EY調査、世界で電気自動車(EV)需要が冷え込み、内燃機関(ICE)車へ回帰
■ 航続距離への不安や充電インフラの不足、地政学的要因を背景に、バッテリー式電気自動車(BEV)選択を躊躇する傾向が強まっている
■ コネクテッド機能では、消費者は「必要十分」な機能を優先し、4割近くがサービスコストを障壁として挙げている
EYは、世界の自動車購入者の消費者心理や購買動向を探るグローバル年次調査「EY Mobility Consumer Index」(以下、MCI)を発表しました。MCIは2020年に開始した調査で、自動車の購入意向やパワートレインの選好、EV導入の動向、充電インフラの課題、コネクテッド/自動運転機能への消費者の関心、購入プロセスなどを継続的に追跡しています。今回6回目となる本調査結果によると、EVの市場への導入が減速する中、多くの消費者が内燃機関(ICE:Internal Combustion Engine。主にガソリン/ディーゼルエンジンを用いる車両)車へ回帰し、EVを所有することへの見方が大きく変化していることが明らかになりました。
EY Global Aerospace Defense &Mobility Practice LeaderのConstantin M. Gallは、今回の調査結果について、次のように述べております。
「消費者は、政策変更やコスト圧力、充電インフラのばらつきといった現実を踏まえて購入判断をしています。長期的には、『純電気(E-only)』一辺倒のアプローチから離れ、顧客ニーズに応じて複数の車両技術が共存する、パワートレイン多様化の未来へと向かっているように見受けられます。また、政策協議も観念論から離れ、より現実的な議論へと移りつつあります。政策立案者は事実に基づくアプローチへ立ち返り、市場が『顧客ごとに最適解を見つける』という本来の役割を果たせるようにしています」
EV熱が冷める中、消費者はICE車にギアチェンジ
最新の調査結果からは、消費者の意向に明確な変化が表れております。
・世界の自動車購入者の50%が今後24カ月以内にICE車を購入する意向(前年比13ポイント上昇)
・BEVの選好は14%(10ポイント減)、ハイブリッド車の選好は16%(5ポイント減)
・EV購入予定者のうち36%が、地政学的要因を理由に購入を再検討もしくは購入を見送り
地域別に見ても、ICE車の購入意向は主要地域で上昇しており、世界的にICE車の回帰の傾向が確認されます。(北・中・南米:前年差+12ポイント、欧州:+11ポイント、アジア太平洋:+10ポイント)一方で、BEVの購入意向は主要市場全てで低下しています。背景には、米国におけるEV税額控除の撤廃や排出目標の見直しといった政策の変更があります。また、主要自動車メーカーも、ICE車やハイブリッド車をラインナップに再び重点を置き、需要変化に合わせてEVプログラムを抑制する動きを見せています。
航続距離・充電への不安が、EV選好を押し下げ
EVではなくICE車を選ぶ消費者にとって、航続距離への不安は依然として大きな障壁です。
・ICE車を選ぶ理由として、航続距離への不安が29%と最大の懸念に挙げている
・次いで、充電インフラ不足と高額なバッテリー交換費用を28%が懸念
現在BEVを所有している消費者の32%は、航続距離(満充電/ガソリン満タンで走行できる距離)への不安を挙げております。初めて購入する消費者は、37%がバッテリー交換費用を最も懸念しています。また、充電に関する不満も根強く、主な懸念は「充電器の場所の特定」(39%)、「長い待ち時間」(37%)、「高い充電費用」(32%)でした。
BEV購入を検討している人の約3割(33%)は、必要に応じて電力をグリッドに戻す「V2G」サービスに参加してもよいと回答しており、EVの経済性や信頼性を高めるソリューションへの関心の高さがうかがえます。
実用的価値を求める消費者、コネクテッド機能と自動運転機能の重要性が上昇
コネクテッド機能では、消費者は「新しさ」よりも安全・利便といった実用性を重視する傾向が調査結果から見受けられました。「利用意向」「支払意向」では、安全性、セキュリティ、ナビゲーション、メンテナンス関連サービスが上位を占めており、快適性やエンターテインメント、高度な自動運転レベルを上回っています。4割近く(39%)が、コネクテッドサービスの費用の高さを主要な障壁として挙げています。また、6割(60%)は、自家用車では自動運転レベルは低めでも十分だと感じています。
一方で、自動運転機能については、高度な自動運転(例:条件付き自動運転に相当するレベル3以上)への安心感は限定的でした。安心だと感じる消費者は26%にとどまり、主な懸念として、事故リスク(60%)、技術的な不具合(51%)、車両制御の喪失(50%)が挙げられました。
コネクテッド機能と自動運転機能の重要性について、Gallは次のように述べています。
「ソフトウェア定義型の車両プラットフォームが登場したことで、コネクテッド機能や先進運転支援システム(ADAS)は今後ますます消費者の購買判断に影響を与えることになるでしょう。高度な自動運転レベルに対する安心感は依然として限定的ですが、これらの技術は自動車メーカーにとって、安全性を高め、よりパーソナライズされた車両体験を提供する大きな機会となります」
購入プロセスの最終段階は依然としてディーラーが中心
購入前の情報収集や比較検討のデジタル化が進む一方で、購入手続きの最終段階では、依然として対面でのディーラーとのやり取りが主流です。購入者の約4割(41%)が対面での購入手続きを好んでおり、2024年の61%からは減少したものの、主要チャネルであることには変わりませんでした。オンラインチャネルを好む傾向は、EV購入者(28%)よりもICE車購入者(32%)の方がわずかに高くなっています。一方でEV購入者は、充電やバッテリー寿命、新しい技術機能に関する説明を必要とするため、対面でのやり取りを好む傾向が続いています。
調査に関するレポートの全文はこちらをご覧ください。
2025年度 EY Mobility Consumer Index (MCI) 調査
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※本ニュースリリースは、2025年12月9日(現地時間)にEYが発表したニュースリリースを翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。
英語版ニュースリリース: Global consumers driven back to ICE vehicles as EV enthusiasm cools: EY research
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