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調査対象企業107社の3割がアニマルウェルフェア方針を策定 ― FARMWISE Impact 2026公表


2016年ほぼゼロから前進、具体策なお途上

2026年3月3日

アニマルライツセンター(以下ARC)は、日本市場において畜産分野での影響度が高いと考えられる食品企業107社を対象とした「FARMWISE Impact 2026」を公表しました。全社的なアニマルウェルフェア方針を明示している企業は31.2%に達しました。10年前には方針を持つ企業はほぼ存在していなかったことを踏まえると、この10年で大きな変化が起きたと言えます。一方で、総合スコアの中央値は3点にとどまり、理念から制度への移行はなお途上です。とくに鶏肉での取り組みは遅れており、業種別では外食の中央値は1点、卸売商社は2点と、業種間の格差も明らかになりました。

 

調査方法・結果:https://arcj.org/farmwise/

 

理念から制度へ ― 実効性が問われる段階に

FARMWISE Impactは、単なる理念や宣言の有無ではなく、具体的な実施体制、サプライチェーンへの適用状況、リスク管理、情報公開の水準など、制度として機能しているかを評価しています。今回の結果は、アニマルウェルフェアが企業の経営課題として一定程度認識され始めていることを示す一方で、実効性ある仕組みとして定着している企業は限定的であることを示しています。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202603024834-O1-3BJbK6Sa

 

畜種別で明確な差 ― 鶏肉は方針保有率3.7%

分野別に見ると、対応の進度には大きな差があります。

・卵:22.4% ・水産:9.3% ・豚肉:8.4% 

・鶏肉:3.7%

卵分野では一定の取り組みが広がっている一方、鶏肉は極めて低水準にとどまっています。日本企業におけるアニマルウェルフェア対応は、畜種によって著しい偏りがあることが明らかになりました。

 

業種間の格差が明確に

業種別の総合スコアは以下の通りです。

・小売:平均5.28点(中央値4点) ・製造:平均5.15点(中央値3点)
・卸売問屋商社:平均2.77点(中央値2点) ・外食:平均2.23点(中央値1点)

 

全社方針の保有率もばらつきが見られます。

・製造:38.9% ・卸売問屋商社:30.8%
・外食:18.2% ・小売:16.7%

 

サプライチェーンの要である商社、消費者接点の強い外食業界で制度化が進んでいない実態が浮き彫りとなりました。また麻布大学の大木茂教授は、「高得点企業(12点以上)11社は、国際的な企業評価レポートで評価対象とされた企業を中心に欧米で事業活動を行う企業が多く含まれている。」とも分析しコメントされました。
大木茂教授 コメント全文 https://arcj.org/farmwise/shigeru-oki/

 

持続可能な畜産・食料システムへの転換

国際的にも、また日本政府の政策においても、持続可能な畜産および食料システムの構築が求められています。アニマルウェルフェアは、その重要な構成要素の一つです。

飼育環境や生産構造の改善は、長期的に安定した食料供給体制の確立や、リスク管理の強化とも関連します。

FARMWISE Impactは、企業の取り組みがこうした持続可能な生産・調達構造へどの程度組み込まれているかを可視化する枠組みです。

 

大阪大学の伊藤武志教授は「今後、購買者や投資家、労働者が、今回のような取組からの情報により企業や業界の行動を支持する動きが強まり、それによって社会経済が持続的なものになるという好循環が生まれることを大いに期待しています。」とコメントしています。


伊藤武志教授 コメント全文 https://arcj.org/farmwise/takeshi-ito/

また、ARC代表理事 岡田千尋は「企業への働きかけを始めた当時、アニマルウェルフェアを知る企業はほとんどありませんでした。企業の担当者と対話を重ねながら、少しずつ理解を広げてきた10年でした。3割を超える企業が全社方針を公表するまでに至ったことは確かな前進です。この流れが後戻りすることはありません。これからは、アニマルウェルフェアを企業価値としてどこまで高められるか、その取り組みの質とスピードが問われる段階に入ります。持続可能な畜産と食料システムを実現する上で、企業間の前向きな競争が始まることを期待しています。」と述べています。

 

10年の変化と次の課題

この10年で、日本企業におけるアニマルウェルフェアの認識は大きく変化しました。しかし国際的には、すでに期限付き目標の設定や包括的基準の導入が進んでいます。日本企業に求められているのは、理念の表明から制度の実装への移行です。具体的には、

・全社的方針の拡大
・期限付き目標の設定
・サプライチェーン全体への適用
・進捗の透明化

が次の段階となります。
理念の広がりを、実効性ある制度へと転換できるかが、今後の焦点です。

 

FARMWISE Impact 2026の詳細は以下をご覧ください。

正式名称: ファームアニマルウェルフェア・インパクト評価 2026
Farm Animal Welfare Impact &Sustainability Evaluation


調査方法・結果:https://arcj.org/farmwise/
分析サマリー:https://arcj.org/farmwise/farmwise-impact-2026-summary/


 

FARMWISE Impact 2026とは

FARMWISE Impact 2026(ファームワイズインパクト2026)は、日本の主要企業を対象に、ファームアニマルウェルフェアに関する取り組みが実際の福祉改善につながる「影響力(インパクト)」をどの程度備えているかを評価する、NGO主導の企業評価です。 本評価における「インパクト」とは、理念や宣言の有無にとどまらず、方針の具体性、実施状況、サプライチェーンへの適用範囲、リスク管理、情報公開の水準などを通じて、飼育環境や管理の改善に結びつく仕組みが構築されているかを指します。 また、アニマルウェルフェアへの対応は、社会の持続可能性とも接続しており、本評価は、その社会的影響を明らかにする枠組みでもあります。
FARMWISE Impact 2026は、単純な順位付けを目的とするものではありません。国際的に求められるアニマルウェルフェア水準と比較しながら、日本企業の到達度、課題、構造的ギャップを可視化することを目的としています。

 

調査方法

企業の公開情報を調査しました。公開情報とは、企業のウェブサイト、報告書、有価証券報告書、IR情報、報道記事、公開された質問への回答(インタビューなど)、商品情報などが含まれます。

公開された情報に基づき、企業からの修正の申し出を受け付けることが可能です。

加えて、ARCならではの調査項目として、動物福祉に関するステークホルダーとのエンゲージメントの有無を加えています。エンゲージメントを行っていることを公表している企業とともに、当会とのエンゲージメントの有無を評価しています。

 

調査対象

FARMWISE Impact 2026における評価対象企業(107社)は、日本市場において畜産物、水産物、卵、代替タンパク質等を取り扱う、または流通に関与する企業を中心に構成されています。

本評価は、日本における企業行動の変化を促す観点から、影響度の高い企業群を対象としています。統計的代表性を目的とした無作為抽出ではありません。

対象企業は固定的なものではなく、今後、外食、小売、ホテル、食品製造、商社等の分野ごとに段階的に追加・見直しを行います。

 

認定NPO法人アニマルライツセンターについて

アニマルライツセンターは、ファームアニマルの福祉向上を通じて持続可能な畜産と食料システムの実現を目指す認定NPO法人です。企業との対話と調査を継続し、アニマルウェルフェアを経営課題として制度化する取り組みを進めてきました。国際的な動向とも接続しながら、日本企業の構造的な変化を後押ししています。

 

 

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