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3Dプリンティング × CO2で固まるコンクリート でベンチを製作


~環境負荷低減と地域にゆかりのある意匠を実現して金沢市内の公園に設置~

2024年3月26日
学校法人金沢工業大学
鹿島建設株式会社

 学校法人金沢工業大学(理事長:泉屋 吉郎、以下 金沢工大)と鹿島建設株式会社(社長:天野 裕正、以下 鹿島)は、建設分野向けのセメント系3Dプリンティングと、CO2を材料として固まるコンクリート「CO2-SUICOM®※」の技術を組み合わせた「カーボンネガティブ3Dプリンティング」に関する研究開発を共同で進めています。
 両者は今般、研究開発の一環として行っている公共物製作プロジェクトの成果として、同技術を用いてベンチを製作し、金沢市内の公園(外濠公園二号地)に設置しました。本プロジェクトにより、構造物の生産性向上に資する設計から製造に至るすべてのプロセスのデジタル化、並びに景観に馴染む意匠を表現するための複雑な形状の実現について実証することができました。また、3DプリンティングとCO2-SUICOMの融合により、セメント系造形物として、効率的なCO2の吸収・固定化を達成しています。
 両者は今後も、生産性の向上及びカーボンニュートラルの実現といった建設業が抱える課題の解決に資するため、本技術の研究開発を進め早期の社会実装を目指していきます。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202403228382-O6-9U8L1ElX

【プロジェクトの背景】
 3Dプリンティングの技術は、従来の型枠を用いた施工方法では実現が困難な造形を可能にするものとして建設分野でも注目を集めており、研究開発が進んでいます。また、2050年カーボンニュートラル社会の実現に資する技術として、CO2-SUICOMを含む環境配慮型コンクリートの開発も急ピッチで進められています。しかし、それらの社会実装を早期に進めていくためには、両技術を用いて製作した実用的な構造物をできるだけ多くの人が触れられる場所に設置し、実際に使ってもらうことでフィードバックを得て、さらなる改良・改善を行っていくことが必要です。そのため本プロジェクトでは、計画の当初から成果物を公共の場に設置することを目標とし、金沢市の協力を得て、産官学の取組みとして検討を進めてきました。

【ベンチの特長】
(1) CO2の吸収効率の向上
3Dプリンタは型枠無しで複雑な形状の造形物を製作できることが大きな特長です。一方、CO2-SUICOMは外部からCO2を強制的に供給することで部材の表面からCO2を吸収して固まるため、CO2を効率的に吸収・固定化させるためには、CO2との接触面積を増やすことが有効です。今回製作したベンチは、3Dプリンタの造形技術でベンチ脚部をヒダ形状にすることで、空隙がないベンチと比べ表面積を約1.7倍に増大、CO2吸収割合を2倍以上にまで向上させました。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202403228382-O11-13IV4z8d

 
(2) ベンチの意匠
  本ベンチは金沢市内の公園という公共の場に設置するため、市民や観光客に受け入れられるデザインを目指して、金沢にゆかりのある加賀友禅の製作工程である友禅流しをモチーフとしました。全長5m、幅0.7mの大きな座面は、友禅流しの壮大さを表現しています。波型形状の座面には白色系の塗装を施すことで加賀友禅が河川に漂う様子をイメージするとともに、ベンチ脚部は褐色系のカラーモルタルを使用することで暗めのトーンとし、友禅流しを模した座面を引き立たせる意匠を採用しています。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202403228382-O7-72KPCBmX

(3) ベンチの製作
 本ベンチは、金沢工大のやつかほリサーチキャンパス内の「KIT×KAJIMA 3D Printing Lab」に設置したロボットアーム式の3Dプリンタを用いて製作しました。製作にあたっては、土木、建築、機械分野等の研究室の教員、学生も多数参画し、鹿島の技術者と一体で研究を進める体制を構築しました。これにより、3Dプリンタの機械的な制御や意匠性、構造成立性、ベンチとしての安全性やCO2の吸収効率までを考慮したデザイン、プリンティングする材料など、多岐にわたる検討が可能となりました。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202403228382-O5-7q10f9Wa
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202403228382-O2-s24gv4WG

                 
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202403228382-O3-naO69k4g

 3Dプリンタで造形したベンチを、Labに設置した炭酸化養生槽に入れ、CO2を強制的に供給することで吸収・固定化させました。その結果、最終的なCO2排出量は-9.7kg/㎥となり、カーボンネガティブとなる3Dプリンティングを達成しました。

 
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202403228382-O12-9y532e7V
 
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202403228382-O10-nU8SgqYi

製作したベンチは金沢工大の扇が丘キャンパスに仮設置し、今回、金沢市内の外濠公園二号地に本設置しました。

           
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202403228382-O9-Kxgd44ag
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202403228382-O8-1tOe8505

【今後の予定】
両者は今後も、「KIT×KAJIMA 3D Printing Lab」を中心に本技術の研究開発を進め、早期の社会実装に向け取り組むことで、社会課題の解決に貢献してまいります。

※CO2-SUICOM®
CO2-Storage and Utilization for Infrastructure by COncrete Materials
CO2-SUICOMは、製造過程において大量のCO2を強制的に吸収・固定化させることにより、コンクリート製造におけるトータルのCO2排出量をゼロ以下にできるコンクリートです。
CO2-SUICOM(シーオーツースイコム)は、 中国電力、鹿島、デンカの登録商標です。

 

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