数多くのファンドの中から自分の期待に合うファンドを見つけるためには、投資信託のランキングを参考にするのが効率的です。しかし、ランキング上位のファンドが自分にとって必ずしもよいとは限りません。なかでも分配金利回りには注意が必要です。投資対象ファンドのパフォーマンスの良し悪しを自分で判断できるよう、分配金利回りについて知っておきましょう。
投資信託ランキングとは? 見方のポイント
投資信託のランキングとは、パフォーマンスのよいものや買付数の多いものなどを上位から順に並べたものです。証券会社をはじめ、投資信託に関する多くの金融商品取扱業者がホームページ上で提供しています。
どのような形式のランキングなのか、以下で簡易的な例をご紹介します。
ファンド名 | 基準価額 | 純資産額 | 収益率(騰落率) | 分配金利回り |
---|---|---|---|---|
ファンドA | 3万2,000円 | 6,800億5,000万円 | 25.30% | 8.42% |
ファンドB | 3万1,800円 | 800億2,000万円 | 34.25% | 7.34% |
ファンドC | 3万1,500円 | 1,200億3,000万円 | 19.52% | 1.35% |
投資信託のランキングでは、上記のように各ファンドの運用状況がまとめられています。基準価額や純資産額以外にも、委託会社や積みたての可否、対象資産(アセットタイプ)などが記載されているランキングもあります。
どのように比較をすればよいのか、ここからは見方のポイントとして4つの項目をご紹介します。
買付金額・販売件数ランキング
多くの投資家が購入しているファンドは、「買付金額」や「販売件数」のランキングを見ると分かります。週間や月間のように一定期間で区切られており、順位が高いファンドほど期間内で多く購入されたことを表します。
なお、買付金額と販売件数については前述のような表ではなく、単独のランキングとして紹介されている場合もあります。
純資産総額ランキング
純資産総額とは、ファンドが保有している資産(株式や債券など)の時価評価額に、利息や配当金などを加えてコストを差し引いた金額です。運用成果によっても変動しますが、純資産総額が大きいほど投資家から多くの資金を集めているファンドになります。
簡単に言い換えると、ファンドの規模を表す指標と言えるでしょう。ただし、純資産総額はリターンやリスクを表すものではなく、大きいほどパフォーマンスが優れているわけではありません。
収益率(騰落率)ランキング
収益率は、ファンドの基準価額が一定期間にどれくらい変動したかを表す指標です。6ヵ月や1年、3年のように複数の期間で集計されており、金融機関によっては「騰落率」や「リターン」とも表現されています。ただし、販売手数料や分配金にかかる税金などは考慮されていないため、収益率は実際の利回りを表す指標ではありません。
分配金利回りランキング
分配金利回りは、基準価額に対する分配金の割合を表す指標です。1年単位で集計されることが多く、利回りが高いほど多くの分配金を受けとれることになります。
なお、投資信託の分配金には運用益から支払われる「普通分配金」と、元本をとり崩す「特別分配金」があります。特別分配金は元本の払い戻しにあたるため、投資家のリターンにはなりません。
また、普通分配金についてもファンドの信託財産から支払われる影響で、分配後には基準価額が下がることもあります。長期の目線で見ると、必ずしも得になるとは限らないので注意しましょう。
分配金利回りの計算方法は?
いくつかあるランキングの中でも収益率や分配金利回りなどのパフォーマンスに関するランキングが気になる人は多いのではないでしょうか。とりわけ長期運用を心がけるなら基準価額の変動差益よりも投資信託を保有している間に支払われる分配金の内容が気になるものです。そのため分配金利回りを気にしてチェックする人もいるかもしれません。
ランキングで表示されている数値を見て利回りの高低を比較するだけでなく、分配金利回りの計算方法を知っておきましょう。分配金利回りは、過去1年間の分配金の累計額を直近の基準価額で割って計算するのが一般的です。計算式で示すと以下のようになります。
- 分配金利回り=過去1年間の分配金の累計額÷直近の基準価額
たとえば、過去1年間に支払われた分配金の累計額が600円で、直近の基準価額が1万円の場合は、分配金利回りは6%になる計算です。
分配金利回りの注意点
前述したように分配金利回りとは投資信託の収益などから投資家に還元する分配金の水準を測る目安となる指標です。しかし、分配金利回りが高いことが投資信託のパフォーマンスの良さを示しているとは限りません。なぜなら過去1年間の分配金累計額が同じなら、直近の基準価額が低ければ低いほど利回りは高くなります。
基準価額は日々変動しているため、基準価額が値下がりした投資信託ほど上位にランキングされている可能性があるのです。また、分配金の種類には運用の成果から支払われる「普通分配金」のほか、元本を取り崩して支払われる「特別分配金」があります。元本を取り崩して分配金を支払うとその分だけ基準価額は下がるため、これも分配金利回りが高くなる要因のひとつです。
分配金利回りと合わせてチェックしたいのが分配金に占める普通分配金の比率を示す「分配金健全度」。前述したように普通分配金は投資信託の運用収益から支払われる分配金です。特別分配金とは異なり、元本を支払ってもその分基準価額が下がることはなく分配金健全度が高い投資信託ほど評価が高くなります。
見た目の数字に惑わされず、数字の中身を判断しよう
投資信託を購入するならできるだけパフォーマンスのよいものを選びたいと考えるのは当然でしょう。そのためにも投資信託のランキングは上手に活用したいツールです。しかしランキング上位のものがパフォーマンスのよいものとは限らないことが理解できたのではないでしょうか。大切なのは数字が表す中身を判断できるようになることです。
様々なランキングを組み合わせてチェックしながら数字の中を精査することでお気に入りの投資信託を見つけていきましょう。
※本記事は投資に関わる基礎知識を解説することを目的としており、投資を推奨するものではありません。
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