EY調査、企業がテクノロジーベンダー選定で最も重視するのはセキュリティ
EYは、世界25カ国・地域、8業種の企業1,590社を対象に実施したグローバル調査「EY Reimagining Industry Futures study 2026(産業の未来図を再構築するための調査2026)」(以下、本調査)の結果を公表しました。本調査により、企業のテクノロジー投資判断やベンダー選定基準が大きく変化していることが明らかとなりました。
【キーハイライト】
■ 対象企業の3分の2近く(66%)が、AIエージェントへの投資を実施または計画している
■ 対象企業の89%が、テクノロジーに関する政策を重要な投資要因と捉えている
■ 対象企業の過半数(53%)がソブリンクラウドへの投資を計画している
本調査によると、企業はテクノロジーへの投資を継続的に拡大する一方で、従来の機能や価格だけではなく、セキュリティ、データ保護、デジタル主権、AI活用能力などをより重視する傾向を強めています
全業界にわたり投資対象の上位を占めたのは、アナリティクスとAIでした。特にAIエージェントへの関心は高く、回答企業の66%が投資を実施中(34%)または今後1年以内に投資を計画(32%)していると回答しました。また、53%がソブリンクラウドへの投資を計画しており、89%が、新たなテクノロジーへの投資判断においてテクノロジー政策の動向を重要な要素として挙げています。
【地政学的環境の変化が企業の投資判断に影響】
企業の投資判断を取り巻く環境は大きく変化しています。主にデータ保護やデジタル主権に関する政策・法規制が、企業の技術投資判断において競合他社の動向以上に重視される傾向が示されました。また、回答企業の81%が貿易摩擦や関税問題を重要な検討要素として挙げています。
こうした環境変化を受け、77%の企業がベンダーとの関係を見直しているほか、長期投資計画についても再評価を進めています。地政学的な不確実性や規制環境の変化が、企業のテクノロジー戦略そのものに影響を与えていることがうかがえます。
EY UK&I Technology, Media &Entertainment Telecommunications Market Leader, Rob Atkinsonは次のように述べています。
「企業の技術投資の計画や判断において、データに関する新たな政策や法令を含むさまざまな要因が検討されています。たとえば、サイバーセキュリティの要件の高度化や国家のデジタル主権の台頭を背景に、サービスプロバイダーは急速に変化する顧客ニーズに適応するため、サービスやパートナーエコシステムを迅速に進化させる必要があります」
【投資先として存在感を高めるソブリンクラウド】
地政学的リスクの高まりや、政策立案者によるデータ保護および技術的自立への関心の高まりを背景に、ソブリンクラウドに対する企業の需要が拡大していることも明らかになりました。回答企業の17%がすでに投資を実施しており、過半数の53%が今後投資を計画しています。
主な投資目的としては、サイバーセキュリティとデータ管理(61%)、顧客からの信頼(40%)、国家の政策や規制への準拠(39%)が挙げられています。
EY Global Technology, Media &Entertainment and Telecommunications (TMT) Lead Analyst, Adrian Baschnongaは、次のように述べております。
「ソブリンクラウドへの移行によって、企業はサプライヤー関係の見直しを迫られています。サービスプロバイダーがソブリンクラウド市場に参入する際には、顧客の事業目標の変化に応えるとともに、自社製品の差別化につながる新たな価値を探るなどして、戦略を慎重に検討する必要があります」
【ベンダー選定で最も重要視されるのはセキュリティ】
本調査では、企業がテクノロジーベンダーに求める要素として「セキュリティ」が最も重要な項目であることが分かりました。その背景には、顧客データ保護や規制遵守に対する要求の高まりがあります。
次いで重視されたのは、「AI機能がサービスに組み込まれていること」でした。企業は単なる技術提供だけでなく、AIを活用した迅速かつ質の高いサポートや提案を期待していることがうかがえます。特に金融サービス、自動車、製造業では、この項目がベンダー選定における最重要要素となっています。
Atkinsonは、次のように述べております。
「ベンダーのセキュリティに関する実績に対するB2B顧客の関心は高まっています。ソブリンクラウドや不正対策APIなどの新たなセキュリティ関連サービスの登場を踏まえると、通信事業者がセキュリティの専門家としての役割を拡充できれば、今後新たな成長機会が拡がることでしょう」
【企業がベンダーに求めるのは“戦略的パートナー”】
調査では、企業がICTベンダーに求める役割にも変化が見られました。ベンダー選定にあたり、企業は自社の戦略的ニーズを深く理解しているかどうかを重視しており、回答企業の43%が、「自社の事業や技術上の優先事項に対する理解の向上」を最も期待する改善項目として挙げています。
一方で、59%は、ベンダーが自社変革におけるテクノロジー活用実績を十分に説明していないと回答しました。また、同じく59%が、他社へ提供した価値を裏付ける事例の提示が十分ではなかったと回答しています。さらに、43%の企業が今後12カ月以内にベンダー数の統合を予定しており、昨年の35%から増加しています。
Baschnongaは、次のように述べております。
「企業は単なるテクノロジープロバイダーではなく、戦略遂行を支援する協力者となるベンダーを求めています。複雑さの軽減や、より機敏な営業対応、製品オプションの簡素化も求めています。コンサルティング型の支援と、優れたカスタマーエクスペリエンスを提供できるサービスプロバイダーが、競争の激しい市場で優位性を確立できるでしょう」
【EY Japanの視点:日本の通信事業者におけるB2B事業の展望】
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社
テクノロジー/メディア・エンターテインメント/テレコムセクター シニアマネージャー
新居 功介
日本の通信事業者は、B2B事業において元来のコアサービスである「通信の提供」に固執せず、自社のアセットを活用して周辺領域(AI、クラウド・データセンター、IoTソリューション、サイバーセキュリティなど)に展開し、ネットワークプロバイダーから統合型テクノロジープロバイダーへの転換を積極的に推進しています。
一方、これらの周辺領域の多くはAWS、Microsoft、Googleなどの米国を基盤とするテックジャイアントが強みを持つ領域でもあり、日本でも技術優位性を武器に事業を展開し、デジタル庁からガバメントクラウド対象のクラウドサービスとして認定されるなど国の中枢にも入り込んでいます。
では日本の通信事業者がそれらの企業と同じ土俵で戦い、勝つためには何が求められるのでしょうか。それは記事でも言及している「国家主権」「自社実績の活用」「顧客との関係性」と考えます。
官公庁も含め、日本の組織の多くは自社のデータが国外に保管・処理されることや、外国法の管轄下に置かれることに懸念を持つ組織も少なくありません。通信事業者はここに国内のデータセンターとソブリン性を有したクラウドサービスを提供することができます。
先端テクノロジーや新たなユースケースはPoCから始めることが基本ですが、国内で一気通貫したオペレーション体制を持ち、自社のネットワーク、コールセンター、営業などあらゆる機能を実証の場として活用し、それを実績として訴求できるのは強みになります。
顧客との関係性については事業者ごとに濃淡はありますが、支店を構える各地域の地場企業や、古くから通信サービスを提供してきた大手企業との関係性は財産であり、これらの企業と共同で開発、実証、営業などを行うオプションも優位性に貢献します。エコシステムをどう構築するかが勝率に直結します。
【調査概要】
「EY Reimagining Industry Futures Study 2026」は、2025年11月に世界25カ国・地域、8業種の企業、計1,590社を対象に実施したオンライン調査です。対象者は、自社の先進技術戦略について一定以上の知見を有すると回答した企業関係者で構成されています。調査では、AI、IoT、5G関連技術に対する企業の意識や投資計画、ICTサプライヤーへの能力評価、サプライヤーエコシステムとの関係性などについて分析しています。
当調査の詳細については、フルレポートをご参照ください。
通信事業者はB2B事業において、どのように成長・拡大できるか
※本ニュースリリースは、2026年2月24日(現地時間)にEYが発表したニュースリリースを翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。
Security is the top attribute that businesses look for in telco and tech providers, according to an EY study
〈EYについて〉
EYは、クライアント、EYのメンバー、社会、そして地球のために新たな価値を創出するとともに、資本市場における信頼を確立していくことで、より良い社会の構築を目指しています。 データ、AI、および先進テクノロジーの活用により、EYのチームはクライアントが確信を持って未来を形づくるための支援を行い、現在、そして未来における喫緊の課題への解決策を導き出します。 EYのチームの活動領域は、アシュアランス、コンサルティング、税務、ストラテジー、トランザクションの全領域にわたります。蓄積した業界の知見やグローバルに連携したさまざまな分野にわたるネットワーク、多様なエコシステムパートナーに支えられ、150以上の国と地域でサービスを提供しています。
All in to shape the future with confidence.
EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。EYによる個人情報の取得・利用の方法や、データ保護に関する法令により個人情報の主体が有する権利については、ey.com/privacyをご確認ください。EYのメンバーファームは、現地の法令により禁止されている場合、法務サービスを提供することはありません。EYについて詳しくは、ey.comをご覧ください。
本ニュースリリースは、EYのグローバルネットワークのメンバーファームであるEYGM Limitedが発行したもので、顧客サービスは提供していません。
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