特集「令和IPO企業トップに聞く ~ 経済激変時代における上場ストーリーと事業戦略」では、IPOで上場した各社のトップにインタビューを実施。コロナ禍を迎えた激動の時代に上場を果たした企業のこれまでの経緯と今後の戦略や課題について各社の取り組みを紹介する。
中央大学法学部卒業後、大手不動産流通会社に入社。 経営企画部門を経て、営業部門へ。当時あまりIT化が進んでいなかった業界に先駆け、データベースシステムについて学び、不動産流通データベースシステムを開発。 1999年に株式会社ランドネットを設立。2021年に東京証券取引所JASDAQ(現・東京証券取引所スタンダード)市場に上場。
当社は、個人の不動産投資家、不動産事業者を主な取引先として投資用・住居用の区分マンションを中心に売買、賃貸管理、及び資産運用のアドバイスを行う不動産流通企業です。
1999年の創業以来、取引データや不動産情報を社内で蓄積させ、これを用いて当社から不動産所有者にダイレクトにアプローチして直接買取りをし、必要に応じて社内の施工部門でリノベーション工事を行い、一般消費者・不動産業者に販売しております。
また、不動産投資家には、賃貸管理、入居者管理等のサービスを提供しております。
創業時からの事業変遷
ーー事業の変遷はどのようなものでしたか?
株式会社ランドネット 代表取締役・榮 章博氏(以下、社名・氏名略):まず、私たちはワンルーム型マンションに特化して創業しました。元々私が大手不動産流通会社出身であり、その経験から、起業をするならファミリータイプのマンションを扱いたいと思っていたのですが、なかなか仕入れることができず、築年数の古いワンルームマンションから始めていきました。
そこから徐々に築年数の新しいワンルーム型マンションを扱えるようになり、それと並行して築年数の古いファミリータイプのマンションも扱えるようになっていきました。さらに事業が成長し、ワンルーム型は全て、ファミリータイプも築年数の少々古いものは全て対応できるようになり、大手不動産会社とは違う路線で成長しています。
2021年に上場し、それ以降は築年数に限らず全てのマンションを取り扱っています。区分に加えて、上場後は戸建てとアパートの取り扱いを増やしました。これらの商品に対して、買取、リフォーム、販売、賃貸管理を行っています。
上場を目指した背景
ーー上場を目指した背景やきっかけについて教えていただけますか?
榮:メインの取引先銀行さんからの勧めもあり上場を目指したことが背景となります。
ランドネットは創業当初から上場を目指していましたが、正直できるとは思っていませんでした。前職の大手不動産流通会社にいた時代に上場を目指していましたが、バブルの崩壊によって上場を断念し悔しい思いをした過去もありました。しかし、ランドネットでは重要事項説明書のデジタル化、賃貸事業部の拡大、そして審査部の設立を行い、上場を達成しました。特に力を入れていたのは、審査部の確立です。販売を行う営業部と審査を行う審査部を分けることで、安全な契約を試みました。それを通じて創業から約20年、売上や事業規模の拡大もあり、2021年に上場することができたのです。
今後の事業戦略や展望
ーー今後はどのような拡大展望を考えておりますか?
榮:今後は、特に全国各地の戸建て住宅とアパートなどの投資用不動産への注力、そして海外への進出を通じて拡大していきたいと考えています。
現在のトレンドとして国内の戸建て住宅も投資の対象となってきています。価格も高騰し利回りも安定していることから市場全体が大きくなっていると感じています。この状況に合わせて、この2、3年で北海道から沖縄県石垣島までの全ての物件を流通できる状況を作っていきました。
事業拡大に合わせて営業人材の数も増やしつつ、攻めの営業も行っていきたいです。現在は今の営業人材が300人を超えるまでに拡大し、1棟ビル、1棟マンションの取り扱いを増やすビジョンも持っています。
また海外進出も検討しています。ゆくゆくはアメリカへの進出を検討しており、そのために東南アジア、東アジアからの開拓も検討しています。日本はアメリカにとってアジアへの架け橋のような存在であり、不動産業界で東南アジアをリードすることで、アメリカへの進出につながるのではないかと考えております。
ーーその拡大展望を実現できる貴社の強みはなんですか?
榮:私たちの強みは2点あります。1点目は仕入れ力です。物件に関して、質と量の双方で十分に確保することができています。
2点目は業務システムです。現在システム開発部門は100人ほどおり、効率的な仕入れから販売までの流れを作ることができています。今後の拡大に合わせてシステム部隊が200人ほどまで増えることも視野に入れています。
このシステム化と仕入れの強みを強化しつつ、日本全国の街並みの情報を取り揃え売買、賃貸、リフォーム、リノベーションを行えるようにし、国内の不動産流通で1番を目指していきます。
ーーこれからの業界の見通しはどのようにお考えですか?
榮:中古の物件の流通が主流になってくると思います。最終的には、7割が中古物件の物流になってくるでしょう。その中で私たちは、リフォームやリノベーションの中でリーディングカンパニーとなれるよう注力していきたいと思います。
今後のファイナンス計画
ーー今後のファイナンス計画について、どのようにお考えですか?
榮:今は銀行からの借入がメインとなっています。しかし、株式による調達も増やしていきたいです。先ほどお伝えしたようなデジタル技術が、業績に反映されてくると、確実に株式による資金調達の比率も高まってくると思います。
また、これからはクラウドファウンディングによる調達も推し進めていきたいです。まだ順調とは言えませんが、社内システムで作成しており、上場企業の信頼を元にこれから拡大していきたいと思っております。
ZUU onlineのユーザーに??
ーーそれでは、オンラインのユーザー様へのメッセージをお願いします。
榮:私たちは皆さんの投資対象の一つとなる不動産投資でお役に立てると思います。現在はNISAやiDeCoなどの税金面でも優位な制度が人気ですが、そこで生まれた利益を不動産投資に回すことでより大きな複利を得ることができます。その不動産投資の中でも、私たちは質と量の両面で強みを持っており、多くの利回りよく安心な商品をご提案できると思います。上場企業であることで信頼も合わせて、ぜひその対象として私たちをみていただけると嬉しいです。
- 氏名
- 榮 章博(さかえ あきひろ)
- 社名
- 株式会社ラント?ネット
- 役職
- 代表取締役社長