Lutikizumab、中等症以上の化膿性汗腺炎成人患者対象の第II相試験の良好な結果により第 III 相臨床試験へ
アッヴィ合同会社
Lutikizumabが中等症から重症の化膿性汗腺炎成人患者さんを対象とした第II相試験で良好な結果を示し、第 III 相臨床試験へと進展
ー 抗TNF療法が効果不十分であった成人の化膿性汗腺炎(Hidradenitis Suppurativa : HS)患者さんを対象に、Lutikizumab(ABT-981)300 mgを毎週(週1回)または隔週で投与した第II相試験のデータでは、16週時のHiSCR 50において、プラセボ群と比較して高い奏効率が示された1,2
ー 副次評価項目である、皮膚疼痛NRS※スコアが3以上の患者さんにおける16週時のNRS30は、Lutikizumab300 mg毎週投与群、または300 mg隔週投与群において、プラセボ群と比較し高い奏効率が認められた1,2
ー HSは慢性的かつ再発性、そして消耗性の炎症性皮膚疾患であり、腋窩や鼠径部などの部位に、しこり、膿瘍、瘢痕(はんこん)を形成することも3,4,5,6,7
ー 本試験は、アッヴィの免疫疾患におけるリーダーシップと、未だにアンメットニーズの高いHS患者さんに対する新たな治療選択肢を研究してきた歴史を反映
※Numeric Rating Scale:数値評価尺度
イリノイ州ノースシカゴ、2024年1月8日(米国時間)-アッヴィ(NYSE: ABBV)は 本日、抗TNF療法が効果不十分であった中等症から重症の成人化膿性汗腺炎(HS)患者さんを対象に、Lutikizumab(ABT-981)300 mgを隔週または毎週投与したところ、主要評価項目である16週時のHS臨床効果(HiSCR 50)の達成率において、プラセボ(35.0%)を上回る奏効率(それぞれ59.5% 名目p=0.027、48.7% 名目p=0.197)を示した第II相試験の結果を発表しました。これらのデータに基づき、アッヴィは、HSを対象にしたLutikizumabの臨床開発プログラムを、第III相試験に進める予定です1,2。
Lutikizumabは、アッヴィが開発中の二重可変領域を有するインターロイキン(IL)1α/1β拮抗薬です。HS 病変においてIL-1αおよびIL-1βが上昇することが研究により示されています8。
アッヴィのsenior vice president 兼chief medical officer global therapeuticsであるRoopal Thakkar, M.D.は次のように述べています。「アッヴィは、診断が難しく、適切な治療が受けられず、苦しむことも多い、化膿性汗腺炎患者さんに対する新たな治療選択肢を追求するため、先駆的な研究を続けています。これらの結果は、中等症から重症の成人化膿性汗腺炎患者さんに対するLutikizumabによる治療について、さらに理解を深めることに役立つものであり、当社は免疫介在性疾患における25年以上の専門知識を生かし、HSに対するLutikizumabの臨床開発プログラムを第III相試験へ進めてまいります」
本試験は、過去に抗TNF療法が効果不十分であった中等症から重症の成人HS患者さん153名を対象に、Lutikizumabの安全性と有効性を評価する16週間の第II相、無作為化、二重盲検、並行群間、プラセボ対照、用量設定、多施設共同試験です。多くの患者さん(70.6%)は、ベースライン時に瘢痕、病変、瘻孔を特徴とする重度のHurley分類III期(HSの最も広範な病型)を有していました。患者さんはベースライン時に、Lutikizumabの3種類の皮下投与(100 mg隔週、300 mg隔週、または300 mg毎週)のうちの1つ、またはプラセボのいずれかに無作為に割り付けられました。本試験の主要評価項目は16週時のHiSCR50達成率であり、副次的評価項目はベースラインNRS3以上の被験者における16週時の皮膚疼痛NRS30達成率でした1。
本試験では、多くの患者さんが重症であったにもかかわらず、主要評価項目で高い奏効率を達成したことに加えて、Lutikizumab300 mgを毎週投与した患者さんおよび300 mgを隔週で投与した患者さんは、プラセボと比較して、NRS30による皮膚疼痛の高い改善率とHiSCR75による高い臨床応答閾値の達成を示しました。Lutikizumab100 mgの隔週投与では、プラセボと比較して、より高い有効性は示されませんでした1。
一部の評価項目結果は以下となります。
【表:https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M102977/202402016081/_prw_PT1fl_OgC5FcON.png】
#層別化係数で調整したコクラン=マンテル=ヘンツェル検定(ベースライン時Hurley分類III期<3および3)
+ p値はすべて名目値
*ベースライン時の皮膚疼痛NRS3以上の患者さんを対象に解析
いずれの用量においても、忍容性は概ね良好な結果となりました。治験薬投与後に発現した有害事象(TEAE)が認められた被験者の割合は、併合Lutikizumab治療群(70.8%)およびプラセボ群(75.0%)で概ね同程度であり、最も多かったのは、併合Lutikizumab治療群で、HS(10. 6%)、下痢(8.8%)、頭痛(8.8%)、そう痒症(6.2%)、接触皮膚炎(5.3%)、湿疹(5.3%)、および鼻咽頭炎(5.3%)でした。重篤な有害事象(SAE)は、併合Lutikizumab治療群の5.3%、プラセボ群の2.5%に発現しました。死亡例および好中球減少症の報告はなく、好中球減少症のグレード3または4の検査結果も認められませんでした。本試験を通じて、Lutikizumab300 mgの隔週投与群に、重篤な感染症(ストーマの感染)が1件報告されましたが、好中球減少症を伴うものではなく、治験責任医師により治験薬との関連性を有する合理的な可能性はないと判断されました。HSおよび継続的な喫煙を含む既往の危険因子を有する患者さんにおいて、T細胞リンパ腫(Lutikizumab300 mg毎週投与群)が、1件報告されました。TEAE、SAE、感染症、または重篤な感染症には、用量依存的な傾向は認められませんでした9。
ボストンのベス・イスラエル・ディーコネス医療センターの研究者(a study investigator from Beth Israel Deaconess Medical Center in Boston)であり、ハーバード大学医学部皮膚科教授(Professor of Dermatology, Harvard Medical School)でもあるAlexa B. Kimball, M.D., MPHは次のように述べています10,11,12。「HSによる患者さんの負担は大きく、診断までの期間の長さ、強い痛み、障害、孤立、生活の質の低下などがあげられます。本試験の結果は有望であり、HS患者さんの新たな治療選択肢に対するニーズに取り組むにあたって、HS 患者さんを対象とするLutikizumabの治療について、より深く理解する助けとなるものです」
本試験の主要評価項目である「16週時のHiSCR 50」は、16週時に膿瘍および炎症性結節(AN)の総数が50%以上減少し、ベースラインと比較して膿瘍の数が増加せず、かつ、膿瘍と排膿性瘻孔の総数が増加しなかった患者さんの割合を示す指標です。同様に「HiSCR 75」は、16週時にANの数が75%以上減少し、ベースラインと比較して、 排膿性瘻孔の数が増加しなかったことを示します。副次評価項目である「16週時の皮膚疼痛NRS30」は、ベースライン時に皮膚疼痛NRSスコアが3以上であった被験者において、患者全体評価に基づき、16週時にベースラインから30%以上減少し、かつ、NRSスコアが1以上減少したことを示します13。
これらのデータは、今後の医学学会で発表される予定です。本試験に関する追加情報は、clinicaltrials.govの識別番号NCT05139602で閲覧することができます2。
化膿性汗腺炎(HS)について
化膿性汗腺炎は、皮膚科医によって時に「反対型ざ瘡」と呼ばれることもある炎症性の慢性、再発性、進行性の疾患であり、痛みを伴う嚢胞、膿瘍、 排膿性瘻孔の形成により、不可逆的な皮膚損傷と障害を引き起こします3,4,5,6,7。 治療法は進歩していますが、治療選択肢は限られています。HSは、世界的に人口の1%が罹患し14 、診断されるまでに平均7~10年かかると言われています15,16。
Lutikizumab(ABT-981)について
Lutikizumab(ABT-981)は、二重可変領域を有するインターロイキン(IL)1α/1β拮抗薬で、HSや潰瘍性大腸炎を含む複数の免疫介在性疾患を対象に研究されています。HS病変において、IL-1αおよびIL-1βが上昇することが、研究により示されています8。 Lutikizumabは治験薬であり、規制当局によって承認されておらず、その安全性と有効性はまだ確立されておりません。
皮膚科領域におけるアッヴィについて
アッヴィは、10年以上にわたり、乾癬、乾癬性関節炎、化膿性汗腺炎、アトピー性皮膚炎などの重篤な皮膚疾患を有する患者さんのために、新たな解決策の発見と治療の改善に取り組んでいます。アッヴィは広範な臨床試験プログラムにより、積極的に研究を続け、皮膚科領域の進化するニーズに適応し、患者さんが治療目標を達成して皮膚疾患を乗り越え生きていけるようサポートするパイプラインの発展を目指しています。
アッヴィについて
アッヴィのミッションは現在の深刻な健康課題を解決する革新的な医薬品の創製とソリューションの提供、そして未来に向けて医療上の困難な課題に挑むことです。一人ひとりの人生を豊かなものにするため次の主要領域に取り組んでいます。免疫疾患、がん、精神・神経疾患、アイケア、さらに美容医療関連のアラガン・エステティックスポートフォリオの製品・サービスです。アッヴィの詳細については、www.abbvie.com をご覧ください。LinkedIn、Facebook、Instagram、X(旧Twitter)やYouTubeでも情報を公開しています。
References:
1.AbbVie Data on File ABVRRTI77645.
2.A Study to Assess Disease Activity and Safety of Subcutaneous Lutikizumab (ABT-981) in Adult Participants With Moderate to Severe Hidradenitis Suppurativa Who Have Failed Anti-Tumor Necrosis Factor (TNF) Therapy. ClinicalTrials.gov. Available at: clinicaltrials.gov/study/NCT05139602 Accessed December 8, 2023.
3.Negus D, Ahn C, Huang W. An update on the pathogenesis of hidradenitis suppurativa: implications for therapy. Expert Rev Clin Immunol. 2018;14(4):275-283.
4.Patel ZS et al. Pain, Psychological Comorbidities, Disability, and Impaired Quality of Life in Hidradenitis Suppurativa [corrected]. Curr Pain Headache Rep. 2017;21(12):49.
5.Chen WT, et al. JAMA Dermatol. 2019 Jul 10.
6.Jemec G. Hidradenitis Suppurativa. N Engl J Med. 2012;366:158-64.
7.Kimball A, et al. Two Phase 3 Trials of Adalimumab for Hidradenitis Suppurativa. New England Journal of Medicine 375.5;2016: 422-34.
8.VanderZee et al British Journal of Dermatology (2011) 164, p1292–98;Kanni et al (2015) PLoS ONE 10(6): e0130522.
9.Tannenbaum R, Strunk A, Garg A. Association Between Hidradenitis Suppurativa and Lymphoma. JAMA Dermatol. 2019 May 1;155(5):624-625.
10.Jemec G. Hidradenitis Suppurativa. N Engl J Med. 2012;366:158-64.
11.Hamzavi HI, et al. J Am Acad Dermatol 2017;77:1038–46.
12.Von der Werth. Br J Dermatol 2001;144:809–13.
13.Assessing the validity and clinical meaningfulness of skin pain response (NRS30) assessed using numerical rating scale in hidradenitis suppurativa: Results from the SUNSHINE and SUNRISE trials. Journal of the American Academy of Dermatology, Accessed December 8, 2023.
14.Egeberg A, et al. JAMA Dermatol 2016;152:429–34.
15.Garg A, et al. JAMA Dermatol. 2018 Jul 1;154(7):814-818.
16.Saunte DM, et al. Br J Dermatol 2015;173:1546–9.
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