ギリアド、2023年第4四半期、通期業績を発表
ギリアド・サイエンシズ株式会社
ギリアド、2023年第4四半期、通期業績を発表
-ベクルリーを除く対前年比製品売上高は、2023年通期で7%増- -ビクタルビの対前年比売上高は、2023年通期で14%増- -オンコロジー領域の対前年比売上高は、2023年通期で37%増-
ギリアド・サイエンシズ(本社:米カリフォルニア州フォスターシティ、ナスダック:GILD、以下ギリアド)は2月6日、2023年第4四半期と通期の業績を発表しました。
ギリアドの会長兼最高経営責任者(CEO)ダニエル・オデイ(Daniel O’day)は、「2023年も引き続き、HIVおよびオンコロジーの両領域にけん引され、ギリアドのベースビジネスは増収となりました。好調な実績は、ギリアドにとって新たな変化に満ちた段階へ移行するための強固な基盤となります。2024年には、長時間作用型HIV予防薬・治療薬、細胞療法、およびTrodelvyに関するアップデートなど、いくつかのマイルストーンが達成される見込みです」と述べています。
2023年第4四半期の業績
• 2023年第4四半期の収益は、2022年同期比4%減の71億ドルで、これは主にベクルリー(R)(レムデシビル)およびHIV領域の売上減によるもので、オンコロジー領域の売上増により一部相殺されました。
• 希薄化後1株当たり利益(EPS)は、2022年同期の1.30ドルに対し、2023年第4四半期は1.14ドルに減少しました。これは主に費用・経費総額増およびベクルリーの売上減によるもので、2022年の損失と比較した2023年の未実現持分法投資利益、および税金費用減により一部相殺されました。
• 非GAAPベースの希薄化後EPSは、2022年同期の1.67ドルに対し、2023年第4四半期は1.72ドルに増加しました。これは主に、費用・経費総額減によるもので、ベクルリーの売上減により一部相殺されました。
• 2023年12月31日現在、ギリアドの現金、現金同等物および有価証券は84億ドルで、2022年12月31日現在の76億ドルから増加しています。
• 2023年第4四半期の営業キャッシュフローは22億ドルでした。
• 2023年第4四半期中、ギリアドは9億4300万ドルの現金配当を支払い、1億5000万ドルを活用し、普通株式を買い戻しました。
2023年第4四半期の製品売上
2023年第4四半期の製品総売上高は、2022年同期比4%減の71億ドルでした。ベクルリーを除く製品売上高は、2022年同期並みの63億ドルとなりました。これはオンコロジー領域の売上増によるもので、HIV領域の売上減により一部相殺されました。
2023年第4四半期のHIV製品の売上高は、2022年同期比2%減の47億ドルとなりましたが、これは主にチャネルミックスによる平均実勢価格低下によるもので、需要増およびチャネル在庫変動により一部相殺されました。
• ビクタルビ(R)(ビクテグラビル50 mg/エムトリシタビン200 mg(FTC)/テノホビルアラフェナミド25 mg錠(TAF))の2023年第4四半期の売上高は、2022年同期比7%増の31億ドルでしたが、これは主に需要増によるもので、チャネルミックスによる平均実勢価格低下により一部相殺されました。
• デシコビ(R)(FTC 200 mg/TAF 25 mg)の2023年第4四半期の売上高は、2022年同期比5%減の5億900万ドルとなりましたが、これは主に米国での不利な価格設定の動きによるもので、需要増とチャネル在庫の動きにより一部相殺されました。
2023年第4四半期の肝臓疾患領域の売上高は、2022年同期並みの6億9100万ドルとなりました。売上は不利な価格設定の動きに影響を受けましたが、C型慢性肝炎ウイルス(HCV)およびD型慢性肝炎ウイルス(HDV)製品に対する需要増により相殺されました。
細胞治療薬の2023年第4四半期の売上高は、2022年同期比11%増の4億6600万ドルとなりました。
• イエスカルタ(R)(アキシカブタゲン シロルユーセル)の2023年第4四半期の売上高は、2022年同期比9%増の3億6800万ドルでした。これは主に、米国以外の再発または難治性(R/R)大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)に対する根強い需要によるものです。
• Tecartus(R)(brexucabtagene autoleucel)の2023年第4四半期の売上高は、2022年同期比19%増の9800万ドルでした。これは、成人のR/R 急性リンパ性白血病(ALL)やR/R マントル細胞リンパ腫(MCL)に対する需要増によるものです。
Trodelvy(R)(sacituzumab govitecan-hziy)の2023年第4四半期の売上高は、米国と欧州での需要増を反映し、2022年同期比53%増の2億9900万ドルでした。
ベクルリーの2023年第4四半期の売上高は、2022年同期比28%減の7億2000万ドルでした。これは主に、COVID-19関連の入院率低下によるものです。ベクルリーの売上は、一般的に新型コロナウイルス関連の数値、感染の重症度と入院率、ワクチンと代替薬利用の可能性、採用、および有効性に影響を受けます。
2023年第4四半期の製品売上総利益率、営業費用、および税金
• 2023年第4四半期の製品売上総利益率は2022年同期の81.0%に対し、70.4%でした。これは主に、当社の製造戦略変更に関連する構造改革費、Trodelvy について、治療歴のあるHR+/HER2-転移性乳がん(mBC)の適応が承認された2023年2月以降の関連する無形固定資産償却費、ならびに製品ミックスによるものです。2023年第4四半期の非GAAPベースの製品売上総利益率は、2022年同期の86.8%に対し、86.1%でした。これは主に、製品ミックスによるものです。
• 2023年第4四半期の研究開発(R&D)費は、2022年同期の15億ドルに対し、14億ドルでした。これは臨床活動とMYR関連の条件付対価の評価調整のタイミングによるもので、オンコロジー領域に対する投資増により一部相殺されました。2023年第4四半期の非GAAPベースのR&D費は、2022年同期と同じく15億ドルでした。この減少は臨床活動のタイミングによるもので、オンコロジー領域に対する投資増により相殺されました。
• 2023年第4四半期の買収によるインプロセス研究開発(IPR&D)費は、3億4700万ドルでした。これは主に、Arcellx, Inc.(Arcellx)、Assembly Biosciences, Inc. (Assembly)、およびCompugen Ltd. (Compugen)との共同事業に関連する支払、ならびにXinThera, Inc.(XinThera)買収に関連する目標達成報奨金によるものです。
• 2023年第4四半期の販売、一般管理(SG&A)費および非GAAPベースのSG&A費は、それぞれ2022年同期の20億ドルに対し、16億ドルでした。SG&A費の減少は主に、2022年に計上されていたEverest Medicines(Everest)とのTrodelvy提携契約終了に関連する費用が今期は計上されなかったことによるものです。
• 2023年第4四半期の実効税率(ETR)は、2022年同期の19.6%に対し、14.3%でした。これは主に、一部の繰延税金負債および非課税の未実現持分法投資利益の再測定によるものです。非GAAPベースのETRは、2022年同期の16.8%に対し、17.1%でした。
2023年度通期の業績
• 2023 年度通期の総収益は、2022年度比1%減の271 億ドルでした。これはベクルリーの売上が17億ドル減となったことによるもので、HIVおよびオンコロジー領域の売上増により、ほぼ相殺されました。
• 希薄化後EPSは、2022年度の3.64ドルに対し、2023年度通期では4.50ドルに増加しました。これは主に、IIPR&D減損費用減、未実現持分法投資損失減、および投資収益増によるもので、売上原価および営業費用増、ならびにベクルリーの売上減により一部相殺されました。
• 非GAAPベースの希薄化後EPSは、2022年度の7.26ドルに対し、2023年度通期では6.72ドルとなりました。これは主に、費用・経費総額増、ならびにベクルリーの売上減によるもので、税務当局と合意に達した結果による税金引当金減、および投資収益増により一部相殺されました。
2023年度通期の製品売上
2023年度通期の製品売上高の合計は、ほぼ2022年度並みの269億ドルとなりました。これはベクルリーの売上減によるもので、HIVおよびオンコロジー領域の売上増によりほぼ相殺されました。2023年度通期のベクルリーを除く製品売上高の合計は、2022年度比7%増の247億ドルとなりました。これは主に、HVIおよびオンコロジー領域の売上増によるものです。
2023年度通期のHIV製品の売上高は、2022年度比6%増の182億円でした。これは主に、治療・予防に対する需要増のほか、平均実勢価格上昇および有利なチャネル在庫の動きを反映しています。
• ビクタルビの2023年度通期の売上高は、前年度比14%増の118億ドルとなりました。これは主に需要増と平均実勢価格上昇を反映しています。
• デシコビの2023年度通期の売上高は、前年度比6%増の20億ドルとなりました。これは主に有利なチャネル在庫の動きと需要増によるものです。
肝臓疾患領域の2023年度通期の売上高は、前年度比1%減の28億ドルとなりました。この減少は不利なHCV治療薬の価格設定の動きおよび外国為替相場によるもので、HCV、HDV、およびB型慢性肝炎ウイルス(HBV)治療薬に対する需要増により、一部相殺されました。
細胞治療薬の2023年度通期の売上高は、前年度比28%増の19億ドルとなりました。
• イエスカルタの2023年通期の売上高は、前年度比29%増の15億ドルでした。これは主に、R/R LBCLに対する需要増によるものです。
• Tecartusの2023年通期の売上高は、前年度比24%増の3億7000万ドルでした。これは主に、R/R ALLおよびR/R MCLに対する需要増によるものです。
Trodelvyの2023年度通期の売上高は、前年度比56%増の11億ドルとなりました。これは新規および既存の地域における根強い需要を反映しています。
ベクルリーの2023年度通期の売上高は、前年度比44%減の22億ドルとなりました。これは主に、全地域におけるCOVID-19関連の入院率低下によるものです。
2023年度通期 製品売上総利益率、営業費用、および税金
• 製品売上総利益率は、2022年度の79.0%に対し、2023年度通期では75.9%でした。これは主に、前述の当社の製造戦略変更に関連する構造改革費、償却費増、および製品ミックスによるものです。非GAAPベースの製品売上総利益率は、2022年度の86.6%に対し、2023年度通期では86.3%でした。これは主に製品ミックスによるものです。
• 2023年度通期のR&D費および非GAAPベースのR&D費は、2022年度のそれぞれ50億ドルに対し、57億ドルでした。これは主に、オンコロジーおよびウイルス領域の臨床活動増を反映しています。
• 2023年度通期の買収によるIPR&D費は12億ドルでした。これは主に、Arcellxとの共同事業関連の支払、ならびにXinTheraおよびTmunity Therapeutics Inc.(Tmunity)買収によるものです。
• 2023年度通期のSG&A費は、2022年度の57億ドルに対し、61億ドルでした。2023年度通期の非GAAPベースのSG&A費は、2022年度の56億ドルに対し、61億ドルでした。SG&A費の増加は主に、HIV反トラスト訴訟における原告に対する和解金5億2500万ドル、ならびにオンコロジーおよびHIV領域における商業活動増によるもので、2022年に計上されていたEverestとのTrodelvy提携契約終了に関連する費用が今期は計上されなかったことにより、一部相殺されました。
• 2023年度通期のETRおよび非GAAPベースのETRは、2022年度のそれぞれ21.5%および19.3%に対し、それぞれ18.2%および15.2%でした。ETRの低下は主に、特定の課税ポジションについて税務当局と合意に達した結果による税金引当金減によるものです。
ガイダンス、および今後の見通し
ギリアドの2024年通期ガイダンスは以下の通りです。
• 製品の総売上高は271億ドル~275億ドル。
• ベクルリーを除く製品の総売上高は258億ドル~262億ドル。
• ベクルリーの総売上高は約13億ドル。
• 希薄化後EPSは、5.15ドル~5.55ドル。
• 非GAAPベースの希薄化後EPSは6.85ドル~7.25ドル。
2024年のガイダンスに関するGAAPベースおよび非GAAPベースの財務情報の追加情報と調整は、添付の表に記載されています。財務ガイダンスは、多くのリスクや不確実性を伴います。また、後述の「将来予測に関する記述」もご参照ください。
前回の四半期報告書以降の主な更新情報
ウイルス性疾患
• COVID-19重症化リスク要因を持たない非入院患者さんを対象にobeldesivirを評価する第III相OAKTREE試験において、主要評価項目である症状緩和までの時間の改善が未達であったことを発表しました。obeldesivirはこの大規模試験集団における忍容性は良好でした。
オンコロジー
• 治療歴のある転移性非小細胞肺がんに対するTrodelvyをdocetaxelと比較する第III相EVOKE-01試験において、主要評価項目である全生存期間(OS)が未達であったことを発表しました。統計的検出力はないものの、抗PD-L1抗体薬による免疫療法に対し奏効しなかった患者さんのサブグループにおいて有望な傾向が見られたので、今後さらに研究を進める可能性があります。
• 2023年サンアントニオ乳がんシンポジウム2023において、HR+/ HER2- mBCに対するTrodelvyの第III相TROPiCS-02試験の年齢別臨床アウトカムに関する事後・サブグループ解析を含む、新たなデータを発表しました。
• 米国血液学会2023年次総会("ASH")で、R/R LBCL、高リスクLBCLの一次治療、およびR/R 濾胞性リンパ腫(FL)に対するイエスカルタの試験の長期フォローアップ、ならびにR/R MCLおよびB-cell ALLに対するTecartusのリアルワールドデータを含む、新たなデータを発表しました。
• 米国食品医薬品局(FDA)より、R/R LBCLの二次治療において、標準治療と比較してイエスカルタが統計的に有意なOSの改善を示した第III相ZUMA-7試験のOSデータを含める、イエスカルタの添付文章更新に対する承認を取得しました。
• 米国におけるイエスカルタの製造所要期間の中央値を(従来の16日から)14日に短縮する、製造プロセス変更に対する承認をFDAより取得しました。
• 当社のパートナーであるArcellxが、R/R 多発性骨髄腫に対するanitocabtagene autoleucel(anito-cel)を評価する第I相試験の最新データをASHで発表しました。フォローアップ期間の中央値は26.5カ月で、データでは、髄外病変を有する患者さんをはじめ、持続的な根強い奏効が示されましたが、無増悪生存期間(PFS)は未達でした。さらに、遅発性神経毒性事象やパーキンソン病様症状は見られませんでした。
• 多発性骨髄腫に関するARC-SparX ACLX-001プログラムに対するオプション行使、既存のanito-celに関する共同研究の範囲をリンパ腫まで拡大すること、および2億ドルの追加出資を含む、Arellxとの共同事業拡大を発表しました。
• domvanalimab共同開発プログラムの更新、および3億2000万ドルの追加出資を含む、Arcus Biosciences, Inc(Arcus)との提携契約改定を発表しました。
• さまざまな種類のがん種を治療する可能性のあるCOM503を含む、非臨床段階にある新規の抗IL-18結合タンパク質抗体の後期開発および商業化について、Compugenとの独占ライセンス契約を発表しました。
企業展開
• Ted Loveがギリアドの取締役に就任したことを発表しました。
• 企業責任および持続可能性に対するギリアドの継続的な取り組みを反映し、ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・ワールド・インデックスに3年連続認定されるとともに、同ノース・アメリカ・インデックスにも初めて認定されました。
• 当社取締役会は、2024年第1四半期の普通株1株当たりの四半期配当は0.77ドルとしたことを発表しました。配当金は、2024年3月15日の営業終了時に登録されている株主に対して、2024年3月28日に支払われます。将来の配当は取締役会の承認を得るものとします。
本プレスリリースでは、一部の金額および割合が四捨五入されているため、係数の総和が一致していない、再計算で数字が合わない場合があります。
電話会議
ギリアドは、太平洋時間2月6日午後2:00に業績説明のための電話会議を開催します。
ウェブでの生配信はhttp://investors.gilead.comでご覧いただけます。また、アーカイブはwww.gilead.comで1年間ご覧いただけます。
非GAAPベースの財務情報
本資料に記載されている情報は、非GAAPと明記されていない限り、米国では一般に公正妥当と認められる会計原則(GAAP)に基づいて作成されています。経営陣は、非GAAP情報をギリアドのGAAP財務情報と併せて検討することにより、投資家に有益な情報を提供できると考えています。これは、経営陣がこのような情報を経営、予算管理、および財務計画を目的として社内で使用しているためです。非GAAP情報は、包括的な会計規則に基づいて作成されたものではなく、GAAPに基づいて報告されたギリアドの業績の理解を補完するためにのみ使用されるべきものです。一般的に、非GAAP財務情報には、買収無形資産償却費、棚卸資産のステップアップ費用、その他通常では想定できない項目やギリアドの事業の基本的な事業状況を反映していない項目を含む取得関連費用、保有株式等の公正価値評価、税法やガイドラインの変更に伴う個別の税金費用や便益などは含まれていません。ギリアドは非GAAP財務情報から買収した無形資産の償却費を一貫して除外していますが、経営陣は、このような無形資産が買収の一部として計上され、継続的な収益創出に貢献していることを投資家に理解してもらうことが重要であると考えています。非GAAP評価指標は、同業他社では異なる定義や計算方法を採用している場合があります。非 GAAP ベースの財務指標と最も直接的に比較できるGAAP基準の財務指標との比較表は、下記の表をご参照ください。
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