年2回投与のレナカパビル、HIV予防において100%の有効性、および1日1回投与のF/TDFに対する優越性を示す
2024年7月8日
ギリアド・サイエンシズ株式会社
ギリアドの年2回投与のレナカパビル、HIV予防において100%の有効性、および1日1回投与のエムトリシタビン・テノホビルジソプロキシルフマル酸塩配合錠に対する優越性を示す
―第III相HIV予防試験で、史上初の感染ゼロを示す― ―独立データモニタリング委員会は、中間解析の結果から、ギリアドにPURPOSE 1試験の盲検期を終了し、全ての被験者に対して非盲検でのレナカパビル投与を推奨―
ギリアド・サイエンシズ(本社:米カリフォルニア州フォスターシティ、ナスダック:GILD、以下「ギリアド」)は6月20日、第III相ピボタルPURPOSE 1試験の中間解析トップライン結果において、年2回投与のHIV-1カプシド阻害剤のレナカパビル(注射剤)が、シスジェンダー女性に対するHIV予防の研究的使用において100%の有効性を示したことを発表しました。
PURPOSE 1試験において、年2回投与のレナカパビルは、1日1回経口投与のツルバダ(エムトリシタビン200mgおよびテノホビルジソプロキシルフマル酸塩300mg:F/TDF)およびバックグラウンドHIV発生率(bHIV)との比較で優越性が示され、有効性評価項目を達成しました。これらの結果に基づき、独立データモニタリング委員会(DMC)は、ギリアドに試験の盲検期を終了し、全ての被験者に対してレナカパビルを非盲検で投与するよう推奨しました。
ギリアドのチーフ・メディカル・オフィサーのマーダッド・パーシー(Merdad Parsey, MD, PhD)は、次のように述べています。「感染ゼロかつ100%の有効性を示した、年2回投与のレナカパビルは、HIV感染予防に対する重要かつ新たなツールとしての可能性を示しました。私たちは、現在進行中のPURPOSE臨床プログラムから得られる追加の結果を心待ちにするとともに、世界の全ての人々のためにHIV流行を終結させるという当社の目標のため、今後も尽力していきます」
これらのデータは、これまでに実施されたHIV予防試験プログラムの中で、最も包括的かつ多様なギリアドの画期的なPURPOSEプログラムから得られた最初のデータです。PURPOSEプログラムは、科学、試験デザイン、コミュニティの関与および健康の公平性におけるイノベーションにフォーカスした、世界的な5つのHIV予防試験で構成されています。
PURPOSE 1試験のトップラインデータ
PURPOSE 1試験は、南アフリカ(25施設)およびウガンダ(3施設)で、16~25歳のシスジェンダー女性および少女、5,300名以上を対象に、曝露前予防(PrEP)として年2回皮下投与のレナカパビルと、1日1回経口投与のデシコビ(エムトリシタビン 200mgおよびテノホビルアラフェナミド 25mg:F/TAF)の安全性と有効性を評価する、第III相、二重盲検、無作為化試験です。両剤の評価は並行して行われ、第1グループは年2回投与レナカパビル群、第2グループは1日1回経口投与F/TAF群、さらに第3グループは、1日1回経口投与F/TDF群が割り当てられました。被験者は、2:2:1の比率で無作為にレナカパビル群、F/TAF群、F/TDF群にそれぞれ割り付けられました。既に効果的なPrEPの選択肢が存在するため、PrEPの分野ではプラセボの投与は非倫理的であると広くコンセンサスが得られています。従って、本試験では、bHIVが第1次比較対照、F/TDF群が第2の比較対照に設定されました。
レナカパビル群の2,134名の女性において、HIV感染例はありませんでした(発生率:0.00/100人年)。F/TDF群では、1,068名の被験者のうち、感染例は16件でした(発生率:1.69/100人年)。この結果から、bHIV(主要評価項目、発生率:2.41/100人年)、1日1回経口投与のF/TDF(副次評価項目)との比較のいずれにおいても、年2回投与のレナカパビルの優越性が示されました(有意水準:p<0.0001)。本試験において、レナカパビルの忍容性は概して良好で、重大または新たな安全性に対する懸念は認められませんでした。
F/TAF群のHIV発現率は、数値的にF/TDF群と類似しており(2,136名の女性のうち、感染例は39件、発現率:2.02/100人年)、bHIVに対する統計学的な優越性は認められませんでした。シスジェンダー女性を対象とした過去の臨床試験では、一般的に毎日経口剤をPrEPとして服用することにおいてアドヒアランスの問題がみられましたが、PURPOSE 1試験におけるF/TAFおよびF/TDFに関するアドヒアランス解析は現在進行中です。本試験では、F/TAF、F/TDF両剤の忍容性は概して良好で、新たな安全性に対する懸念は認められませんでした。
PURPOSE 1試験の詳細データについては、今後の医学学会で発表予定です。
南アフリカ・ケープタウン大学 Desmond Tutu HIV Centerのセンター長で、国際エイズ学会元会長であるリンダ-ゲイル ベッカー医師(Linda-Gail Bekker, MBChB, DTM&H, DCH, FCP(SA), PhD)は、次のように述べています。「年2回投与のPrEPとしてレナカパビルが承認された場合、PrEPにより恩恵を受ける可能性がある世界中の多くの人々、特にシスジェンダー女性の生活に合った極めて重要なHIV予防の新たな選択肢になります。従来のHIV予防選択肢は、処方された通りに服用すれば、非常に効果的であることは認められていますが、年2回投与のPrEPとしてのレナカパビルは、経口PrEP薬の服用・保管の際に一部の人々が直面し得るスティグマや差別解消の一助となると同時に、年2回投与により、アドヒアランスおよび持続性の向上が期待されます」
シスジェンダー女性におけるHIV予防としてのレナカパビルやF/TAFの使用については研究段階にあり、安全性や有効性は確認されておらず、世界のいずれの国においても承認されていません。
年2回投与のPrEPとしてレナカパビルを評価する、他のPURPOSE試験が現在進行中
ギリアドは、アルゼンチン、ブラジル、メキシコ、ペルー、南アフリカ、タイおよび米国において、男性と性交渉を持つシスジェンダー男性、出生時の性別が男性のパートナーと性交渉を持つトランスジェンダー男性、トランスジェンダー女性、およびノンバイナリーを対象に、年2回投与のPrEPとしてレナカパビルを評価するPURPOSEプログラムにおける、もう1つのピボタル試験であるPURPOSE 2試験から、2024年末あるいは2025年初めに結果がまとまると予想しています。新たなHIV予防選択肢を最も必要としている多くの人々のために、PrEPを適応とするレナカパビルが確実に承認されるよう、規制当局への申請には、肯定的な結果が得られた場合、PURPOSE 1、PURPOSE 2両試験結果が含まれる予定です。
ギリアドは、各国/地域でHIVの影響を受けているコミュニティとのパートナーシップ構築に取り組むとともに、プログラムデザインから被験者募集の戦略まで、PURPOSE試験に対するコミュニティからの意見を参考にしています。このような共同での取り組みは、今後もギリアドが厳密性や革新性を持って臨床試験を実施し、これまでHIV予防研究において十分に取り上げられることのなかったコミュニティの声を意識的に取り込むことに活かされます。また、ギリアドがPURPOSE 1試験や将来成功が見込まれる試験のために実施する、試験実施後の科学活動の強化につながります。
ギリアドは、年2回投与のPrEPとしてのレナカパビルが規制当局に承認された場合、最大限の効果を発揮させるため、アクセスの確保が重要であることを認識しています。今回のマイルストーンおよびギリアドがHIVにより影響を受けたコミュニティに継続して関与していくことを踏まえ、発現率が高く、資源が限られている主に低・中所得の国々に対して計画中のアクセスに関するアプローチについて、パートナーコミュニティに説明し、公式声明を出す予定です。
個々の試験の詳細、対象者および実施場所など、PURPOSEプログラムに関する詳細については、www.purposestudies.comをご参照ください。
米国におけるPrEPとしてのF/TAFの適応について
PrEPとしてのF/TAFは、性交渉でのHIV-1感染リスクのある成人および青年(35 kg以上)のリスク低減が適応とされています(受容性膣性交によるリスクがある者は除く)。また、HIV-1陰性であることを開始直前に確認する必要があります。
・使用上の制限事項:PrEPとしてのF/TAFは、米国FDAによる当該集団における有効性が評価されていないため、受容性膣性交によるHIV-1感染のリスクがある者に対しては適応外となります。
米国におけるPrEPとしてのF/TAFに関する重要な安全性情報
枠組み警告:診断未確定のHIV-1感染初期およびB型肝炎の急性増悪治療後における、PrEPとしてのF/TAFの使用による薬剤耐性リスク
・PrEPとしてのF/TAFは、開始直前および投与中に少なくとも3カ月ごとにHIV陰性と確認された方に限り処方してください。未検出の急性HIV-1感染後のエムトリシタビン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(FTC/TDF)のHIV-1に対するPrEPとしての使用において、薬剤耐性を有するHIV-1変異株が確認されています。急性HIV-1感染の徴候または症状がみられる場合は、HIV陰性が確認されない限り、投与を開始しないでください。
・FTCおよび/またはTDF含有製品の投与を中止したB型慢性肝炎(HBV)感染者において、重度のB型肝炎の急性増悪が報告されており、F/TAFの投与中止後にも同様の事象が発現する場合があります。F/TAFの投与を中止したHBV患者について、少なくとも数カ月間、臨床および臨床検査の両面で肝機能の経過観察を注意深く行ってください。適切と判断された場合、抗B型肝炎治療が必要となる場合があります。
禁忌
・PrEPとしてのF/TAFは、HIVの感染が不明または陽性の方には使用しないでください。
警告および使用上の注意
・感染リスク低減のための包括的管理
○ 性感染症(STI)リスク低減のために、毎日の服用に対するアドヒアランスおよびコンドームなど、より安全な性行為を含む包括的戦略の一環として、HIV-1感染リスク低減のためにPrEPとしてのF/TAFを使用してください。
○ HIV-1リスク要因:行動的、生物学的または疫学的なHIV-1リスク要因には、以下が含まれますが、それらに限定されるものではありません:コンドームを使用しない性交渉、過去または現在のSTI、自己認識しているHIVリスク、HIV-1ウイルス血症の状態が不明な性交渉相手を有する、あるいは有病率の高い地域やネットワーク内での性交渉
○ STIリスク低減:STI予防措置について助言を行ってください(例:一貫した正しいコンドームの使用、パートナーのHIV-1ウイルス血症の状態に関する知識、STIの定期的な検査)
○ 薬剤耐性の可能性低減:PrEPとしてのF/TAFは、投与直前、投与中は少なくとも3カ月ごと、およびSTIと診断された時点で、HIV陰性であると確認された方にのみ処方してください。F/TAF単独ではHIV-1治療に対する完全なレジメンではないため、F/TAFのみを服用している診断未確定のHIV感染者にHIV-1耐性置換が発現することがあります。
○ HIV検査の中には、急性HIV感染症を検出できないものもあります。PrEPとしてのF/TAFの投与を開始する前に、最近の曝露状況について確認してください。最近(1カ月未満)の曝露が報告された、または急性HIV感染症の疑いや症状(例:発熱、倦怠感、筋肉痛、皮膚炎)がある場合、急性HIV感染症診断への使用がFDAに承認されている検査で、HIV陰性を確認してください。
○ PrEPとしてのF/TAF投与中にHIV-1感染が疑われる場合、または急性感染の症状が認められる場合、急性HIV感染症診断への使用がFDAに承認されている検査でHIV陰性が確認されるまで、PrEPとしてのF/TAFを用いたレジメンを完全なHIV治療レジメンに変更してください。
○アドヒアランスに関する指導:有効性はアドヒアランスと強い相関があるため、毎日の服用を遵守するよう指導してください。青少年など一部の方では、より頻繁な来院やカウンセリングが有益な場合があります。
・腎機能障害の新規発現または悪化:急性腎不全、近位腎尿細管症(PRT)、ファンコニ症候群などの腎機能障害に関する市販後症例が、テノホビルアラフェナミド(TAF)含有製品で報告されています。対象者のクレアチニンクリアランス推定値(CrCl)が30 mL/min未満の場合は、F/TAFの投与を開始しないでください。腎機能障害を有するおよび/または腎毒性薬剤(NSAIDを含む)を投与している患者は、腎臓関連の副作用リスクが上昇します。対象者に臨床的に重大な腎機能の低下またはファンコニ症候群のエビデンスが認められた場合には、F/TAFの投与を中止してください。全ての対象者について、腎機能のモニタリングを行ってください(「用法および用量」の項を参照)。
・乳酸アシドーシスおよび脂肪症を伴う重度の肝腫大:FTCおよびTDFを含むヌクレオシド類似体の使用による死亡例が報告されています。顕著なトランスアミナーゼ上昇を伴わない肝腫大や脂肪症を含む、乳酸アシドーシスまたは顕著な肝毒性を示唆する臨床または検査所見が発現した場合、使用を中止してください。
副作用
・PrEPとしてのF/TAFの臨床試験における主な副作用(全グレードで発現率2%以上)は、下痢、悪心、頭痛、倦怠感、腹痛でした。
薬物相互作用
・処方情報:臨床コメントを含む詳細情報、警告、重大な薬物相互作用の可能性については、F/TAFの完全な処方情報を参照してください。
・代謝:P-gpを阻害する薬剤は、F/TAFの成分であるテノホビルアラフェナミド(TAF)の濃度を上昇させる可能性があります。P-gpを誘導する薬剤は、TAFの濃度を低下させ、有効性が失われる可能性があります。
・腎機能に影響を及ぼす薬剤:F/TAFと腎機能を低下させる、または活発な尿細管分泌と拮抗する薬剤とを併用すると、FTCおよびテノホビルの濃度が上昇し、副作用のリスクが上昇する可能性があります。
用法および用量
・用法・用量:食事の有無に関わらず、1日1回1錠
・HIVスクリーニング:投与開始直前、投与中は少なくとも3カ月ごと、およびSTIと診断された時点で、HIV-1感染検査を行ってください(「警告および使用上の注意」の項を参照)
・HBVスクリーニング:F/TAFの投与開始前または投与開始時にHBV感染検査を行ってください。
・腎機能障害およびモニタリング:CrClが30 mL/min未満の方には投与を推奨しません。F/TAF投与開始前または投与開始時、投与中は臨床的に適切なスケジュールに従って、全ての方に対して、血清中クレアチニン、CrCl、尿糖、および尿タンパクを評価してください。慢性腎臓病患者については、血清リンを評価してください。
ギリアド・サイエンシズについて
ギリアド・サイエンシズは、全ての人々にとって、より健康な世界の実現を目指し、30年以上にわたり医療の革新を追求し、飛躍的な進歩を遂げてきたバイオ医薬品企業です。当社はHIV、ウイルス性肝炎、COVID-19、がんなどの生命を脅かす疾患の予防と治療のため、革新的な医薬品の開発に取り組んでいます。カリフォルニア州フォスターシティに本社を置き、世界35カ国以上で事業を行っています。
ギリアドは35年にわたり、HIV領域におけるリーディング・カンパニーとして、治療、予防、治癒研究の進歩を推進してきました。ギリアドの研究者たちは、HIV治療における最初の単一錠剤レジメンや、HIVの新規感染を減少させるための初めての曝露前予防(PrEP)となる抗レトロウイルス薬、さらには初の年2回投与の長時間作用型注射剤となるHIV治療薬など、12種類のHIV治療薬を開発してきました。こうした医学研究の進歩により、HIVは何百万人もの人々にとって治療および予防可能な慢性疾患となりました。
世界中のHIV感染者の日々変化するニーズに対応するソリューションを提供するため、ギリアドは引き続き科学的イノベーションに取り組んでいます。また、パートナーシップ、連携および慈善事業への寄付を通じて、教育の改善、医療へのアクセス拡大および障壁を取り除き、世界中の全ての人々のHIV感染の根絶を目指します。ギリアドは、「AIDSに関わる資金提供基金」(Funders Concerned About AIDS, FCAA)が発表した報告書において、HIV関連プログラムの慈善資金提供団体として第1位に認定されました。
ギリアドが世界各地で実施している独自のプロジェクト、および世界でHIV流行を終結させるための取り組みについては、こちらをご参照ください。
ギリアドの将来予測に関する記述
本プレスリリースは、1995年の 「米国証券訴訟改革法」に記載されている「将来予測に関する記述」に該当し、いくつかのリスク、不確実性などの要素を含む場合があります。これには、現在見込まれているタイムライン内に臨床試験を開始、進行、完了するギリアドの能力、またはそれらが全く完了できないリスク、F/TAF、F/TDF、レナカパビル(PURPOSE 1およびPURPOSE 2試験など)に関するものを含め、現在進行中および追加の臨床試験から得られた結果が好ましくない可能性、規制当局への承認申請および関連する申請や承認のタイムラインに関連する不確実性、たとえ規制当局から承認を得たとしても、その使用に関して重大な制約が課されるリスク、ギリアドが現在評価中の適応症に関するF/TAFやレナカパビルの開発中止を戦略的に決定し、結果として、F/TAFやレナカパビルが当該の適応症について、全く商業化されない可能性、および上述のいずれかの背景となる前提などがあります。これらのリスクとその他のリスク、不確実性、要因等については、米国証券取引委員会に提出済の2024年3月31日を期末とする四半期報告書(フォーム10-Q)に詳細が記載されています。これらのリスクや不確実性、およびその他の要因により、実際の結果が「将来予測に関する記述」と著しく異なったものとなる可能性があります。歴史的事実以外の全ての記述は「将来予測に関する記述」とみなされる可能性があります。このような「将来予測に関する記述」は将来の業績を保証するものではなく、リスクと不確実性を含むものであり、「将来予測に関する記述」に過度に依拠することのないようご注意ください。「将来予測に関する記述」は全て、ギリアドが現在入手できる情報に基づいており、ギリアドは「将来予測に関する記述」を更新する義務を負うことはなく、更新する意向もありません。
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