C&W、2024年上半期の物流レポートを発表
グローバル不動産総合サービス会社のクッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(グローバル本社:米国イリノイ州シカゴ、日本本社:千代田区永田町、C&W)は、リテール市況について最新のレポートを発表致しました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202408285510-O11-v8wbp6E6】
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2024年上半期 市況
需要:輸送総量は頭打ち、優れた立地条件を有する高スペックな施設を活用した消費者向け物流コストの削減余地は大きい
2024年上期の輸送総量の動き(1)を総括すると、価格高騰の続く建設関連資材(前年同期比4.3%減)や回復の鈍い消費関連貨物(同0.7%減)などを背景に、昨年度に引き続き国内貨物輸送量は同2.3%減の減少となった。国際貨物輸送量をみると、急速な円安に伴い輸出数量が増加、輸出入合計の数量ベースでも前年同期比1.3%増に転じた。
しかし、価格ベースでの輸入は減速(前年同期比12.1%減)、輸出は微増(同1.3%増)した結果、年間貿易赤字は2023年の6.5兆円から 2024年は3.6兆円にほぼ半減する見通し。民需の低迷を受けて国内企業向け物価は+1.5% 2はさらに減速したものの、コアCPIは+2.6% (2)に高止まりしており、遅行する消費者に対する価格転嫁が進む。足許の成長率は上振れしたものの、年間の国内経済を総括すると、個人消費及び住宅投資のマイナスを外需や減速する企業の設備投資で補いきれず、2024年度の実質GDP成長率はマイナス0.2%と4年ぶりのマイナス成長となる見通し。
過去10年間のGDP対比で物流コスト比率(2)の推移をみると、日本(年平均9.1%)は、 米国(同7.9%)を大きく上回る。輸送総量の増加が見込まれない中では、立地条件の改善、作業効率の改善に伴うコスト体質改善はより重要なテーマとなる。そこで、2010 年以降の産業別物流費比率の推移をみると、単価が低いため効率化が遅れてきた消費者向けEC需要関連でのコスト低減が目立つ。なかでも、高コスト体質であった9% 近辺で推移してきた食品(要冷蔵)や卸売(衣料品)におけるコスト改善が著しい。一方、単価が高い電気機器などにおける物流費率は2%近辺で推移。法人向け需要が主となる精密機器なども含めて、さらなるサプライチェーン効率化の余地は限定的といえるだろう。
供給:開発マージンの縮小を受けて東京圏における高水準での供給は減少へ、供給過多な地域での賃料調整は継続
2024年上期も東京圏では郊外の大型施設を中心に竣工が継続、東京圏では年間2.3百万平米、大阪圏では年間0.6百万平米、名古屋圏では年間0.9百万平米を超える供給となった。主な期中の竣工物件としては、東京圏の都市型物流案件が目立った。東京内陸ではラサール不動産投資顧問によるロジポート多摩瑞穂(GFA:162千平米)、大和ハウス工業によるDPL青梅(GFA:138千平米)と大型竣工が相次いだ。地方都市では東急不動産、東京建物、西日本新聞社によるT-LOGI福岡アイランドシティ(GFA:148千平米)など新たな合弁事業も目立った。
今後2年間の新規供給計画(下中グラフ参照)を総括すると、東京圏で年間1.7百万平米、大阪圏では年間1.1百万平米、名古屋圏では年間0.3百万平米。 2019年初以降の工事原価が約3割 (3)上昇しているため、開発マージンが縮小した東京圏の供給は既にピークアウトしている。
物流施設の需要を牽引するオンラインショッピングは、2016年以降3倍近い規模まで年率12%で拡大してきた。近年は、人口千人当たりのLMT ストックが不足してきた九州地域での伸び率が加速している。そもそも、一人当たりのオンラインショッピングの金額を地域別に比較すると、関東(10,518円)に対して、近畿(8,177円)、東海(7,163円)や九州(6,258円)の成長余地は大きい。実質個人消費がややマイナスで推移する中でも、今後もコスト削減を実現できる都市型物流施設の供給に喚起された消費者需要の拡大は期待できるだろう。
出所:内閣府、総務省
*コア消費者物価指数の季節調整済前年同期比
1) 国土交通省「自動車輸送統計月報」「内航船舶輸送統計月報」
2) 日本ロジステックスシステム協会(JILS)、Council of Supply Chain Management Professionals (CSCMP)
3) 建設物価研究会(2024年7月)
弊社調査対象:2000年以降に竣工した15,000坪以上のマルチテナント型大型物流施設 (LMT) 。名古屋・福岡は5,000坪以上の施設が対象。大型賃貸取引などについては、BTS(シングルテナント) を含む
注記のないものにつき、データはすべて2024年6月末付け。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202408285510-O16-4X0VQOr5】
主な投資取引の動向
2024年上期の投資動向を総括すると、コスト上昇を受けた開発マージンの縮小、インフレ率を下回る予想賃料の伸び、安定した不動産価格の推移などを理由とした企業グループ内での出口売却が重なった(次項、下段表を参照)。金利上昇に伴い資金調達環境の悪化が見込まれることからも、投資基準はより厳格化されつつあり、引き続き軟調な取引環境の継続が見込まれる。
アウトルック
都市型冷凍冷蔵倉庫の供給は不足:
今後のEC向け開発動向では、消費者向け物流コストの削減を実現できる立地条件、自動化を実現できる機能面での対応余地が最も大きい都市型冷蔵倉庫に着目していきたい。四大都市圏の開発動向(巻末地図参照)を概観すると、冷蔵倉庫の立地条件は湾岸の水産物・食品加工向けの旧型倉庫(フロン規制未対応)に偏重している。さらに、町丁目別の購買力平価を四分位で重ねてみると、消費者向け都市型物流の拠点となる内陸部での供給は極めて限定的であることもわかる。 2021 年以降、東京・横浜の稼働率1は満床を超える状態が恒常化していることなどからも、従来の食品スーパーを補完する都市型冷凍冷蔵施設にかかる開発余地は大きい。
東京圏・名古屋圏を除いた空室率は低位安定:
東京圏では、供給過多な圏央道茨城や東北道において、局所的に15%までの空室率の高止まりを見込む。また当面の大量供給が続く名古屋圏の空室率も同様の高止まりを見込む。しかし地方都市の先進的物流施設ストックは未だ不十分であり、新規供給に合わせて需要が喚起される状況は継続する見通し。
賃料は二極化へ:
都心部における都市型物流施設、付加価値を提供できるデベロッパー保有物件の価格支配力は高止まりしているものの、その他エリアの既存物件については物流コスト増で苦戦するテナントに対して、今後二年間の期待インフレ率(<2%)を上回る価格転嫁が難しい状況を見込む。
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詳細レポートはPDFでご覧いただけます。
‐以上‐
クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドについて
クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(C&W)はニューヨーク取引証券所に上場している世界有数の事業用不動産サービス会社です。世界約60カ国、400拠点に約52,000人の従業員を擁しています。施設管理、売買仲介、鑑定評価、テナントレップ、リーシング、プロジェクト・マネジメントなどのコア・サービス全体で、2023年の売上高は95億ドルを記録しました。受賞歴のある企業文化や、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DEI)、サステナビリティに対するコミットメントにより、業界内外から高い評価を頂いております。
詳しくは、公式ホームページ https://www.cushmanwakefield.com/ja-jp/japan にアクセスするか公式X @CushWake をフォロー下さい。
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