ベクルリー(R)、肝機能障害を有する人々に対する投与量調節不要のCOVID-19治療薬として、FDAより承認を取得
2023年9月8日
ギリアド・サイエンシズ株式会社
ベクルリー(R)(レムデシビル)、軽度から重度までの肝機能障害を有する人々に対する投与量調節不要のCOVID-19治療薬として、FDAより承認を取得
-本承認により、ベクルリーの強力な安全性プロファイルを支持されるとともに、 ベクルリーは全ステージの肝疾患に対して承認された唯一のCOVID-19抗ウイルス治療薬に-
ギリアド・サイエンシズ(本社:米カリフォルニア州フォスターシティ、ナスダック:GILD、以下「ギリアド」)は8月24日、米国食品医薬品局(FDA)が、軽度、中等度および重度の肝機能障害を有する人々に対する投与量調節不要のCOVID-19治療薬として、ベクルリー(R)(レムデシビル)の医薬品承認事項変更申請(sNDA)を承認したことを発表しました。本承認により、ベクルリーの安全性プロファイルがさらに支持されるとともに、ベクルリーは全ステージの肝疾患に対して使用可能な最初で唯一の承認された抗ウイルスCOVID-19治療薬となります。
COVID-19による入院患者集団におけるベクルリーの臨床的ベネフィットは、無作為化比較試験、リアルワールドエビデンスおよびメタ解析で裏付けられていますが、肝機能障害を有する患者さんにおけるベクルリーの薬物動態(PK)は、これまで評価されていませんでした。今回の承認は、肝機能障害を有する人々に対する安全性およびPKを評価する第I相試験(GS-US-540-9014)の結果に基づくもので、本試験において新たな安全性シグナルは認められませんでした。これらの結果に基づき、添付文書は、全ステージの肝疾患に対して投与量調節不要とアップデートされました。一方、引き続き、ベクルリーの投与開始前、および投与中にも臨床上の必要性に応じて、全ての患者さんに対する肝機能検査を実施し、アラニントランスアミナーゼ(ALT)レベルが基準値の10倍を超える、あるいは、ALT上昇に伴い、肝臓の炎症を示す徴候・症状が認められた場合、ベクルリーの投与中止を検討することが推奨されています。
米国では、1億人以上が肝疾患に罹患しています。さらに、肝疾患を有する人々はCOVID-19感染リスクが高い集団で、罹患や死亡のリスクも高くなります。現在、重度の肝疾患を有する人々に対するCOVID-19治療選択肢は限られています。
ギリアドのウイルス学治療領域責任者で、上級副社長のフランク・ダフ(Frank Duff, MD)は次のように述べています。「最近、米国ではCOVID-19まん延レベルが上昇しており、肝機能障害を有する人々を含め、感染リスクの高い人々に対するリスクが持続しています。今回の承認は、感染リスクの高い集団に対する注力を含む、ギリアドのCOVID-19に対する継続的な取り組みを示すものです」
マウント・サイナイ・アイカーン医科大学(Icahn School of Medicine at Mount Sinai)Institute for Liver Medicine所長で、肝臓疾患部門医学教授のダグラス・ディートリッヒ医師(Douglas Dieterich, MD)は次のように述べています。「今回の安全性プロファイルのアップデート、および肝疾患とともに生きる人々に対するベクルリーの投与推奨は、COVID-19による合併症のリスク上昇に直面している感染リスクの高い集団にとって重要なことです。COVID-19はもはや公衆衛生上の非常事態ではありませんが、基礎疾患のある人々にとっては脅威であり続けています」
今回の承認は、透析例を含む重度の腎機能障害を有する人々に対するCOVID-19治療薬としてのベクルリーの使用拡大を認める、最近のFDAや欧州委員会(EC)の決定に続くものです。
現在ギリアドが進めている、高いアンメットニーズを有する最も感染リスクの高い患者集団に関する研究は、COVID-19に対するコミットメントの証であり、本承認はさらにベクルリーの安全性プロファイル全体を実証するものです。
GS-US-540-9014試験について
ギリアドは、正常な肝機能を有する被験者、および中等度あるいは重度の肝機能障害を有する被験者におけるベクルリーのPKおよび代謝物を評価する、多施設、非盲検、単回投与、第I相試験を行いました。本試験には、さまざまな程度の肝機能障害を有する被験者、および正常な肝機能を有する被験者が登録されました。内訳は次の通りです。
コホート1:20名(中等度の肝機能障害を有する被験者10名、正常な肝機能を有する被験者10名(対照群)、評価可能例数として各群8名を目標とする)。コホート2:12名(重度の肝機能障害を有する被験者6名、正常な肝機能を有する被験者6名(対照群))。
ギリアドのCOVID-19開発プログラムについて
ベクルリー(レムデシビル)は、ギリアドの10年以上にわたる新たなウイルスに対する広範の抗ウイルス研究の成果を基に創薬・開発されたヌクレオチド誘導体です。本剤は、COVID-19による入院患者さんの標準治療として使われる抗ウイルス薬で、進行リスクが高い非入院患者さんへの治療薬として推奨されています。ベクルリーの安全性プロファイルは確立されており、幅広い集団において、確認されている最小限の薬物相互作用を有しています。ベクルリーは、さまざまな重症度の患者さんの疾患進行抑制および死亡率低下、および患者さんの早期回復を可能にすることにおいて、重要な役割を果たしています。
ベクルリーはSARS-CoV-2ウイルスRNAポリメラーゼを標的とすることにより、細胞内部で直接ウイルス複製を阻害します。in vitro解析において、ベクルリーは、XBB、XBB.1.5およびCH.1.1を含む、最新の懸念されるオミクロン株亜種に対する抗ウイルス活性を保持します。また、EG.5、EG.5.1およびBA.2.86を含む、新たな注目すべき変異株および懸念される変異株に対するベクルリーの評価は継続して行われています。
ベクルリーは、世界50カ国以上で承認されています。現在までにベクルリーおよびジェネリック薬のレムデシビルは、ギリアドのボランタリー・ライセンスを通じて提供された低中所得国における800万人を含め、世界で約1,300万人の患者さんに提供されています。
COVID-19患者さんに向けた新しい効果的な経口治療薬選択肢開発に対する大きなニーズが依然として存在します。ギリアドは、COVID-19治療薬として、経口抗ウイルス薬obeldesivirの開発も進めています。obeldesivirは、ウイルス複製に用いる重要な要素であるSARS-CoV2 RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)に直接作用するヌクレオシド阻害剤です。代謝されると、obeldesivirはベクルリー同様、SARS-CoV2ウイルス複製を阻害する働きを示します。
米国でのベクルリーの適応症
米国におけるベクルリー(レムデシビル 100 mg 注射剤)の適応症は、次の成人および小児患者さん(生後28日以上、体重3kg以上)に対するCOVID-19治療となります。
・入院している
・あるいは、入院しておらず、軽症から中等症のCOVID-19であり、入院や死亡を含むCOVID-19重症化リスクが高い
詳細については、www.gilead.comに掲載されている米国の添付文書(完全版)をご覧ください。
米国におけるベクルリーに関する重要な安全性情報
禁忌
ベクルリー製剤またはそのいずれかの成分に対して臨床上問題となる過敏症の既往歴のある患者には投与しないでください。
警告および使用上の注意
・過敏症(注入に伴う反応とアナフィラキシー反応を含む):ベクルリーの投与中および投与後に、注入に伴う反応やアナフィラキシー反応などの過敏症の発生が報告されています。また、そのほとんどが1時間以内に発現しています。投与中は患者をモニタリングし、臨床的に適切となるよう投与完了から少なくとも1時間は過敏症の徴候や症状がないか観察してください。低血圧、高血圧、頻脈、徐脈、低酸素症、発熱、呼吸困難、喘鳴、血管浮腫、発疹、吐き気、発汗や振戦などの症状が現れることがあります。点滴速度を下げると(点滴時間は最長で120分)、これらの反応を予防できる可能性があります。投与に伴う重度の過敏症が発現した場合、直ちにベクルリーの投与を中止し、適切な治療を開始して下さい(「禁忌」を参照)。
・トランスアミナーゼ上昇リスク:ベクルリーを投与された健常被験者やCOVID-19患者に、トランスアミナーゼの上昇が認められています。COVID-19の臨床所見としてもトランスアミナーゼ上昇が報告されています。全ての患者について、肝機能検査を行ってください(「用法および用量」を参照)。ALTが施設基準値上限(ULN)の10倍を超える場合、ベクルリーの投与中止を検討してください。ALT上昇に伴い肝臓の炎症を示す症状・徴候が認められた場合はベクルリーの投与を中止してください。
・クロロキン・ヒドロキシクロロキンとの併用時の抗ウイルス活性低下リスク:ベクルリーとリン酸クロロキンまたはヒドロキシクロロキン硫酸塩との併用については、細胞培養で拮抗作用が認められ、ベクルリーの抗ウイルス活性が低下する可能性があることから、併用は推奨しません。
副作用
・発現率が高かった副作用(全グレードにおいて発現率5%以上)は吐き気でした。
・発現率が高かった検査値異常(全グレードにおいて発現率5%以上)は、ALT上昇とAST上昇でした。
薬物相互作用
・ベクルリーと併用薬の薬物相互作用を検討するヒトを対象とした試験は行われていません。
用法および用量
・アナフィラキシーなど、重度の過敏症反応の管理が可能な条件下で投与されます。
・投与期間:
O 入院患者の場合、COVID-19の徴候があると診断された場合、早急にベクルリーを投与する必要があります。
O 侵襲的機械換気および/またはECMOを必要としない入院患者の場合、推奨投与期間は5日間です。臨床的改善が認められない場合、投与期間をさらに5日間まで延長でき、投与日数の合計は最高で10日間です。
O 侵襲的機械換気および/または ECMO を必要とする入院患者の場合、推奨投与期
間は合計 10 日間です。
O 軽症から中等症のCOVID-19と診断され、入院または死亡を含むCOVID-19重症化リスクの高い非入院患者の場合、推奨投与期間は合計で3日間です。COVID-19の徴候があると診断された場合、できるだけ早急に、症状発現から7日以内に外来での使用を開始することを推奨します。
O 投与前および投与中の検査:ベクルリーの投与開始前は肝機能検査、プロトロビン時間の検査を行い、投与期間中も、臨床上必要に応じて行ってください。
O 腎機能障害:透析患者を含め、腎機能障害の程度に関わらず、腎機能障害を有する患者に対するベクルリーの投与量調節は推奨しません。ベクルリーは、透析のタイミングとは関係なく投与可能です。
妊婦および授乳婦への投与
・妊婦:ベクルリーに対する妊婦レジストリは確立されています。妊婦に関するベクルリーの使用可能な臨床試験データから、妊娠第2期および第3期の曝露後に、重大な先天異常、流産、あるいは母体や胎児の有害転帰といった、薬剤関連のリスクは特定されていません。また、妊娠第1期中のベクルリー曝露リスク評価のための十分なデータはありません。妊娠中のCOVID-19未治療には、母体や胎児のリスクが伴います。
・授乳婦:ベクルリーは乳汁中へ移行する可能性があります。授乳の発達および健康上のベネフィットは、母体に対するベクルリーの臨床上の必要性や、授乳中の子どもに対してベクルリーが及ぼす有害な影響の可能性と併せて考慮してください。COVID-19患者の授乳については、乳児へのウイルス曝露を避けるための臨床ガイドラインに従ってください。
ギリアド・サイエンシズについて
ギリアド・サイエンシズは、すべての人々にとって、より健康な世界の実現を目指し、30年以上にわたり医療の革新を追求し、飛躍的な進歩を遂げてきたバイオ医薬品企業です。当社はHIV、ウイルス性肝炎、COVID-19、がんなどの生命を脅かす疾患の予防と治療のため、革新的な医薬品の開発に取り組んでいます。カリフォルニア州フォスターシティに本社を置き、世界35カ国以上で事業を行っています。
将来予測に関する記述
本プレスリリースは、1995年「米国証券訴訟改革法」(Private Securities Litigation Reform Act of 1995)で定義される「将来予測に関する記述」に該当し、いくつかのリスクや不確定要素などの要因を含む場合があります。これらのリスク等には、ギリアドがベクルリーの供給や流通を効果的に管理する能力、現在見込まれるタイムライン内に臨床試験を開始、進行、完了するギリアドの能力、またはそれらが全く完了できない可能性、ベクルリーとobeldesivirに関するものを含む進行中または追加の臨床試験から得られた結果が好ましくない可能性、ギリアドがobeldesivirを含むCOVID-19開発プログラムにおいて、開発中の治療薬について、開発中止の戦略的決定を行う可能性、規制当局への申請および関連する申請や承認のスケジュールに関する不確実性、規制当局から承認された場合でも、その使用に著しい制限が課される可能性、医師がベクルリーを処方するメリットを認識しないリスク、および上記のいずれかの根拠となる仮定も含まれます。これらのリスクやその他の不確定要素等については、米国証券取引委員会に提出している、2023年6月30日を期末とするギリアド四半期報告書(フォーム10-Q)で詳細に説明しています。これらのリスク、不確定要素およびその他の要因により、実際の結果が「将来予測に関する記述」で言及されたものと大きく異なる可能性があります。歴史的事実以外の全ての記述は、「将来予測に関する記述」とみなされます。このような「将来予測に関する記述」は将来の業績を保証するものではなく、リスクや不確実性を伴いますので、この記述に過度に依拠しないようご注意下さい。「将来予測に関する記述」は全て、ギリアドが現在入手できる情報に基づいており、ギリアドは「将来予測に関する記述」を更新する義務を負うことはなく、更新する意向もありません。
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