アッヴィとジェンマブ社、再発又は難治性の濾胞性リンパ腫に対するepcoritamabの第I/II相臨床試験結果発表
アッヴィ合同会社
アッヴィとジェンマブ社、再発又は難治性の濾胞性リンパ腫(FL)患者さんに対するepcoritamab(DuoBody(R)-CD3xCD20)を評価する第I/II相EPCORETM NHL-1臨床試験の良好なトップライン結果を発表
・EPCORETM NHL-1臨床試験で得られたepcoritamabのトップライン結果に基づき、アッヴィとジェンマブ社は、世界各国の規制当局と今後の方針を協議予定
・本臨床試験から得られた追加データは、今後開催される医学学会で発表予定
・濾胞性リンパ腫は、非ホジキンリンパ腫の一般的な病型であり、特に再発又は難治性の患者さんに対する治療選択肢が限られた現状
イリノイ州ノースシカゴ、2023年6月27日(米国時間)-アッヴィ(NYSE: ABBV)とジェンマブ社(Nasdaq: GMAB)は本日、開発中の皮下投与のT細胞誘導二重特異性抗体であるepcoritamab(DuoBody(R)-CD3xCD20)を評価する第I/II相EPCORETM NHL-1臨床試験の濾胞性リンパ腫(FL)コホートから得られたトップライン結果を発表しました。この試験コホートには、2回以上の全身療法を受けた再発又は難治性(R/R)の成人FL患者さん128名が登録され、このうち70.3%は抗CD20モノクローナル抗体およびアルキル化剤の二種類の治療に不応な患者さんでした。epcoritamabは、アッヴィとジェンマブ社のがん領域における提携関係の下、両社で共同開発中の薬剤です。
アッヴィの血液がん領域の責任者でvice presidentのMariana Cota Stirner, M.D., Ph.D.は、次のように述べています。「今回のトップライン結果は、再発又は難治性の濾胞性リンパ腫患者さんに対する潜在的な治療選択肢としてのepcoritamabの臨床プロファイルをより強く裏付けうるものであり、このような結果が得られたことに勇気づけられる思いです。これは、パートナー企業であるジェンマブ社と共に、B細胞性悪性腫瘍患者さんに対する、中核となりうる治療法の開発を目指すという、私たちの目標に一歩近づく結果となることでしょう」
EPCORETM NHL-1臨床試験は、epcoritamabの安全性および予備的な有効性を評価する非盲検試験であり、第I相ヒト初回投与用量漸増パート、第IIa相拡大パートおよび第IIa相最適化パートの3つのパートから構成されています。FLコホートから得られたトップライン結果では、独立審査委員会(IRC)判定による全奏効率(ORR)は82%と、治験実施計画書で事前に規定した有効性の閾値を上回りました。観察された奏効期間(DOR)中央値には到達しておらず、追跡調査の延長が必要となります。本コホートにおける前治療回数の中央値は3回(範囲:2~9回)でした。
今回の解析時点では、本試験においてepcoritamabの新たな安全性シグナルは認められませんでした。治験薬投与下で発現した有害事象のうち最も多く認められたのは、サイトカイン放出症候群(CRS)(66.4%、グレード3以上の事象は1.6%)でした。本試験の最適化パートは引き続き、CRSのリスクを低減させることを目的とした代替的ステップアップ投与レジメンの評価を行っており、有望な予備的データが得られています。
本試験から得られたすべての結果は、今後開催される医学学会に提出し、発表する予定です。
第I/II相EPCORETM NHL-1臨床試験について
EPCORETM NHL-1臨床試験は、epcoritamabの安全性評価および予備的な有効性評価を目的とした非盲検、多施設共同試験であり、第I相ヒト初回投与用量漸増パート、第IIa相拡大パートおよび第IIa相用量最適化パートの3つのパートから構成されています。濾胞性リンパ腫(FL)を含む再発、進行又は難治性のCD20陽性成熟B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)の患者さんを対象にepcoritamab皮下投与を評価しました。第IIa相拡大パートでは患者さんを新たに組み入れ、治療選択肢が限られている各種タイプの再発又は難治性(R/R)のB細胞NHL患者さんからなる3つのコホートを設定し、epcoritamabの安全性および有効性をさらに評価しました。用量最適化パートでは、代替的ステップアップ投与レジメンが、グレード2のCRSの発生をさらに抑制し、グレード3以上のCRSのリスクを低減させる可能性を評価しています。拡大パートでは、独立審査委員会判定による全奏効率を主要評価項目、Lugano基準に基づく奏効期間、完全奏効率、完全奏効期間、無増悪生存期間、奏効までの期間などを副次有効性評価項目としました。全生存期間、次治療までの期間および微小残存病変陰性率は副次有効性評価項目として評価しました。
濾胞性リンパ腫について
濾胞性リンパ腫(FL)はBリンパ球から発生するNHLの1つで、通常、低悪性度(進行が緩徐)です1。FLはNHL全体で2番目に多い一般的な病型であり、NHLの全症例の20~30%、欧米におけるリンパ腫の全症例の10~20%を占めています2,3。FLは低悪性度リンパ腫ですが、既存治療では治癒不能な疾患と考えられています4,5。
epcoritamabについて
epcoritamabは、ジェンマブ社の独自技術DuoBody(R)を用いて作製された開発中のIgG1二重特異性抗体であり、皮下投与されます。ジェンマブ社のDuoBody-CD3技術は、細胞傷害性T細胞に選択的に作用し、標的細胞に対する免疫反応を誘導する技術です。epcoritamabは、T細胞上のCD3とB細胞上のCD20に同時に結合するよう設計されており、T細胞によるCD20陽性細胞傷害を誘導します6。
epcoritamabは、2回以上の全身療法後のR/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、非特定型(NOS)(低悪性度リンパ腫に起因するものを含む)および高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)の成人患者さんに対する治療薬として、最近米国において承認されました。この適応は、奏効率および奏効の持続性に基づき、米国食品医薬品局(FDA)の迅速承認プログラムのもとで承認されたものです。この適応に対する承認の継続には、検証試験において臨床的有用性を検証、説明することが条件となります。
epcoritamabについては、2回以上の全身療法を受けたR/R DLBCLの患者さんを対象とした販売承認申請が2022年10月に欧州医薬品庁(EMA)へ提出されました。さらに、2回以上の全身療法を受けたR/R大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)患者さんを対象とした、日本における製造販売承認申請を2022年12月に厚生労働省へ提出しました。欧州連合および日本においてepcoritamabは承認されていません。
アッヴィとジェンマブ社は米国と日本においては、共同で商業化を担い、グローバルにおけるさらなる商業化についてはアッヴィが担当します。アッヴィは、米国および日本以外の海外市場でのepcoritamabの規制当局への申請を今後も年間を通じて行っていく予定です。
ジェンマブ社とアッヴィは、血液悪性腫瘍の複数の治療ラインにおいて、epcoritamabの単剤および併用療法としての評価を継続しています。これには、R/R DLBCL患者さんを対象にepcoritamab単剤療法を評価する第III相非盲検無作為化試験(NCT:04628494)、新たにDLBCLと診断された成人患者さんを対象にepcoritamab併用療法を評価する第III相非盲検無作為化試験(NCT:05578976)、R/R FL患者さんを対象にepcoritamab併用療法を評価する第III相非盲検臨床試験(NCT:05409066)が含まれます。epcoritamabは、新たにDLBCL又はFLと診断された患者さんに対する治療薬としては承認されていません。評価中のこれらの適応に対するepcoritamabの安全性および有効性は確立されていません。詳細はclinicaltrials.govをご覧ください。
がん分野におけるアッヴィについて
アッヴィでは、複数の血液がんの標準治療の変革に取り組むとともに、多様ながん種に対する治験薬の開発を積極的に推進しています。献身的で経験豊富な当社のチームは、革新的なパートナーと協力し、画期的新薬となり得る製品の開発促進に努めています。当社は、世界で最も罹患者が多く、また最も消耗性が高いがん種に対し、20種類を超える治験薬を300件超の臨床試験で評価しています。当社の事業の目的は、人々の人生を豊かにすることです。そのため、患者さんが当社のがん治療薬にアクセスすることができるよう、ソリューションの探求にも取り組んでいます。詳細については、http://www.abbvie.com/oncologyをご覧ください。
アッヴィについて
アッヴィのミッションは現在の深刻な健康課題を解決する革新的な医薬品の創製と提供、そして未来に向けて医療上の困難な課題に挑むことです。患者さん一人ひとりの人生を豊かなものにするため次の主要領域に取り組んでいます。免疫疾患、がん、精神・神経疾患、アイケア、ウイルス、消化器疾患、さらにアラガンエステティックスポートフォリオの製品・サービスです。アッヴィの詳細については、www.abbvie.com をご覧ください。Twitterアカウント@abbvie、Facebook、Instagram、YouTubeやLinkedInでも情報を公開しています。
1.What is Lymphoma. Lymphoma Research Foundation. https://lymphoma.org/aboutlymphoma/nhl/fl/. Accessed June 22, 2023.
2.Ma S. Risk factors of follicular lymphoma. Expert Opin Med Diagn. 2012;6:323–33. DOI: 10.1517/17530059.2012.686996.
3.Luminari S, Bellei M, Biasoli I, et al. Follicular lymphoma—treatment and prognostic factors. Rev Bras Hematol Hemoter. 2012;34:54–9. DOI: 10.5581/1516-8484.20120015.
4.Link BK, Day BM, Zhou X, et al. Second-Line and Subsequent Therapy and Outcomes for Follicular Lymphoma in the United States: Data From the Observational National LymphoCare Study. Br J Haematol. 2019;184(4):660-663. DOI: 10.1111/bjh.15149.
5.Ren J, Asche CV, Shou Y, Galaznik A. Economic Burden and Treatment Patterns for Patients With Diffuse Large B-Cell Lymphoma and Follicular Lymphoma in the USA. J Comp Eff Res. 2019;8(6):393-402. DOI: 10.2217/cer-2018-0094.
6.Engelberts PJ, Hiemstra IH, de Jong B, et al. "DuoBody-CD3xCD20 induces potent T-cell-mediated killing of malignant B cells in preclinical models and provides opportunities for subcutaneous dosing." EBioMedicine. 2020;52:102625. DOI: 10.1016/j.ebiom.2019.102625.
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