EY調査、2026年鉱業・金属セクター ビジネスリスク&オポチュニティ トップ10 を発表
■ 不確実性の高まりとリスク許容度の低下を受け、事業運営上の短期的な問題が顕在化
■ キャッシュ重視に伴い、事業運営の複雑さや生産性、コスト削減が最重要課題に
■ 業界変革のカギは、デジタルとイノベーション、そしてAI
EYは、鉱業・金属セクターに関する最新の調査「鉱業・金属セクターのビジネスリスク&オポチュニティ トップ10 - 2026 」を発行しました。本調査によると、鉱業・金属セクターが新たな時代の不確実性に直面する中、「事業運営の複雑さ」が2026年のリスクの1位に浮上しました。
鉱業・金属セクターの世界各地の経営幹部500名を対象に実施した今回の調査では、外部要因や戦略的課題から、生産性やコストに影響を及ぼす短期的な事業運営面の要因へと関心が急速に移っている実態が示されました。「事業運営の複雑さ」が初のリスクトップ10に登場し、1位になったことは、鉱山の深部化や鉱石品位の低下、コスト上昇により、安定的な生産を維持するための負荷が一段と増している現状を浮き彫りにしています。
EY Global Mining &Metals LeaderのPaul Mitchellは次のように述べています。
「事業運営の複雑さが焦点となっているのは、不確実性が高まっているからだけではありません。競争優位を確立するには、従来の事業運営方法をディスラプトしなければならないことをセクターが認識している表れでもあるのです。鉱山の老朽化や新たな鉱山の開発に伴い、複雑さが増すのは避けられません。さらに、コスト管理と生産性向上の必要性がこの問題をさらに深刻化させます。ただ、こうした状況を機会に変えて、デジタルやAIの活用などでイノベーションを加速させる鉱山事業者は、不確実性が解消されたときに成長を遂げる態勢を整えることができるはずです」
株主の信頼を維持し、資金を確保する上で、生産量を予測できる体制の整備は極めて重要です。
Mitchellは次のように話します。「投資家は成長へと再び舵を切っています。大型M&Aの実施が難しいことは明らかです。そのため、需要を満たすとともに、物価上昇を機会に変えるべく、鉱山事業者は既存設備の最大限の活用、生産性と資本規律の向上、テクノロジーの導入強化に注力しています。一方、Anglo AmericanとTeckの合併案は、戦略的な必要性が生じれば、銅を中心にまだ大型ディールが行われる可能性があることを浮き彫りにしました」
鉱山事業者はボルトオン買収やジョイントベンチャーに加え、ロイヤルティ、ストリーミング、サステナブルファイナンス、政府のインセンティブ施策など代替の資金調達モデルも追及しています。
成長マインドセットへのシフト(資本は3位)
鉱業企業は現在、短期的な課題への対応を優先していますが、これは長期的な成長基盤を築くための取り組みでもあります。鉱山事業者は3年間にわたり、株主還元を抑える一方で、設備投資を増やしてきました。供給不足が一世代に一度の好機をもたらしている銅を中心に、従来型投資家も、新しいタイプの投資家も、成長へと再び舵を切っています。
期待が高まる中、操業許可(LTO)は依然として焦点(5位)
業績に対する期待が高まる中、操業許可(LTO)は依然として鉱山事業者にとって優先課題です。特に一部地域では政府支出の減少により、地域社会が企業の役割拡大をより強く求めるようになっており、現地コミュニティへの注力が最も効果的な対応となります。
資源ナショナリズムの高まりも、強固な操業許可(LTO)の確保が戦略上重要であることを浮き彫りにしています。EYの調査結果から、鉱山事業者がサステナビリティとガバナンスをはじめ、幅広い分野で政府の関与が一段と強まると予想していることが明らかになりました。
Mitchellは次のように指摘しています。「ESG問題が優先課題でなくなった国・地域もありますが、現地地域社会との関係などから、それにより鉱山事業者がLTO確保の取り組みを滞らせることはできません。LTOは許可から、人材や資本、成長まで、あらゆるものの確保に不可欠です。単に規制を守るだけでなく、正しく行動して、社会資本を守り、鉱山寿命を超えて残るレガシーを作ることが鉱山事業者には求められます」
セクターの変革のカギを握るのはデジタルとイノベーション、AI(8位)
鉱業セクターではAIへの投資も優先課題の一つになっています。経営幹部の5人に1人(21%)が生産性・安全性・コスト効率の向上を目的に、今後1年間でAIへの投資を20%以上増やすと回答しています。
これまで、デジタルとAIによる成果は中核業務に集中していました。データとAIの統合基盤を活用するエンドツーエンドのアプローチを採用することで、より大きな価値創出が期待されます。成功しているデジタル化施策は、企業戦略と密接に連動し、強固なガバナンスを基盤とするとともに、統合されたテクノロジーとデータシステムによって実現されています。
Mitchellは次のように述べています。「鉱山事業者はAIの成熟度を上げており、テクノロジーによって適切な人材を一致協力させるとともに、テクノロジーの責任ある利用で生産性と安全性、サステナビリティの向上を図ることに引き続き注力しなければなりません。
「鉱業セクターにおけるAIとは、導入して終わりというものではありません。一歩先を行くことができるのは、デジタル化への取り組みの足並みを揃え、優秀な人材に投資をし、新しいアイデアを生み出す強固な基盤を構築する企業です。それには、テクノロジーを利用することで、人が仕事をよりうまくこなせるようになり、事業全体に真の成果をもたらす職場づくりをする必要があります」
セクターを取り巻く環境に大きな影響を与えるほかのリスク
調査では、このほかに3つのリスクが指摘されています。
● 地政学的リスク:関税と輸出規制により、重要鉱物のサプライチェーンが影響を受けている一方、「地政学」は(3位から)7位に順位を下げました。
Mitchellは次のように指摘しています。「鉱山事業者は地政学的な不安定性への対応に習熟しています。また、鉱山を移動させることはできないため、巧みに(現地)政府との関係に対処しています。とはいえ、変化のスピードが速いことを考えると、常に注意を払う必要があるでしょう。貿易の流れが妨げられることで、地政学的な力関係が変化する可能性があります」
● 人材:深刻化するスキル不足により、「人材」が(13位から)6位に順位を上げました。計画策定やエンジニアリング、サステナビリティ、鉱山閉鎖といった重要ポジションで充足できない状況であり、生産性に影響を及ぼしており、将来的な供給不足や、安全リスクの高まりにつながる可能性があります。
● サステナビリティ:鉱業セクターのリーダーの半数強が取り組みの見直しや実行を先送りしています。ネイチャーポジティブの義務を果たすと自信を持って言えるのは全体のわずか56%です。「サステナビリティ」は2位から9位に順位を下げました。
Mitchellは次のように話しています。「鉱業セクターのリーダーはかつてないほど複雑な環境で事業を運営しています。スキル不足や関税摩擦からサステナビリティに対する期待まで、変革はもはや選択肢ではありません。今後10年にわたって市場をリードするのは、変化にすばやく対応して、デジタルイノベーションを導入し、地域社会の信頼を得、成長戦略を見直す企業です」
調査に関するレポートの全文はこちらをご覧ください。
リスクの中に新たな機会を見いだすには 鉱業・金属セクターのビジネスリスク&オポチュニティ トップ10 ― 2026
※本ニュースリリースは、2025年10月16日(現地時間)にEYが発表したニュースリリースを翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。
英語版ニュースリリース: Operational complexity reshapes mining’s risk landscape for 2026 | EY - Global
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