カタールW杯に関するアンケート調査結果 【産業能率大学スポーツマネジメント研究所調査】
産業能率大学スポーツマネジメント研究所(所長:中川直樹 情報マネジメント学部教授)は、FIFAワールカップ2022カタール大会直後に、日本代表選手に関する認知度やMVPの投票、森保監督続投の是非等に関する意識調査を、大会直前に実施した1万人アンケートの追跡調査として、全国の1,000人に対して実施しました。
1.日本代表選手に関する調査
【1-1.MVP投票】
1位:堂安律(199票)
・途中出場でゴールを決めたことが試合の流れを変えたと思う。強気のコメントも裏切らなかった!有言実行でしっかりゴールを決められた決定力は賞賛に値するのでは。他選手より絶対的に抜き出ていた!(静岡県60代女性)
・冷静に試合を見ていて判断力も技術もサッカーが分からない私にも凄さが伝わってきた。そして、ずっと冷静に見えていた堂安選手がクロアチアに負けた時に見せた涙でもらい泣きした。(北海道30代女性)
2位:三苫薫(188票)
・三笘の1ミリ、本当にドラマティックだったから。(大阪府40代女性)
・彼の投入後 明らかに日本に流れがかたむいた。 素晴らしいドリブル突破で相手に脅威を与えた。諦めずにボールを追いそれが決勝点となった。(埼玉県20代男性)
3位:権田修一(70票)
・素晴らしいセービングを連発して、日本代表の失点を回避した。(愛知県20代男性)
・ドイツ戦での守り。止めまくった姿に感動したし、あれがなかったら敗退していた。(香川県60代女性)
4位:長友佑都(18票)
・ブラボーというインパクトあるセリフを残し、大会を盛り上げた。(大阪府30代女性)
・元気でみんなを勇気づけたから。(栃木県60代男性)
5位:吉田麻也(16票)
・キャプテンとしての姿勢が良かった。(東京都50代女性)
・ニッポンチームをまとめた功績。守りもしっかりしていて隠れたMVPだと思う。(長崎県60代女性)
参考:一人に絞れない、全員がMVPなど(計50票)
・今回の素晴らしい戦いは、チームの総合力だと思う。みんながMVP。(北海道50代男性)
【1-2.知名度アップ】
1位: 三苫薫 29.0ポイント上昇
2位: 権田修一 25.0ポイント上昇
3位: 田中碧 23.3ポイント上昇
4位: 堂安律 22.1ポイント上昇
5位: 浅野拓磨 16.1ポイント上昇
2. 中継視聴と満足率に関する調査
【2-1.中継視聴・観戦率】
1位:【グループE】日本 2-1 ドイツ 観戦率49.5%
2位:【グループE】日本 2-1 スペイン 観戦率47.9%
3位:【グループE】日本 0-1 コスタリカ 観戦率47.3%
4位:【ラウンド16】日本 1-1(PK 1-3) クロアチア 観戦率45.3%
5位:【決勝】アルゼンチン 3-3(PK 4-2)フランス 観戦率29.2%
【2-2.満足率】
1位: 【グループE】日本 2-1 スペイン 満足率86.2%
2位: 【グループE】日本 2-1 ドイツ 満足率83.6%
3位: 【決勝】アルゼンチン 3-3(PK 4-2)フランス 満足率75.0%
4位: 表彰式 満足率61.4%
5位:【準々決勝】アルゼンチン 3-3(PK4-3)オランダ 満足率59.7%
【3.森保監督続投の是非に関する調査】
続投が望ましい:45.0%
交代が望ましい:5.8%
どちらともいえない:22.2%
わからない:27.0%
結果概要
1. 日本代表選手に関する調査
MVP投票は、大会2得点を挙げた堂安律選手が199票を集めて1位、VARを経て劇的アシストを記録した三苫薫選手が188票で2位、強豪相手にスーパーセーブを連発した守護神・権田修一選手が70票の3位となりました。「ブラボー!」でムードを高めた長友佑都選手が4位、キャプテンとしてチームをまとめた吉田麻也選手が5位と続きました。なお、「一人に絞れない」「全員がMVP」といった意見は50票に及び、チーム一丸での善戦が感動を呼んだようです。
大会前後で知名度を上げた選手は、MVPの上位にも名を連ねた三苫薫選手が1位、権田修一選手が2位、堂安律選手が4位となりました。3位は「三苫の一ミリ」からのゴールを決めた田中碧選手、5位にはドイツ戦で世界的キーパー・ノイアー選手の頭上を抜く勝ち越しゴールを決めた浅野拓磨選手が入りました。
2. 中継視聴と満足率に関する調査
中継観戦率40%超えは日本戦の4試合で、中でも初戦のドイツ戦が1位、決勝トーナメント進出をかけたグループリーグ最終戦のスペイン戦が2位となりました。いずれもW杯優勝経験国との好カードで、前者は日本時間の22時、後者は早朝4時の開始にも関わらず高観戦率となりました。日本戦に続く5位は決勝戦のアルゼンチンvsフランス戦で、こちらも24時開始ながら、観戦率は30%に迫り、最後までの多くの人々がカタール大会に惹きつけられたことを物語っています。
独自の指標「満足率」(視聴数に占める満足数)では、1位の日本vsスペイン戦、2位の日本vsドイツ戦がともに80%を超える驚異的な満足率を記録し、決勝戦の75%を上回りました。メッシ選手が悲願の栄冠を手にした表彰式が4位、5位は観戦率7.2%ながら、コアファンを唸らせた準々決勝の死闘アルゼンチンvsオランダ戦が入りました。ラウンド16の日本vsクロアチア戦も6位につけ、敗れはしましたが十分に健闘が讃えられる試合となったことが窺えます。
3. 森保監督続投の是非に関する調査
昨年末12月28日に森保監督の続投が正式決定しました。大会直後に実施した本調査の結果においても、反対5.8%に対して賛成45.0%、サッカー無関心層を除くと、過半数が「続投が望ましい」とする立場でした。ドイツ・スペイン撃破という前人未踏の金字塔と、奢らない性格の良さが人望を集めており、世論にも配慮した決定といえるでしょう。ただしサッカー観戦の熱心度別に掘り下げると、「普段からサッカー観戦層」では交代が望ましいと考える率が14.6%、「どちらともいえない」と合わせると40%を超えていました。コアなサッカーファンの中には納得していない層も少なくないことから、今後も厳しい目に晒されるプレッシャーに堪えながら、森保監督は高レベルの采配が求められ続けていくことになりそうです。
4. カタールW杯に関するその他の意識調査
森保監督の続投反対派が新監督の候補として挙げた最多得票は、元日本代表の本田圭佑氏でした(12票)。今回のW杯は、本田氏が解説者を務めたABEMAが全試合を無料生中継したことも大きな話題を呼びました。しかし調査データを掘り下げると、W杯を機にABEMAを利用するようになったのは特定の層、すなわち若年層および「普段からサッカー観戦層」が中心であることが明らかとなりました。「ブラボー」の流行についても同様です。日本代表への関心アップや、決勝トーナメント進出を決定づけたVAR(ビデオ・アシスタント・レフリー)の肯定率は年配層の方が高いものの、「普段からサッカー中継を観たくなった」「Jリーグ観戦に行きたくなった」の回答者は若年およびコア層に偏っています。「日本はサッカー強豪国になった」「W杯での目標をベスト8ではなく優勝にすべき」という肯定率は、どの層でも半数を下回っており、多くの国民が日本の実力を過信することなくリアリストと言えます。そのような現状の中、いかにサッカーの裾野を拡げ、日本代表が成長を遂げるか、本研究所では今後も調査を通じて、その動向に注視していきます。
ランキング調査の詳細は、HPをご参照ください。
HP: https://www.sanno.ac.jp/news/pressrelease/press20230106_01.html
【調査概要】
調査方法:インターネットリサーチ
調査期間:2022年12月21日~23日の3日間
調査対象:予備調査対象者の1,000人に追跡調査(地域・性年代構成比は総務省最新推計に準拠)※予備調査は2022年11月9日~11日の3日間、20歳から69歳までの全国1万人に対して実施
調査担当:小野田哲弥(産業能率大学スポーツマネジメント研究所研究員/情報マネジメント学部教授)
集計協力:北村凌匠・原優太・松任勇武(小野田ゼミ)
※「観戦」の定義は回答者に委ねています。ABEMAを含むことに加え、リアルタイムではなく、録画やダイジェストで試合を観た場合も含まれている可能性があります。)
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