなる。
1万円で分散投資をするには、株価が2,000円くらいの銘柄も組み合わせるなど工夫が必要だ。
なお、本記事では株価が3,000円未満のものを中心に紹介している。株価が2,000円の株なら、1万円で5銘柄まで買える。
少額では分散投資が難しいのは事実だが、できないわけではない。
株初心者におすすめの証券会社3選
株初心者におすすめの証券会社は3つある。
株は投資信託と異なり銀行では買えないので、証券口座を持っていない人で株式投資を検討しているなら、どれか1社は開設しておきたい。
■おすすめ証券会社比較表楽天証券 | マネックス証券 | SBI証券 | |
---|---|---|---|
購入手数料 (単元未満株) | 0.22%(※) | 無料 | 無料 |
売却手数料 (単元未満株) | 11円+0.22%(※) | 0.55% (最低52円) | 0.55% (最低55円) |
1株売買に必要なコスト | 33円 | 52円 | 55円 |
取扱銘柄数 | 473銘柄 | 3,800銘柄以上 | 3,800銘柄以上 |
リアルタイム取引 | ◯ (98銘柄) | ? | ? |
なお、日本株を100株ずつ売買する場合は、楽天証券とSBI証券なら1日100万円まで手数料無料だ。
楽天証券
楽天証券は、日本株の少額投資かつ短期投資におすすめの証券会社だ。
2023年4月17日にスタートした日本株の単元未満株(1株投資)サービス「かぶミニ」は、マネックス証券やSBI証券よりも売却手数料が安い。
1株投資では、売買を繰り返すと手数料の割合が高くなり、手数料を考慮すると損をする手数料負けが起きやすい。楽天証券なら売却時の手数料が安い分、手数料負けを避けられるだろう。
取扱銘柄数はマネックス証券、SBI証券と比べて少ないものの、有名企業の株は網羅している。日本株を100株以上買える資金がなく、短期投資メインの人は楽天証券を選ぼう。
\1株投資で手数料負けしにくい/
マネックス証券
マネックス証券は、楽天証券に次いで1株投資の売却手数料が安い証券会社だ。楽天証券と比べて取扱銘柄も充実しており、1株から株主優待がもらえるニッチな銘柄も買える。
1株投資については購入手数料が無料なので、長期投資を前提にするなら楽天証券より低コストで投資が始められる。日本株の1株投資以外でも、米国株購入時の為替手数料は無料で、楽天証券やSBI証券より安い。
日本株や米国株の少額投資を始めたい人は、マネックス証券がおすすめだ。
\1株投資の購入手数料無料/
SBI証券
SBI証券は、ネット証券最大手で取扱商品が充実している証券会社だ。1株投資については楽天証券やマネックス証券に劣るものの、100株ずつの投資なら1日100万円まで手数料無料で売買できる。
1株投資も、マネックス証券と比べて取扱銘柄数はほぼ同じ、売却手数料の最低金額が3円高いだけなので、差を感じることはほとんどないだろう。
投資信託やつみたてNISAの取扱銘柄数は業界No.1なので、株以外に投資信託への投資も考えている人は、SBI証券を選ぼう。
\取扱商品が充実/
【株初心者向け】1万円で投資できるおすすめ銘柄5選
ここでは、株初心者向けに1万円以内で投資できる銘柄を5つ紹介する。1株投資はもちろん、100株ずつの投資にもおすすめだ。
株初心者は、配当や株主優待を軸に選ぼう。優待は改悪や廃止、配当は増減のリスクがあるが、会社の業績や将来性を考えて投資先を選ぶよりわかりやすい。
配当については、毎年配当金を増やしている連続増配株を選ぶと、今の配当金が多いだけの高配当株と比べて将来の配当は安定する傾向がある。
優待は配当と比べて廃止リスクが高いが、1~2回もらえば元が取れるような銘柄なら失敗する可能性は低い。
ここで紹介する5銘柄は、1株優待でお得なものと連続増配株に絞っている。
上新電機:5,000円分の優待券がもらえる
家電量販店「Joshin」で有名な上新電機は、1株買えば株主優待がもらえる銘柄のひとつだ。優待の実用性も高い。
1株買えば、1年に1回5,000円分(200円×25枚)の優待券がもらえる。優待券は2,000円ごとに1枚しか使えないが、高額家電を買う人に人気があるので、使い道がないときはフリマアプリで簡単に売却可能だ。
売却価格は時期によって変動はあるが、メルカリでは2,000~2,500円前後で取引が成立している。1回だけでも優待がもらえれば元は取れるので、はじめての投資にピッタリだ。
基本情報株価 | 1,976円 |
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年間配当(※) | 75円 |
優待 | ◯ (1株~) |
1株投資対応 | ・マネックス証券 ・SBI証券 |
東京日産コンピュータシステム:500円分のクオカードペイがもらえる
東京日産コンピュータシステムは、上新電機と同様に1株で株主優待がもらえる銘柄だ。600円台の株価で1年に1回500円分のクオカードペイがもらえる。
クオカードペイはクオカードと比べて使い勝手はよくないものの、ローソンやドラッグストアなどで使用可能だ。2回優待をもらえば元が取れる。
ただし、2022年から始まった株主優待であり、2023年以降はどうなるか確定していないのでもらえないリスクはある。1株優待を長期間もらえる可能性は、上新電機のほうが高いだろう。
基本情報株価 | 643円 |
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年間配当(※) | 15円 |
優待 | ◯ (1株~) |
1株投資対応 | ・マネックス証券 ・SBI証券 |
SPK:24年連続で配当が増えている
自動車や産業・建設機械の部品を提供するSPKは、有名企業ではないものの24年連続で配当を増やしている優良企業だ。無理やり配当を増やしているわけではなく、しっかり利益を出したうえでの増配なので、今後も業績が好調であれば連続増配が見込まれる。
配当が無理なく出ているかどうかは、利益のうちどれくらいを配当に充てているかを示す配当性向に着目するとよい。
SPKの配当性向は24.7%で、連続増配企業として有名な花王の80.8%と比べると、将来的な増配にも余裕がある(2022年時点)。
トヨタ自動車やダイハツなどの有名企業とも連携してさまざまな部品を開発しているだけではなく、ヨーロッパを中心に普及が進んだ電気自動車用の補修部品の開発にも取り組んでいる。リーマン・ショックも乗り越えて増配を続けている企業であるため、長期保有できる日本株のひとつだろう。
基本情報株価 | 1,728円 |
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年間配当(※) | 42円 |
優待 | ? |
1株投資対応 | ・マネックス証券 ・SBI証券 |
ユニ・チャーム:21年連続で配当が増えている
紙おむつやペットケア用品で有名なユニ・チャームも、20年以上連続で配当を増やしている企業のひとつである。
こちらもしっかり利益が出ているうえでの増配が続いているので、今後も業績好調なら連続増配が見込まれる。
利益のうち配当に充てている割合(配当性向)は33.4%で、SPKほどではないが将来的な増配余地は十分あるだろう(2022年時点)。
売上の60%以上は海外になっているので、人口減少によって将来的に日本での売上が減っても影響は限定的だ。
基本情報株価 | 5,380円 |
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年間配当(※) | 38円 |
優待 | ? |
1株投資対応 | 楽天証券 ・マネックス証券 ・SBI証券 |
沖縄セルラー電話:20年連続で配当が増えている
沖縄セルラー電話は、KDDI(au)の子会社として沖縄で圧倒的なシェアを持つ通信会社だ。
20年以上配当が増えているだけでなく、配当性向も42.3%、すなわち配当金の2倍以上の利益が出ているので、しばらくは安定配当が見込まれるだろう(2022年時点)。
ただし、沖縄県でも今後は人口減少が予想されるため、売上や利益は今後横ばいから緩やかに減っていく可能性が高い。景気に左右されにくい業界ではあるので、投資先のひとつとして数年程度は保有できるだろう。
基本情報株価 | 2,996円 |
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年間配当(※) | 86円 |
優待 | ◯ (100株~) |
1株投資対応 | ・マネックス証券 ・SBI証券 |
株初心者によくある質問
ここでは、株初心者によくある質問をまとめている。株式投資を始めようか迷っている人はぜひ参考にしてほしい。
- 株に投資したらどれくらい儲かるの?
- どれくらい儲かるかは、投資金額や株価の動き、売買のタイミングによって異なる。
本記事で紹介した株のなかには、直近10年で2倍以上になった銘柄もあるが、過去の値動きは未来の利益を保証するものではない。
- 株はどうやって勉強したらいい?
- 株の勉強は、本や日経新聞を読むなどの方法がある。
初心者が本で勉強する場合は、まずは「決算書はここだけ読め!(講談社現代新書)」を読んでほしい。会社の業績を最低限理解しておけば、長期投資で大きな失敗をするリスクを抑えられるだろう。
日経新聞は、ほかの新聞と比べて経済関連の情報が多く、株の勉強に向いている。購読すると月4,000円以上かかるが、楽天証券なら口座開設をするだけで「日経テレコン」を通じて無料で読むことができる。
株は1万円から始めてみよう!
初心者は、1万円で株式投資を始めてみよう。
1万円なら、失敗したときのダメージも少ない。本記事で紹介した銘柄なら、1万円で複数の企業に分散投資することもできる。
ほかにも日本株には、高配当株や魅力的な優待がある銘柄が数多くあるので、ネット証券に口座を開設して探してみてほしい。
株初心者が1社だけ証券会社を選ぶなら、楽天証券がおすすめだ。1株投資に対応していない銘柄は多いものの、将来的に取扱銘柄は増える可能性が見込まれる。
スマホアプリやサイトは初心者でもわかりやすく操作しやすいので、はじめての株式投資は楽天証券で始めてみよう。
\アプリやサイトがわかりやすい/