企業が加齢するとイノベーションが生まれなくなる理由
早稲田大学とウィスコンシン大学の研究グループが、企業の研究開発ポートフォリオの硬直性がイノベーションに及ぼす影響を研究しました。企業が加齢すると、研究開発ポートフォリオが過去に偏り、硬直化する傾向があります。この硬直化により、発明の質が低下する一方で、発明の量は増加することが観察されました。これは、特定の技術分野に長期的に焦点を当て続けることが、イノベーションの低下につながることを示唆しています。研究はアメリカ企業を対象に行いましたが、日本でも同様の傾向が見られます。この結果から、高齢化した企業は、柔軟な経営資源の組み換えが必要であることが分かりました。
企業が加齢するとイノベーションが生まれなくなる理由
研究開発ポートフォリオの硬直性とイノベーションの関係を解明
詳細は早稲田大学HPをご覧ください。
発表のポイント
●企業が加齢するとなぜパフォーマンスが低下するのでしょうか。これまでの研究では、加齢すると企業は硬直化するからだと考えられてきましたが、その硬直化の程度は測られてはいませんでした。
●本研究では、企業の研究開発ポートフォリオを用いて、その硬直性を測定しました。その結果、企業の研究開発ポートフォリオが硬直化すると発明の質が低下する一方、発明の量は多くなることが観察されました。これは、同じ技術分野への持続的な焦点がイノベーションを低下させるという結果です。企業が高齢化すると、研究開発の柔軟性を上げることが、より高品質なイノベーション成果を生み出すための重要な戦略的なポイントであることを強く示唆しています。
企業はなぜ、加齢に伴いパフォーマンスが低下するのでしょう。これまでの研究では、経営資源の組み換えが起こりにくくなることが原因だと考えられてきましたが、その硬直化の程度は測定されていませんでした。
そこで、早稲田大学商学学術院の清水洋(しみず ひろし)教授、ウィスコンシン大学の山口翔太郎(やまぐち しょうたろう)アシスタント・プロフェッサーらの研究グループは、研究開発のポートフォリオを測り、硬直性を測ることで、硬直性が高まると、研究開発が生み出す特許の量は多くなるものの、その質が低下してくることを明らかにしました。この結果は、高齢化した企業ほど、経営資源の柔軟な組み換えが戦略的に必要になることを強く示唆するものです。本研究はアメリカ企業を対象にしたものですが、日本企業でも同じ傾向が観察されました。
本研究成果は、2025年4月26日(現地時間)にSPRINGER NATURE社発行の『Journal of Evolutionary Economics』誌にオンライン掲載されました(論文名:Age of U.S. public firms, proximity to the past patent portfolio, and innovation)。
これまでの研究で分かっていたこと(歴史的な背景など)
企業が加齢すると、収益性が低下したり、イノベーションが少なくなることは広く観察されてきました。また、それは企業が硬直化するからだろうと考えられてきました。だからこそ、スタートアップなどの新しい企業が重要だと考えられてきました。しかし、その硬直化の程度ははかられてはいませんでした。
今回新たに実現しようとしたこと、明らかになったこと、新しく開発した手法
本研究では、硬直化の程度を、企業の研究開発ポートフォリオの過去との近似性をコサイン類似(※)を使って測定しました。これまでにコサイン類似度は、異なる企業間の技術的な類似度を測定するときには使われてきました。本研究はそれを、同じ企業間の過去との研究開発の類似度を測定することに応用しました。
その結果、企業の研究開発ポートフォリオが硬直化すると発明の質が低下する一方、発明の量は多くなることが観察されました。この傾向は、アメリカ企業だけでなく、日本企業でも観察されています。
研究の波及効果や社会的影響
日本では、アメリカに比べて企業の新陳代謝が少なく、「企業の高齢化」が進んでいると指摘されています。本研究は、こうした状況を踏まえ、(1)加齢した企業にとっては、経営資源を柔軟に組み替えることができるかどうかが戦略的に重要であるという点と、(2)新たな企業の創出や企業の退出を促進することが重要であることを、改めて確認するものです。
課題、今後の展望
今回は、企業の加齢の影響の解明を進めました。ただ、加齢自体が問題というわけではありません。加齢に伴って、組織が硬直化してしまうことが問題です。今後は、加齢しても硬直化しないのは、どのような企業なのかを分析する予定です。
また、硬直化と言っても悪いことばかりではありません。同じ領域で研究開発を続けるからこそ到達できる成果があるのではないかと考えます。特に、ジェネラル・パーパス・テクノロジーと呼ばれる汎用性の高い技術は、まさにこの例といえるでしょう。社会全体で研究開発を考えると、同じ領域で累積的に研究開発を続けられることも大切ではないかと考えています。
研究者のコメント
企業の加齢の問題は、日本では顕著です。今回の論文では一般的に経営資源の組み換えがしやすいと考えられているアメリカ企業で分析しました。日本企業でも組織の硬直化で同じような傾向が見られています。実は、むしろわれわれの調査では、日本企業の硬直化の程度はさらに高いものでした。おおよそ30歳代の日本企業は90歳代のアメリカ企業と同程度の硬直性の程度です。既存の大企業はイノベーションでも重要な役割を担うべき存在です。どのようにすれば、大企業が硬直化せずにイノベーションを生み出していけるのかを考える第一歩としたいと考えています。
用語解説
※コサイン類似
コサイン類似度とは、2つのモノゴトの類似性を測定するための手法です。2つのモノゴトをベクトルで表し、そのベクトルがどれくらい同じ向きを向いているかを数値で表す指標です。
論文情報
雑誌名:Journal of Evolutionary Economics
論文名:Age of U.S. public firms, proximity to the past patent portfolio, and innovation
執筆者名(所属機関名):清水洋(早稲田大学商学学術院)、山口翔太郎(Wisconsin School of Business, University of Wisconsin)、新田隆司(京都産業大学経営学部)、原泰史(神戸大学大学院経営学研究科・経営学部)
掲載日時 : 2025年4月26日(現地時間)
掲載URL: https://link.springer.com/article/10.1007/s00191-025-00898-6
DOI:https://doi.org/10.1007/s00191-025-00898-6
研究助成
研究費名:科研費 19 KK0326
研究課題名:「経営資源の流動性とイノベーションの長期時系列国際比較」
研究代表者名(所属機関名):清水洋(早稲田大学)
研究費名:科研費 21H04401
研究課題名:「日本の産業動態の研究:マルチレベル・アプローチ」
研究代表者名(所属機関名):淺羽茂(早稲田大学)
研究費名:科研費 20H00074
研究課題名:「領域横断的リンケージに注目したイノベーションシステムの実証的解明」
研究代表者名(所属機関名):青島矢一(一橋大学)
【キーワード】
イノベーション、研究開発の硬直化、企業の加齢、量と質のトレードオフ、研究開発のポートフォリオ
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