
【国連主導のSDGsネットワーク・SDSN Thailandが金沢工業大学を視察】
「Japanサステナビリティ・スタディツアー」ホスト大学の候補として
金沢工業大学が選定されたことを受けて。
SDGsを軸にアジア地域の大学との協働拠点の役割を目指す。
金沢工業大学SDGs推進センター(センター所長:平本 督太郎 情報デザイン学部 経営情報学科教授)は、SDSN Japanと連携し、2025年4月24日(木)・25日(金)の2日間、国連が主導する国際ネットワークであるSustainable Development Solutions Network(SDSN)※のタイ支部「SDSN Thailand」の視察団を迎え、SDGsに関する教育・研究と地域連携の取り組みに関する意見交換を行いました。
今回の視察は、2025年12月に開催が予定されている「Japanサステナビリティ・スタディツアー」に先立って実施されたもので、金沢工業大学がそのホスト大学の候補として選定されたことにより実現しました。スタディツアーは、タイの大学に所属する幹部職員を対象に、海外の大学におけるサステナビリティ推進の取り組みを学ぶことを目的としたプログラムです。これまでに、マレーシアのサンウェイ大学および香港中文大学をホスト大学として、2回にわたり実施されてきました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202506110321-O2-HuCjjgJI】
写真中央左側:「SDSN Thailand」視察団
写真中央右側:写真中央から大澤敏学長、平本 督太郎SDGs推進センター長、環境デザイン創成学科 池田 梨花 講師
【SDSN Thailand視察団による視察の概要】
【1日目】
金沢工業大学SDGs推進センターにて、金沢工業大学およびSDSN Thailandそれぞれの取り組み紹介を行ったのち、学生団体「SDGs Global Youth Innovators」によるSDGs教材「THE SDGsアクションカードゲームX(クロス)」英語版の体験セッションを実施。さらに、金沢工業大学の産学連携の地域実装事例として、SDGsに先進的に取り組む会宝産業株式会社(自動車リサイクル事業)への視察が行われました。工場見学による循環型社会を支える技術紹介の実施とともに、会宝産業によるグローバル展開、中小企業でも実現可能なAIを活用したDXの推進、サステナブル経営を実現するための成功要因に関する説明が行われました。また、金沢工業大学との産学連携がなぜ経営に大きな好影響を与えているのかについて意見交換が行われました。
【2日目】
地域連携先として野々市市の取り組みを視察しました。「学びの杜ののいちカレード」にて粟 貴章市長による歓迎挨拶の後、野々市市役所職員から、金沢工業大学との協働による市民参加型のSDGsの推進とSDGs未来都市計画に基づくまちづくりの取り組みについて説明を受けました。その後、なぜ野々市市と金沢工業大学が密に連動し地域社会の変革を促せているかについて意見交換が行われました。その後、SDGs推進センターにて、視察を通じて得た知見をもとに、12月に実施予定のスタディツアーの内容やプログラム設計に関する意見交換を行いました。
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学生団体「SDGs Global Youth Innovators」によるSDGs教材「THE SDGsアクションカードゲームX(クロス)」英語版の体験セッションの模様
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SDGsに先進的に取り組む会宝産業株式会社(自動車リサイクル事業)への視察
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歓迎挨拶を行う野々市市の粟貴章市長 (学びの杜ののいちカレード)
【視察を通じて得られた評価と今後の展望】
SDSN Thailandの視察団からは、金沢工業大学の全学的なSDGs教育の体制や、学生が主体的に取り組むプロジェクト、企業・自治体との連携による実践知の融合などに対して高い評価が寄せられたほか、グローバルとローカルを行き来する視座を持った学びのあり方にも強い関心が示されました。
現在、2030年のSDGs達成に向けたイノベーション・パートナーシップの飛躍的な進化が求められるとともに、2027年から始まる2031年以降のポストSDGsの内容検討に関する国際交渉に向けた各国での準備が本格化しています。こうした中で、急成長を遂げるアジア各国では、更なる急成長と持続可能性の向上を促すための技術力の強化と、「誰一人取り残さない」という観点から急速な成長とのトレードオフとなっている都市と地方の格差是正が今後の重要課題として注目されています。そして、日本の地方はこれら2つの重要課題において先進的な取組が行われてきたと再評価されてきています。こうした背景から、今回の視察においても、日本の地方での実践事例として国際的なモデルになりうると高い評価が寄せられました。
金沢工業大学では、こうしたアジア各国の動きを追い風とすべく、グローバルとローカルを行き来する視座を持った若者を育成するための「学びの環境整備」や「地域連携・国際連携の機会充実」に対してこれまで以上に力を入れています。
今後、金沢工業大学はSDSN Japanとの連携により、SDSN Thailandとスタディツアー受け入れに向けた準備を進めるとともに、SDGsを軸とした国際教育ネットワークの中でアジア地域との協働拠点としての役割を果たしていくことを目指します。
※Sustainable Development Solutions Network(SDSN)
SDGs(持続可能な開発目標)に関する世界最大のネットワーク。国連事務総長の後援の下、世界中の大学、シンクタンク、国立研究所と協働し、持続可能な開発に関わる重要課題へのグローバルおよびローカルな解決策を特定することを目的に活動。科学、政策、そして持続可能な開発の実践活動が交差する領域で活動し、教育、研究、政策分析、国際協力を通じて、SDGsおよびパリ協定の推進に取り組んでいる。なお、金沢工業大学からは、SDSN の日本拠点であるSDSN Japanにリーダーシップカウンシルメンバー(理事)として情報デザイン学部 経営情報学科の平本 督太郎教授が参画し、Network Manager(事務局長)として同学部 環境デザイン創成学科の池田 梨花講師が参画している。
【SDGsをリードする金沢工業大学が2025年4月に「情報デザイン学部」を新設】
金沢工業大学は2025年度より「情報デザイン学部」、「メディア情報学部」という文理探究志向2学部と「情報理工学部」を新設。従来の4学部12学科から6学部17学科体制へと進化しました。
特に「情報デザイン学部」は「データサイエンス力×デザイン力×マネジメント力」の習得により、ビジネスと地域活性化の両立という視点から持続可能な社会の実現を目指す学部で、経営情報学科と環境デザイン創成学科の2学科で構成されています。
経営情報学科では「マネジメント」・「マーケティング」・「金融」・「IT」の4分野を融合的に探究し、ビジネスを通じて持続可能な社会を実現するために種々の社会課題の解決ができる人材育成を目指しています。特に、金融とIT/AIの双方に強い人材育成を行うという点では唯一の学科であり、卒業後における産業界での市場価値向上を実現する科目が充実しています。
環境デザイン創成学科は、地球温暖化や資源循環といったSDGsの課題を「デザインの力」で解決することをめざす学科です。サステナビリティやウェルビーイング(心も体も満たされた状態)に関する授業に加え、コミュニケーションデザインや異文化理解、自治体・NGOとの協働プロジェクトなど実践的な科目が充実しており、学びの幅は理系と文系を横断します。金沢工業大学の中で最も女性教員が多い等、多様性が高い点も特徴です。1・2年次から複数教員が連携して少人数の研究室を運営し、学生一人ひとりの興味を丁寧に引き出すサポート体制を整えています。また、授業や課外活動での海外大学や国際機関との連携を通じて国際感覚を養い、地域と協力した食品ロス削減などのプロジェクトや、AIを活用した教育改革などの社会変革の実践にも取り組みます。こうした学びを通じて、持続可能で「誰一人取り残さない社会」をデザインし、次世代の新しいビジネスや社会システムの創造をリードできる人材を育成します。
【関連ページ】
●金沢工業大学SDGs推進センター
https://www.kanazawa-it.ac.jp/sdgs/
●金沢工業大学情報デザイン学部 について
https://www.kanazawa-it.ac.jp/gakubu_daigakuin/c-design/index.html