「お好み焼にまつわるエピソード」エッセイを募集 選者に重松清氏、賞金総額は100万円
2022年3月18日
オタフクソース株式会社
オタフクソース100周年記念企画 『お好み焼にまつわるエピソード』エッセイを募集 選者に重松清氏、賞金総額は100万円
オタフクソース株式会社(本社:広島市西区、代表取締役社長:佐々木 孝富)では、お好み焼にまつわるエッセイを募集しています。応募いただいたなかから50作品を選考し、1冊にまとめます。
当社では、これまでも1998年、2008年、2014年にお好み焼エッセイを募集し、のべ約3,500もの作品を応募していただきました。そのすべてのエッセイに綴られた、さりげない日常にある悲喜こもごもの思い出は、とてもあたたかく、どこか懐かしいものでした。いろいろな時、場所、状況でお好み焼を食べてくださった多くの皆様に、当社は改めて感謝いたしました。
そして、このたび、2022年11月26日に当社が創業100周年を迎えることを記念し、4度目の募集および発行をいたします。選者は重松清氏です。重松氏の作品の魅力には、どこかお好み焼エッセイに通ずるものがあるように感じ、ぜひ読んでいただきたいという思いでお願いしました。また、100周年にちなみ、賞金総額は100万円です。
●お好み焼エッセイ集 応募概要●
テーマ
「お好み焼にまつわるエピソード」
応募内容
1.エッセイのタイトル
2.「お好み焼にまつわるエピソード」エッセイ800~1000文字
3.必要事項(郵便番号、ご住所、お名前(ふりがな)、年齢、メールアドレス、電話番号)
応募方法
【W e b】専用フォーム(https://www.otafuku.co.jp/sp/100thessay)
【E-mail】otafuku100th@okonomiyakiessay.com
【郵 送】〒732-0052 広島市東区光町1丁目8-20 「お好み焼エッセイ事務局」
応募締切
【Web】【E-mail】2022年5月31日23:59まで
【郵送】2022年5月31日 当日消印有効
賞および賞金
重松清賞(3作品)10万円、優秀賞(9作品)5万円、佳作(12作品)1万円、入選(26作品)5千円、お好み焼キッズ賞(小学生以下/ 3作品)図書券5千円分 あわせて、エッセイ集5冊ずつ、オタフク商品詰め合わせを贈呈
選考結果
入賞された方には、2022年7月下旬に、事務局よりメールもしくは電話でご連絡
●選者プロフィール●
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202203178781-O7-45u7Ah2d】
©新潮社
重松 清 氏
1963(昭和38)年、岡山県生れ。出版社勤務を経て執筆活動に入る。1991(平成3)年『ビフォア・ラン』でデビュー。1999年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、同年『エイジ』で山本周五郎賞を受賞。2001年『ビタミンF』で直木賞、2010年『十字架』で吉川英治文学賞、2014年『ゼツメツ少年』で毎日出版文化賞を受賞。現代の家族を描くことを大きなテーマとし、話題作を次々に発表している。著書は他に、『きみの友だち』『せんせい。』『とんび』『かあちゃん』『ポニーテール』『赤ヘル1975』『どんまい』『木曜日の子ども』『ひこばえ』など多数。
これまでに発行したエッセイ集
1作目:日本全国 お好み焼50の顔 いろいろ。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202203178781-O12-7taYT0x0】
2作目:お好み焼 57枚の思い出 あの日、あの味、あの笑顔。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202203178781-O13-9lLAgdY7】
3作目:お好み焼 一枚一会
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202203178781-O14-3GPuD0Tp】
掲載作品ご紹介
祖母の記憶の中で
今年米寿を迎えた祖母に、認知症の症状が出始めた。はやくに夫を亡くし、女手一つで父を育て上げた気丈な祖母だっただけに、その目から抜け落ちた力に周りの人々の落胆は大きかった。
祖母や祖母を囲む皆を元気付けようと、祖母にとってひ孫にあたる娘達を連れて実家に帰った時のことだ。祖母は自分の生んだ息子のことも時々忘れてしまうくらいだから、私のことも分からなくなってしまったかもしれないという恐ろしさも帰省には多少あった。
案の定、久しぶりに見た私に祖母は恭しく頭を下げ、丁寧に初めましてのあいさつをした。
そして、夫に先立たれたこと、苦労したことなど、自分の境遇をはじめて会う人に説明するように話した。覚悟はしていたものの、25年以上一緒に暮らした祖母の記憶の中に、私の影がなくなってしまったことに愕然とするとともに、泣きたい気持ちになった。
その日の夕食。昔から我が家では、私の誕生日に鉄板を囲み、私の好物のお好み焼を皆で焼く習慣があった。私がお嫁に行ってからは、実家でもほとんどお好み焼を焼くことがなくなってしまっていたらしいので、その日は誰の誕生日でもないけれど、久しぶりに祖母を囲んで皆でお好み焼を焼くことにした。祖母はお好み焼を囲むみんなの顔を見回して、終始嬉しそうにしていた。焼きあがってさあ食べようという時、
祖母が
「まだ食べちゃダメだよ。まだ帰ってきてないよ。何回目の誕生日だったっけね。もう5歳になったかね。耄碌して孫がいくつになったか忘れてしまったよ。いけないね」
と笑いながら孫である私の名を呼んだ。祖母の中で私は5歳の孫のままだった。そして、目の前にいる三十路を過ぎた現実の孫の私に、祖母の中にいる5歳の孫の私のかわいさを話し始めた。
私はお好み焼を焼く煙の中で涙を隠すのが精一杯だった。大好きだった祖母にとって私は忘れられてしまった存在だと思っていた。けれど、私は祖母の記憶の中で確かに存在していたのだ。お好み焼を焼く香ばしい香りとその香りや味と一緒に流れている思い出の中に。
~『お好み焼57枚の思い出 あの日、あの味、あの笑顔。』より~
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