ギリアド、開発中のHIV-1カプシド阻害剤 lenacapavirの持続的有効性を支持する新たな臨床データを発表
ギリアド・サイエンシズ株式会社
ギリアド、開発中のHIV-1カプシド阻害剤 lenacapavirについて、 持続的有効性を支持する新たな臨床データを発表
CAPELLA試験およびCALIBRATE試験の1年間のデータにおいて、lenacapavirが複数の治療歴があり、多剤耐性を有するHIV陽性者 および未治療のHIV陽性者に対し、高いウイルス学的抑制率を示す
ギリアド・サイエンシズ(本社:米カリフォルニア州フォスターシティ、ナスダック:GILD、以下「ギリアド」)は2月16日、複数の治療歴があり、多剤耐性を有するHIV陽性者 を対象に、治験中の長時間作用型HIV-1カプシド阻害剤のlenacapavirを評価する進行中の第II/III相CAPELLA試験の1年間にわたる新たな結果を発表しました。これらの結果から、既存治療で効果不十分なHIV陽性者に対して、他の抗レトロウイルス薬との併用療法下でlenacapavirを6カ月ごとに皮下投与したところ、高いウイルス抑制率および臨床的意義のあるCD 4数の増加を達成したことが示されました。高いアンメット・メディカルニーズを有する患者集団において、最適化されたバックグラウンドレジメンとの併用でlenacapavirを投与された被験者の83%(n=30/36)が52週目に検出限界未満のウイルス量(50 copie/mL未満)を達成しました。このデータは、第29回レトロウイルス・日和見感染症会議(オンラインCROI 2022)で発表されました。
イエール大学医学部HIV臨床試験プログラム責任者のOnyema Ogbuag MD, FACPは次のように述べています。「lenacapavirの治療により達成されたポジティブな結果が1年間維持されたことを示すデータが本日発表されたことを、とてもうれしく思います。これは治療選択肢が限られ、エイズに進行するリスクがより高いHIV陽性者の集団にとって素晴らしい成果です。検出限界未満のウイルス量を達成し、維持する年2回投与の長時間作用型抗レトロウイルス療法が選択肢になることは、ウイルスを有する特定の患者さんへのケアに変革をもたらす可能性がある真の進歩となるでしょう」
lenacapavirは、HIV-1感染の治療および予防のためにギリアドが開発中のファースト・イン・クラスの持続性HIV-1カプシド阻害剤です。lenacapavirの多段階作用機序は、現在承認されている抗ウイルス薬とは異なり、HIV-1陽性者またはそのリスクを有する人に対する長時間作用型の治療として新たな選択肢となる可能性があります。ほとんどの抗レトロウイルス薬はウイルス複製の1段階のみに作用しますが、lenacapavirは複製サイクルの複数の段階でHIV-1を阻害し、他の既存の薬物クラスに対する交差耐性も確認されていません。承認された場合、lenacapavirは年2回の投与で作用する唯一のHIV-1治療選択肢となります。
ギリアドのHIVクリニカルディベロップメント・バイス・プレジデントのジャレッド・ビートン博士(Jared Baeten, MD, PhD)は、次のように述べています。「科学的イノベーションの継続は、世界的なHIV感染の終息を助けるために不可欠です。ギリアドは、この疾患による影響を受けている人々や地域社会の多様なニーズや嗜好に応える長時間作用型の選択肢を提供することを目標に、HIV治療を推進することに尽力しています。これらの最新結果は、治療歴に関わらず、複数の治療歴があり、多剤耐性を有するHIV陽性者のニーズを満たすための画期的なイノベーションとしてlenacapavirの可能性を示すものです」
CAPELLA試験の被験者において、高いウイルス抑制率に加え、CD 4数の平均増加値は83細胞/μLでした。過去にオンラインCROI 2021で発表されたCAPELLA試験のデータでは、14日間の機能的単剤療法期に、主要評価項目である臨床的意義のあるウイルス量のベースラインからの0.5 log10 copie/mL以上の減少を達成した被験者の割合は、無作為に割り付けられたプラセボ投与群(n=12)と比べ、lenacapavir投与群(n=24)の方が有意に高いことが示されました(88%対17%、p<0.0001)。機能的単剤療法期において、プラセボ投与群と比べ、lenacapavir投与群では、ウイルスの平均減少量が統計学的に有意な結果を示しました(-1.93 log10 copies/mL vs.-0.29 log10 copies/mL p<0.0001)。
CAPELLA試験において、lenacapavirの忍容性は概ね良好で、52週に治験薬の投与中止に至った有害事象(AE)は1件で、lenacapavirに関連する重篤な有害事象は報告されませんでした。CAPELLA試験でこれまでに認められた主な有害事象は注射部位の反応(63%)で、ほとんどが軽度または中等度でした。注射部位の反応を除く主な有害事象は、悪心および下痢(それぞれ13%)並びにCOVID-19(11%)でした。
ギリアドは、治療歴のないHIV-1陽性者を対象とした現在進行中の第II相、非盲検、実薬対照CALIBRATE試験からlenacapavirの追加臨床データを発表しました。本試験では、最初の6カ月間のlenacapavir皮下投与とエムトリシタビン/テノホビルアラフェナミド(F/TAF)の経口投与の併用後、テノホビルアラフェナミド(TAF)またはビクテグラビル(BIC)またはF/TAF経口投与との併用により、54週までに高いウイルス抑制率が得られました。特に、lenacapavir皮下投与とTAFの併用群において、90%の被験者がウイルス量検出限界未満(<50 copies/mL)を達成しました。lenacapavirとBICの併用群では、85%の被験者がウイルス量検出限界未満を達成しました。lenacapavirの忍容性はおおむね良好で、治験薬と関連のある重篤な有害事象(AE)は認められませんでした。最も多く認められた有害事象は注射部位の反応(ISR)で、おおむね軽度または中等度でした。最も高頻度に報告されたISR以外の有害事象は、頭痛と悪心(それぞれ13%)とCOVID-19(10%)でした。
これらの結果は、他の長時間作用型薬剤との併用療法におけるHIV-1感染症治療薬としてのlenacapavirの進行中の評価とさらなる開発を支持し、ギリアドの長時間作用型経口および注射剤の開発プログラムを推進するものです。
lenacapavirは治験薬であり、いずれの規制当局からも使用は承認されておらず、その安全性および有効性は確立されていません。HIVまたはエイズを治癒する方法は現在のところ存在しません。
CAPELLA (NCT0415068)試験について
CAPELLA試験は、複数の治療歴があり、多剤耐性を有するHIV-1陽性者を対象に、ギリアドの長時間作用型HIV-1カプシド阻害薬lenacapavirを6カ月毎に皮下投与した場合の抗ウイルス活性を評価する第II/III相、二重盲検、プラセボ対照、多施設共同試験です。CAPELLA試験は、HIV-1を有する男女を対象に、北米、ヨーロッパ、アジアの研究施設で実施されています。
CAPELLA試験では、複数クラスのHIV-1治療薬に耐性を示し、既存治療でウイルス量が検出可能な被験者36名は、失敗した現行レジメンに加え、2対1の割合でlenacapavirまたはプラセボに無作為に割り付けられ、14日間の経口投与を受けました(機能的単剤療法)。さらに、別の治療コホートに36名の被験者を追加しました。両コホートとも、最適化されたバックグラウンドレジメンと組み合わせた6カ月ごとのlenacapavir皮下投与の安全性および有効性を評価する現在進行中の維持療法期の一部です。主要評価項目は、現行の失敗したレジメンに加え、14日間のlenacapavirまたはプラセボを無作為に割り付けられた被験者の機能的単剤療法期終了時におけるHIV-1 RNA量のベースラインからの減少量≥0.5 log10 copie/mlを達成した割合としました。
被験者は、lenacapavirまたはプラセボに無作為に割り付けられ、失敗したレジメンを継続しながら14日間の機能的単剤療法を受けた後、非盲検下でlenacapavirおよび最適化されたバックグラウンドレジメンを開始しました。一方、別の投与コホートに登録された被験者は、1日目から非盲検下でlenacapavirおよび最適化されたバックグラウンドレジメンを受けました。現在継続中の本試験の維持療法期では、最適化されたバックグラウンドレジメンとの併用で6カ月ごとにlenacapavirを皮下投与したときの安全性および有効性に関する追加の項目を評価しています。
詳細については、https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04150068をご参照ください。
CALIBRATE試験(NCT04143594)について
CALIBRATE試験は、治療歴のないHIV-1陽性者を対象に、lenacapavirを含むレジメンの有効性および安全性プロファイルを評価することを目的とした、第II相、非盲検、実薬対照試験で、現在、北米、プエルトリコおよびドミニカ共和国の研究施設で実施されています。
CALIBRATE試験では、182名の被験者が4つの治療群にそれぞれ無作為に割り付けられました(2対2対2対1)。第1グループと第2グループは、1日1回F/TAF経口投与の導入療法後、26週ごとのlenacapavir皮下投与を受けました。28週目にHIV-1 RNA量が50 copie/mL未満であった被験者は、lenacapavirの投与を継続しながら、F/TAFをTAFまたはBICに切り替えました。第3グループには、F/TAFと併用してlenacapavirを1日1回経口投与し、第4グループはB/F/TAFを1日1回経口投与しました。本試験の主要評価項目は、54週にウイルス量50 c/mL未満を達成した被験者の割合です。
詳細については、 https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04143594をご参照ください。
ギリアド・サイエンシズについて
ギリアド・サイエンシズは、すべての人々にとって、より健康な世界の実現を目指し、30年以上にわたり医療の革新を追求し、飛躍的な進歩を遂げてきたバイオ医薬品企業です。当社はHIV、ウイルス性肝炎、がんなどの生命を脅かす疾患の予防と治療のため、革新的な医薬品の開発に取り組んでいます。
ギリアドは30年以上にわたり、HIV領域におけるリーディング・カンパニーとして、治療、予防、治癒研究の進歩を推進してきました。ギリアドの研究者たちは、HIV感染のリスクを減らすために、HIV治療における最初の単剤療法や、初めての曝露前予防(PrEP)となる抗レトロウイルス薬など、11種類のHIV治療薬を開発しました。このような医学研究の進歩によって、HIVは何百万人もの人々にとって予防可能な慢性疾患となりました。
世界中のHIV感染者の日々変化するニーズに対応するソリューションを提供するため、ギリアドは引き続き科学的イノベーションに取り組んでいます。また、パートナーシップと連携を通じて、教育の改善、医療へのアクセス拡大および障壁を取り除き、世界中のすべての人々のHIV感染の根絶を目指します。
ギリアドは、カリフォルニア州フォスターシティに本社を置き、世界35カ国以上で事業を展開しています。
ギリアドの将来予想に関する記述
本プレスリリースは、1995年の 「米国証券訴訟改革法」 に記載されている「将来予測に関する記述」に該当し、いくつかのリスク、不確実性などの要素を含む場合があります。これには、ギリアドが現在見込まれている日程で臨床試験を開始、進行、完了する能力、あるいはそれらが全くできないリスク、FDAが現在実施中の臨床試験の差し止めを解除しないリスク、lenacapavirに関するものを含め、現在進行中および追加の臨床試験で好ましくない結果が生じる可能性などがあります。また、ギリアドがlenacapavirの開発中止を戦略的に決定し、結果としてlenacapavirが成功裏に商業化されない可能性、ギリアドがlenacapavirの承認を含む規制当局の承認を適時に取得する能力、あるいはそれが全くできない可能性、また承認されても著しい制限が課される可能性、または、上記のいずれかの根拠となる仮定も含まれます。これらのリスクとその他のリスクについては、米国証券取引委員会(SEC)に提出済の2021年9月30日を期末とする四半期報告書(フォーム 10-Q)に詳細に記載されています。これらのリスクや不確実性、およびその他の要因により、実際の結果が「将来予想に関する記述」と著しく異なったものとなる可能性があります。歴史的な事実以外のすべての記述は「将来予想に関する記述」とみなされる可能性があります。このような将来予想に関する記述は将来の業績を保証するものではなく、将来予想に関する記述に過度に依拠することのないようご注意ください。将来予想に関する記述はすべて、ギリアドが現在入手できる情報にもとづいており、ギリアドは将来予想に関する記述を更新する義務を負うことはなく、更新する意向もありません。
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