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金沢工業大学と鹿島がセメント系3Dプリンティングに関する共同研究を開始


研究開発拠点「KIT×KAJIMA 3D Printing Lab」を金沢工大キャンパス内に設置

 学校法人金沢工業大学(理事長:泉屋 吉郎、以下 金沢工大)と鹿島建設株式会社(社長:天野 裕正、以下 鹿島)は、セメント系3Dプリンティングに関する共同研究を開始することに合意しました。
 今後は、金沢工大キャンパス内に設置した「KIT×KAJIMA 3D Printing Lab」を拠点とし、両者の知見を活かしながら、3Dプリンティングによる環境配慮型コンクリートを適用した構造物の具現化に向けて研究を進めて参ります。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202205201494-O1-wpwNnVzc
【背景】
 近年、3Dプリンティングが飛躍的に発展しています。建設分野では、主に海外で研究開発が進められ、セメント系3Dプリンティングにより住宅や歩道橋などが建設されており、国内でも、複数の企業が研究開発に着手しています。セメント系3Dプリンティングはロボットアームの先端からセメント材料を吐出して積層しながら部材を製作するものであり、3Dデータを直接3Dプリンターに読み込ませることで、図面作成から部材製作までの一連の作業をデジタルで完結できるため、型枠組立、コンクリートの流し込みといった人手がかかる従来工法に比べて、省人化・省力化が図れます。このため、建設業界の喫緊の課題である技能労働者不足、生産性向上の解決策として、その効果が期待されています。
 一方、地球温暖化への対応が世界中で求められている中、その一因とされるCO2排出量の削減は建設分野においても急務です。特に主要資材であるコンクリートは、主な構成材料のセメントの製造過程において大量のCO2を排出するため、各機関においてCO2の削減や固定化が可能な環境配慮型コンクリートの開発が進められています。
 このように、建設分野においては、国土交通省が推奨している建設業の省人化および生産性向上のための取組みである「i-Construction」における作業の機械化・自動化に加えて、環境負荷低減という新たな側面からの技術開発が求められています。

【共同研究の実施内容】
 3Dプリンティングに関する検討項目は、最適な材料の選定やロボットの制御のほか、補強材の設置を含めた構造計算や、解析によるシミュレーションなど、多岐にわたります。
 これに対し、土木・建築・機械だけでなく、電気・情報・景観計画といった広い分野において多くの知見を持つ金沢工大と、土木・建築の設計・施工技術や、ロボットなどを活用した施工の機械化・自動化に関する知見を持つ鹿島は、両者の知見や技術を活かしてセメント系3Dプリンティングに関する共同研究を行うこととしました。
 さらに、3Dプリンティングに使用する材料として、鹿島らが開発した環境配慮型コンクリートCO2-SUICOM(※)を適用します。CO2-SUICOMは、コンクリートの製造過程において大量のCO2を強制的に吸収・固定化させることによりCO2排出量をゼロ以下にできる世界初の技術です。
 これらの研究により、3Dプリンティングによる生産性向上に加えて、CO2-SUICOMによりカーボンネガティブを実現する画期的な施工技術の社会実装を目指します。1立方メートルのCO2-SUICOM製品を3Dプリンティングで造形した場合、-18㎏の脱炭素に貢献できます。

 4月1日に、金沢工大の「やつかほリサーチキャンパス」内に「KIT×KAJIMA 3D Printing Lab」を設立、両者で独自開発したノズルを装着したスイスABB社製のロボットアーム式3Dプリンターを設置し、試験製造を開始します。  

【今後の予定】
 金沢工大と鹿島は、3Dプリンティングを建設分野に普及展開するためには、3Dプリンティングによる製作物を公共の場に設置し広く認知してもらう必要があると考えており、地方自治体とも連携した産官学での研究開発を進めます。2023年度には、3Dプリンティングによる製作物を、北陸地方の自治体の公共の場に設置することを目標としています。

(※)CO2-SUICOM®
CO2-Storage and Utilization for Infrastructure by COncrete Materials 
CO2-SUICOM(シーオーツースイコム)は、 中国電力、鹿島、デンカの登録商標です。

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