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尿酸値が高いと血管の炎症を引き起こす可能性を発見


~ 第51回 日本免疫学会学術集会にて発表 ~

 株式会社 明治(代表取締役社長:松田 克也)および鳥取大学 医学部 再生医療学部門の經遠 智一助教らの研究グループは、尿酸値が高い高尿酸血症の状態で生じる尿酸塩結晶※1が血管の細胞に与える影響に関する研究成果を、2022年12月7日~9日に開催された「第51回 日本免疫学会学術集会」にて発表しました。
本研究により、尿酸塩結晶は血管の細胞の炎症を引き起こし、動脈硬化のリスク因子になり得ることが示唆されました。

<研究成果の概要>
①尿酸値が高い状態が続くと形成される尿酸塩結晶が血管の細胞内に取り込まれ、血管の細胞死が促進され得ることが示唆されました。
②尿酸値が高い状態で生きている血管細胞であっても、炎症に関わる遺伝子の発現量が増加し、炎症反応を引き起こす可能性が示唆されました。

また当社において、尿酸塩結晶を添加した際の血管の細胞の様子をタイムラプス動画※2として撮影したところ、細胞が次々に死滅していく様子が観察できました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202212121075-O4-HB5s7KTC
                     動画内画像例
▶動画リンク  尿酸塩結晶(500 µg/mL)の添加によって血管の細胞が死滅していく様子を観察  
  https://www.meiji.co.jp/movie/corporate/pressrelease/2022/1213_01_urate_crystals.html

 高尿酸血症は関連性がよく知られている痛風だけでなく、今回の研究で着目している動脈硬化や、メタボリックシンドローム、心臓病、腎臓病などといった多くの疾患との関連が報告されています。従って、尿酸値を適切にコントロールすることは、日々の健康維持のために欠かせない重要なポイントであると考えられます。
 当社は今後もお客さまの健康維持のために有益な基礎的研究の知見を発信し、「meijiらしい健康価値」を提供してまいります。 
         
※1 尿酸塩結晶:血中の尿酸が高濃度になり溶けきれなかった一部が結晶化したもの
※2 タイムラプス動画:一定の間隔で撮影した何枚もの静止画をつなぎ合わせ、動画形式にしたもの

<発表内容>
【演題名】
「Direct effects of monosodium urate crystal on human endothelial cells in hyperuricemia」
 高尿酸血症における尿酸塩結晶がヒト血管内皮細胞へもたらす直接的な影響

【背景と目的】
 血中尿酸値が7 mg/dL(=70 µg/mL)を超えた状態は高尿酸血症と呼ばれ、この状態が持続すると血中に溶けきれなかった尿酸が結晶化し、尿酸塩結晶として関節組織に沈着します。尿酸塩結晶がマクロファージ※3の食作用によって細胞内に取り込まれると、これが引き金となって炎症反応が起こり、痛風と呼ばれる激しい痛みをもたらします。高尿酸血症は他にも動脈硬化、メタボリックシンドロームなどのさまざまな疾患との関連が知られており、近年では尿酸塩結晶が血管にも沈着することが報告されています。
 本研究では、高尿酸血症によって生じる尿酸塩結晶が血管の細胞に及ぼす影響を評価しました。

【方法】
 ヒトの血管細胞の培養系に尿酸塩結晶を125 µg/mLまたは500 µg/mLの濃度で添加し、1-3日後の細胞の状態を観察しました。また尿酸塩結晶(125 µg/mL)を添加して3日後、尿酸塩結晶を細胞内に取り込んだまま生きていると考えられる細胞を分取し、遺伝子発現を網羅的に解析しました。

【結果と考察】
・血管細胞に尿酸塩結晶を500 µg/mL添加し1日後に観察すると、細胞内部の状態変化(複雑さの上昇)が確認されました。これは細胞内に尿酸塩結晶が取り込まれた可能性を示唆しています。また、血管細胞の約30%が死滅することが示されました(図1)。

・尿酸塩結晶を125 µg/mL添加した場合では、細胞内部の状態が変化し、尿酸塩結晶を取り込んでいると考えられるものの、500 µg/mL添加時に比べると3日後も多くの細胞が生きていました(図2)。しかし3日後に生きている細胞であっても、遺伝子発現を網羅的に解析したところ、非添加群に比べ、サイトカイン(特に炎症性サイトカイン※4)やケモカイン※5といった免疫・炎症に関連する遺伝子群の発現量が2倍以上に増加していました。これにより血管細胞での炎症反応が引き起こされる可能性が示唆されました。

【結論】
 本研究成果より、高尿酸血症により尿酸塩結晶が血管組織に沈着すると、①血管の細胞死を誘発し血管を損傷させる、②細胞死を起こさないまでも、免疫や炎症に関わる遺伝子の発現量を増加させ、細胞の炎症反応を引き起こす、という2つの側面から血管に直接的な悪影響をもたらし得ることが示されました。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202212121075-O9-I9V0s2dQ
図1:血管の細胞への尿酸塩結晶添加時のフローサイトメーターによる解析結果 (添加1日後)

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202212121075-O11-7H3Da1Ip

図2:尿酸塩結晶添加時(125 µg/mL)のフローサイトメーターによる解析結果 (添加3日後)および網羅的な遺伝子発現変化の解析
 
※3 マクロファージ:白血球の一種で、体内に侵入した細菌等の異物を取り込み消化する作用をもつ細胞。免疫機能の制御に重要な役割を有する。
※4 炎症性サイトカイン:炎症反応を促進する生理活性物質
※5 ケモカイン:免疫に深く関わる白血球の遊走(目的の場所に移動すること)を促す生理活性物質

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