学校でのSDGs教育に増える“企業による出張授業”とは?くら寿司・出張授業『お寿司で学ぶSDGs』に潜入!
2022年8月23日
くら寿司株式会社
くら寿司 ニュースレター2022年8月号
―学習指導要領にSDGsの理念が組み込まれてから約2年―
「現場の負担の軽減」&「しっかり学べるクオリティ」を両立
学校でのSDGs教育に増える“企業による出張授業”とは?
回転寿司を通じて、“海洋問題”や“食品ロス”を学ぶ
くら寿司・出張授業『お寿司で学ぶSDGs』に潜入!
新型コロナウイルス感染症拡大により、様々な生活様式が変化しましたが、変化したのは生活だけではありません。文部科学省は、この未曾有の事態において、子どもたちが直面する課題を主体的に捉え、その解決に向けて自分で考える力を育む教育が一層重要になるとして、2020年度に改定された学習指導要領に「持続可能な開発のための教育(ESD)」の理念が組み込まれました。以降、全ての学校でSDGs教育の導入が推進され、学校独自のSDGsの取り組みや学習プログラムが始まっています。
一方、調査機関の調査によると教育に関わる仕事をしている方で、SDGsを正しく理解している方が24%という結果も出ています。SDGsの指導内容を決めることは簡単ではなく、どのように取り組むべきか、難しい内容までは手が回らないという学校も少なくなく、現場の教員の皆さんの負担が大きいことが想定されます。このような中、教員の方からの企業のSDGsの取り組みを事例として活用し授業を行いたいという要望が増え、現在様々な企業で“出張授業”が行われています。“出張授業”は、企業の社員や専門的な知識を持った社会人が、教育現場に出向いて子どもたちに授業を行う学習プログラムです。“出張授業”では、取り組みの内容を伝えるだけでなく、サービスに関連する独自のワークショップや体験を通して課題に向き合うような工夫がされています。
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回転寿司チェーン「くら寿司」を運営するくら寿司株式会社(代表取締役社長:田中邦彦、所在地:大阪府堺市)でも、学校側よりくら寿司のSDGsの取り組みを授業の題材にしたいとの問い合わせが急増したことを機に、株式会社学研プラスと「持続可能な開発のための教育(ESD)」のための教材を共同開発し、カリキュラム化。SDGsの目標12「つくる責任つかう責任」や目標14「海の豊かさを守ろう」、目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」をテーマに、お寿司という身近な題材から、水産業や食をめぐる課題の解決方法を考える「お寿司で学ぶSDGs」の出張授業プロジェクトを2022年4月から本格的に開始し、全国の小学校で授業を行っています。今年度は全国約40校での実施を予定しておりますが、7月末時点で既に24都道府県123校からお申込みをいただいている状況です。
今回は、当社の出張授業プロジェクトを通じて、学校における“SDGs教育のいま”をご紹介します。
「お寿司で学ぶSDGs」授業とは
・対象:全国の小学4~6年生※小学校以外からの申し込みは受付けておりません。
・実施時間:平日のみ90分程度
・実施費用:無料(一式をくら寿司が負担します)
・専用WEBページ:https://www.kurasushi.co.jp/mirai/school/
※その他概要はHPをご確認ください。
※2022年度の出張授業につきましては、想定を上回るお申込みをいただきました。現在は新規受付を締め切らせていただいております。『2023年度出張授業の募集開始案内』メールは当社webページより登録可能です。
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“回転寿司を通じて、海洋環境や食品ロス問題を学び、考える!”
①くら寿司の取り組みを通じて、“海洋問題“や”食品ロス問題”などを学ぶ!
子どもたちにとって、少し難しい課題である“海洋問題“や”食品ロス問題”などをくら寿司の取り組みを通じて、楽しく分かりやすく学んでいきます。例えば、その一つとして、座学での授業だけでなく、クイズや問いかけをいれることで、参加意欲の向上や理解促進を狙っています。
【実際のクイズ例】
Q. 実は、海にいる魚の種類は、(テキストを表示)14,500種以上います。
その中で、よく食べられている魚は何種類でしょうか?
A. 約500種類です。14,500種の約30分の1にとどまっています。
限りある海洋資源を無駄にしないために、あまり市場には出回らない“低利用魚(未利用魚)”をうまく活用していく必要があります。
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②リアルな魚の模型や漁業現場の映像を活用!
子どもたちにより楽しんで参加してもらうために、本物の魚から型を取るなどリアルさを追求した魚の模型や漁業現場の映像を活用して、授業を実施しています。子どもたちにも人気で知名度が高い、タイ・サーモン・フグから、普段あまり見る機会が少ない低利用魚であるウツボ・シイラ・ニザダイなどを、子供たちに見て触って、体験いただきます。
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③回転レーンと食品サンプルを使ったお寿司屋さんゲームで楽しく食品ロスを学ぶ!
授業の後半では、座学だけでなく「お寿司屋さん体験ゲーム」を実施。実際に店舗で使用している機械式の回転レーンと同様の機材や、リアルなお寿司のサンプルを使用します。子どもたちは、実際に店舗で使用しているICT技術を活用した製造管理システムのように、人気ランキングを参考に、どのネタにどの程度注文が入るか需要を予測して、「作る側」と「食べる側」の両方を体験することで、食品ロスの実態や削減方法について学びます
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※会場の都合等で、機械式レーンの搬入が不可の場合は、手動で操作する簡易レーンを利用します。簡易レーンはシート状のもので、手動で動かすことで擬似的な回転寿司レーンとなります。
<出張授業を受講した子どもたちの声(一例)>
・授業を受けて、自分たちもSDGsな活動をもっとやっていきたいと思った。
・食べ残しがないように、好き嫌いせずにたくさん食べるようにしたい。
・食品ロスがゼロになる未来を作りたいと思いました。
・低利用魚という言葉を学びました。ちょっと食べてみたいと思った。
・食べられてない魚が1万種くらいあるので、自分が料理人になって作ってみたい。
<出張授業をお申込みいただいた先生の声>
・SDGsを身近に感じ、考えるきっかけになったように思います。(大阪府:小学4年生担任)
・魚は子どもたちにとって身近なもので、学習に合っていると思い依頼しました。(石川県:小学4年生担任)
・子どもたちの反応、見ているこちらも楽しくなりました。(和歌山県:小学6年生担任)
・SDGsに関する学習がとても分かりやすく楽しかったです。(福岡県:小学5年生担任)
・子どもたちがSDGsや食品ロスに興味をもっていました。(東京都:小学6年生担任)
・くら寿司の取り組み内容を知り、5年生「水産業」の単元の導入として依頼しました。(北海道:小学5年生担任)
専任講師である広報・マーケティング本部の戸木田と岡本が、未来の漁業や回転寿司のために、子どもたちに伝えたいこととは?
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SDGsの関心高まりにより、学校からの問い合わせが増加。
学研プラス協力のもと、プロジェクトがスタート
岡本)
社会情勢の急激な変化により、SDGsへの関心は年々高まっています。2020年度に改定された学習指導要領でも「持続可能な開発のための教育(ESD)」の理念が組み込まれ、全ての学校でSDGs教育の導入が促進されています。くら寿司では、2010年から天然魚プロジェクトなどはじめ、漁業の持続的な発展に向けて様々な取り組みを行っていたこともあり、いくつかの小学校からご相談をいただいておりました。そこで、株式会社学研プラスの協力で、2021年4月から教材の開発をはじめ、2022年4月に「お寿司で学ぶSDGs」出張授業プロジェクトを本格始動しました。
受付開始後、全国123校から申込!これまで14校で実施!
子どもたちが積極的に自分の考えを発表してくれる姿が印象的
戸木田)
今年度は24都道府県123校から申込をいただき、1学期の間に7都道府県14校で出張授業を実施いたしました。どの学校でも、魚の模型や現場の映像、お寿司屋さんゲームなどのコンテンツを通じ、普段なかなか考えることのない低利用魚や食品ロスの問題について楽しんで考えてくれています。また、自分なりの答えを導き出し、一生懸命発表してくれる姿に感動します。授業後アンケートに「またくら寿司に行ったときに、家族に今日教えてもらったことを言いたいです」と書いてくれていた生徒さんもおり、授業を受けて終わりではなく、伝えていくことの大切さにも気づいてくれていることが印象的でした。
日本の漁業を守る漁業創生にも繋げたい「この授業が、“自分で考え、行動する“きっかけに」
戸木田)
企業の努力だけでは「食品ロス」などの様々な問題を解決することはできません。そのため未来を創る子どもたちにとって、環境問題などの様々な課題に対して自分事としてしっかり考えて、行動することの大切さを知っていただけるきっかけになればという思いで授業を行っています。なかなか子どもたちには難しいSDGsの理念もありますが、ゲームなども交えた、参加型の授業で課題を体感することで楽しく学んでほしいです。また、この出張授業の取り組みが日本の漁業を守る漁業創生にも繋がればと思います。
参考情報:フードロス削減に関する当社の取り組みについて
■「低利用魚(未利用魚)」の活用
くら寿司では、美味しさが世の中に認知されておらず、あまり市場に出回っていない「低利用魚」の活用を進めています。例えば、ハワイでは「マヒマヒ」と呼ばれ高級魚として扱われる「シイラ」や、泥臭いイメージが強いものの、綺麗な海で獲れるものは臭みが少なく、味はマダイやヒラメにも勝るとも言われる「ボラ」などです。当社の充実した加工体制や商品開発のノウハウを生かし、商品化できたことで、今まであまり値が付かなった魚の付加価値が高まり、漁師さんに還元することができています。
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■貴重な海の資源を無駄なく活用する、フードロス削減につながる商品
魚は、寿司ネタにできる部位が限られており、約60%しか使えません。またその中から、寿司ネタには使いにくい端材が出てしまいます。そこでくら寿司では、海の資源を余すところなくお客様に提供したいという思いから、加工やネタ切りの際に出た端材を活用した商品を限定メニューとして提供しています。中には、貴重な部位が混ざっている場合もあるため、知る人ぞ知る裏メニューとしても人気を集めています。
※定番メニューではないため、一部店舗では取り扱いのない場合がございます。
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■ICTを活用した「製造管理システム」の導入
厨房に設置されたパネルの画面に表示されている、「顧客係数」。これは、お客様の滞在時間を3段階で分け、時間の経過ごとに注文する皿数(食べる量)を予想し、係数化して表示しているものです。この予想数値、いわば「お腹の空き具合」を数値化したことにより、厨房におけるスタッフの次の行動が予測しやすくなり、様々なロスを省くことができる非常に画期的なシステムです。この数値をもとに、必要なお寿司の種類と量を予測し、厨房内のパネルから従業員に製造を指示。業務の効率化にもつながっています。従来は、店長の経験や感覚を頼りに、提供するお寿司の種類や量を決めていましたが、個人差があり、精度にばらつきがありました。当社ではこの予測精度を上げるシステムを1998年にいち早く開発し導入。現在は、他社も同様な予測システムを導入しています。これと、寿司カバーに付けたQRタグによって、レーン上の商品の時間を管理する「時間制限管理システム」とを組み合わせることで、情報の見える化が一気に進み、食品ロスの減少に貢献。原価率の低減と安定したコストダウンにつながり、「堅調な財務」を支えるものとして、証券業界からも高い評価をいただいています。
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