サウジでPC建築展開へ『AL SAEDAN BT Powered by AIZAWA』 サウジのアル・サエダンFDと會澤高圧が合弁
2022年7月7日
會澤高圧コンクリート株式会社
サウジでPC建築展開へ『AL SAEDAN BT Powered by AIZAWA』
サウジのアル・サエダンFDと會澤高圧コンクリートが合弁
福島RDMセンターで開発のデジタルPC建築 / コンクリート3DPを技術移転
浪江町でサウジ人技術者の100人研修プログラム
會澤高圧コンクリート株式会社とサウジアラビア王国を代表する大手不動産開発グループ、アル・サエダンのアル・サエダン・フォー・デベロプメント(ASFD:本社リヤド)は合弁会社を設立し、リヤド首都圏におきまして中高級ヴィラ向けのプレストレストコンクリート(PC)構造部材の生産並びに施工事業に本格参入することとなりました。
日本とサウジの戦略的パートナーシップの枠組みを通じて出会った私たちは、コンクリート製ヴィラの構造体に、標準化されたPC部材を全面的に採用し、大量の住宅供給が見込まれるサウジにおいて現場打ちの在来工法に代わる高耐久でクリーンな新躯体工法としてPC建築を広く普及させることを目指します。
同時に、浪江町に建設中の次世代中核施設「福島RDMセンター」で実証が進んでいるデジタルクローン建築やコンクリート3Dプリンターなどについても合弁会社を通じてサウジへの技術移転を進め、外国人労働者に依存しない独創性と生産性を兼ね備えた次世代の施工法をともに確立し、サウジの建設セクターの発展に貢献して参ります。
【動画:https://videos.kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M106750/202207033352/_prw_PM1fl_Ygyd0lqP.mp4】
■合弁会社の概要
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202207033352-O1-ozzA9OFp】
アル・サエダン66.67%、會澤高圧コンクリート33.33%の出資比率で合弁会社『AL SAEDAN BT Powered by AIZAWA』を近く設立、第1期の計画としてリヤド近郊のモドン工業団地に年間およそ600棟分のPC部材製造能力を有する工場を建設致します。
工場の敷地面積は31,360㎡、工場棟の建築面積は7,800㎡の予定。機械設備を含む建設費の一部をサウジの政府系金融機関であるサウジ産業開発基金(SIDF)の融資を活用して今夏にも本格着工し、早ければ23年5月の稼働開始を目指します。
■3つのPC部材で構成される高耐久な住宅スケルトンを供給
サウジ政府が今後10年間に発注を予定しているコンクリートヴィラの総棟数は40万に上ります。私たちはサウジ政府の高い目標に対応するため、柱(Column)、梁(Beam)、スラブ(Slab)の3つの主要構造部材を全てプレキャスト製のPC部材で構成し、現場打ちコンクリートが大半を占めるサウジの住宅市場において高い生産性と施工性、コスト競争力を追求して参ります。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202207033352-O2-D5wB74E3】
住宅用PC構造のイメージ
サウジのヴィラの代表的な延床面積は約300㎡で、1棟を建設するために、柱55㌧、梁30㌧、スラブ150㌧合計235㌧のPC部材が必要となります。建設が始まった新工場では、柱と梁の製造設備を各1ライン、スラブの製造設備を2ライン設置し、2シフト制で年間600棟分の生産を計画しています。
PC部材に使用するコンクリートの設計基準強度は40N/mm2。この性能を安定的に確保するために、当社が設計したモバイル型バッチャープラント(生産能力80m3/時)を日本から輸出して工場内に設置し、現地で選定した材料を用いてコンクリートを生産します。
各部材の断面寸法は、柱を250×750mm、梁を250×500mmの各1種類とし、スラブ幅を750、1000、1250mmの3種類に規格化することで部材の生産効率の向上につなげます。各部材へのプレストレス導入方法は、梁とスラブは工場において部材製作時にPCワイヤー(φ11.1mm)によるプレテンション方式を採用。柱は建築施工時にPC鋼棒(φ23mm)を連結して緊張力を加えて各部材を圧着させるポストテンション方式を採用します。
■非構造部材は軽量で遮音性の高い「iALC」
新設する工場では、非構造系の壁材「iALC」を併せて生産します。セメントと発泡スチロールビーズを骨材とし、少量の水と混和剤で成形した軽量モルタルを厚さ4mmの珪酸塩ボードでサンドイッチにしたセメント系パネルで、外壁用として厚さ200mm、パーティション用として厚さ100mmの2タイプを用意。2シフト制で年間36万㎡、棟数にして約600棟分を生産する予定です。
1㎡当たりの重量が僅か60kgという軽さが特徴で、大型重機を使うことなく簡単にパネル施工をすることができます。車のクラクション相当の100デシベルを人が静かだと感じられる45デシベルに下げる極めて高い遮音性を誇り、空洞ブラックと同等の優れた遮熱性能も有しています。
■福島RDMセンターを舞台に100人のサウジ人エンジニア養成
夏の平均最高気温が37℃ にもなるサウジの建設サイトの施工環境は大変過酷であり、工場で安定的に製造されたPC 部材を現場においていかに効率よく確実に施工するかがPC 工法普及のカギを握ります。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202207033352-O4-7kJ5xYog】
福島RDMセンター完成予想図 23年春開業予定
施工時のPC鋼棒の緊張力管理や出来形検査にMR(複合現実)デバイスや当社独自のデジタルクローン建築などのテクノロジーを用いると共に、サウジ政府によるサウジ国民を対象にした人材能力育成プログラムを活用し、初年度で100名のPC施工エンジニア候補生を浪江町の福島RDMセンターに受け入れ、教育訓練プログラムを実施します。さらに中東協力センターの支援を受けて、教育訓練に使用する模擬PC躯体をRDM内に整備することも計画しています。
■サウジ建設セクターのDXを自らの手で
アル・サエダン・ファミリーは1934年の創業より首都リヤドの土地開発を先導し、商業施設や住宅不動産開発を多数手がけ、2013年にはサウジ初の超高層ビル「Elegance Tower」を開発するなど同国の不動産セクターの発展に永らく貢献して参りました。
ASFD の最高経営責任者(CEO )であるマシャエル・ビン・サエダン氏は創業者アルシャエフ・アブドュラ・モハメド・ビン・サエダン氏の孫にあたる第三世代であり、これまで外国人労働者に依存してきたサウジ建築業界のDX を自らの手で進めたいと2013 年にASFD を設立、在来工法とは異なる生産性の高い建築工法を広く海外にも目を向けて調査研究を進めてきました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202207033352-O6-5PsuN0ZK】
サウジ初の超高層ビル「Elegance Tower」
サウジ政府は2016年4月発表の「サウジ・ビジョン2030」において「住宅プログラム 」を重要政策の一つと位置づけ、『国民に対し、必要性と財政能力に応じた持ち家を所有させることでより良い暮らしを提供。最新建設技術(3D建設技術等)を活用し、住宅及び建設セクターを発展させる』ことを打ち出しました。
こうしたなか、私たちは2019年10月に東京で開催された「第4回日・サウジ・ビジョン2030閣僚会合」並びに「第4回日・サウジ・ビジョン2030フォーラム」におきまして住宅産業のデジタル化などを目的とした覚書(MoU)を締結、サウジの未来建築にかかる共創の可能性について協議を開始し、21年5月JV基本契約を締結致しました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202207033352-O8-9BepLeLi】
日本サウジ両国の閣僚が出席する中、MoUを交換(2019)
同 フォーラムが2016年にスタートして以来、学術分野を中心に様々な協力が進んでいますが、日サの民間合弁事業が具体化するのは今回が初のケースとなります。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202207033352-O10-sr0M8w7u】
■私たちが掲げる7つのミッション
私たちは「AL SAEDAN BT Powered by AIZAWA」を礎として互いの強みを引き出す共創の分野を生産・施工から、教育プログラム、R&D、海外マーケティング等へと発展させ、以下の7つのミッションを達成します。
1.PC建築並びに3Dプリンター等が融合するデジタル化された新建築工法を確立することでサウジの住宅供給の工期を70%短縮します。
2.サウジ人を対象としたエンジニア育成プログラムを、福島RDMセンターを舞台に開発実施し、外国人労働者に依存しないサウジ人による自立した建設手法を確立します。
3.サウジが有する豊富な天然骨材等を活用してコンクリート3Dプリンター用の特殊材料を低コストで開発製造し、グローバルにマーケティングします。
4.MIT(マサチューセッツ工科大学)やTuDelft(デルフト工科大学)との共同開発を推進しているアイザワ技術研究所を軸に、合弁会社を通じてサウジの有力研究機関ともサウジの資源利用等の観点から共同研究を推進し、より国際的な共同研究体制を構築します。
5.顧客の自由なデザインを汲み取り、発注から3ヵ月でゴールに辿り着く、短納期かつデザイン重視のカスタマージャーニーを提供します。
6.2035年までにサプライチェーン排出量の実質ゼロにコミットメントしている會澤高圧コンクリートの脱炭素化技術を合弁会社が包括的に取り込み、NET ZERO 2035を同時に達成します。
7.こうした課題の達成を通じて、2030年までに建設セクターのGDP構成比を2.5%から15%へ大幅に引き上げるサウジ政府の「サウジ・ビジョン2030」に貢献します。
■マシャエル・ビン・サエダンのコメント
「サウジアラビア王国の不動産セクターを発展させてきた長い歴史を持つ一族の3 代目としての責任感から生じる志(Ambition) と情熱(Passion) を持って、今日、私たちは、世界の先進国からその専門知識と才能を伝授してもらい、王国でのコラボレーションを開始します。子供たちにより良い未来を提供するために、世界の国々と融合し、一つの目標のためにサウジの手と世界の専門知識で明日を建設し、統合された人間世界の質を向上させようとしているのです。
私たちのジャーニーは始まったばかり。
私たちは未来なのです(We are the Future)」
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202207033352-O13-9167v7h6】
サルマン国王に拝謁するマシャエル氏
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202207033352-O12-2AzYu5TA】
■會澤高圧コンクリート代表取締役社長 會澤 祥弘のコメント
「我が国の明治期の開国のような熱気を帯びる今日のサウジアラビア王国を舞台に、最高のパートナーに恵まれ、サウジ・ビジョン2030と歩調を合わせながら新たな挑戦ができることに心が躍ります。サウジの建国直後から続くファミリーエンタープライズの歴史は、1935年創業の当社の沿革とも重なるところがあり、ご縁を感じます。サウジを代表する女性ビジネスリーダーがサウジの建設セクターに新たな価値を創造できるよう共に努力を重ねてまいる所存です」
■アル・サエダン・フォー・デベロプメント(ASFD)について
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202207033352-O14-E4c9CGxF】
2013年、マシャエル・ビン・サエダン氏がリヤドで設立した建設デベロッパー。サウジの土地開発に大きく寄与し、商業施設・住宅不動産開発における確固たる地位を確立してきたアブドゥラー・M・ビン・サエダン・アンド・サンズ・リアルエステート・コーポレーションを含むアル・サエダン一族のグループ会社の一角を成す。2018年、IoT企業のノード・インフォメーション・テクノロジー・カンパニーを設立。2019年、住宅建設のラマヤ・コンストラクションを買収し傘下に収める。
CEOのマシャエル氏は英シェフィールド大学でビジネス・ファイナンスと経済学の修士を取得後、米バブソン大学(マサチューセッツ州ウェルズリー)でMBAを取得。現在、リヤド商工会議所のボードメンバーでサウジ政府に豊富な人脈を持つ。
■ 會澤高圧コンクリートについて
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202207033352-O15-xX82wO5w】
1935年、北海道で創業の総合コンクリートメーカー。本社は苫小牧市。Innovate・Challenge・Trust の理念のもと、コンクリートマテリアルと先端テクノロジーを掛け算し、新たな企業価値の創造に取り組んでいる。バクテリアの代謝機能を活用してクラック(ひび割れ)を自ら修復する自己治癒コンクリート(Basilisk)やコンクリート 3Dプリンターなどの新機軸を MIT等の欧米トップ大学との産学協力をテコに多数打ち出し、伝統的な素材産業からスマートマテリアルを基軸とするイノベーション・マーケティング集団へと転換を図っている。
社長の會澤祥弘は中央大学卒後、88年に日本経済新聞社に入社。ニューヨーク特派員などを経て98年に同社入りした創業家の三代目。著書に『老舗イノベーション』(幻冬舎)など。
■プレスリリースのお問合せ先
取締役副社長/社長室長 亀卦川 淳 (080-2863-4118)
常務取締役/アイザワ技術研究所所長 青木 涼 (080-2863-4151)
會澤高圧コンクリート株式会社Webサイト https://www.aizawa-group.co.jp/
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202207033352-O16-vhJ8ni7T】
以上。
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