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二酸化塩素ガス溶存液 有機物存在下 次亜塩素酸ナトリウム溶液より200倍以上 新型コロナウイルス不活性化


大幸薬品、大阪府立大学との共同研究成果~ 英文医学誌Journal of Hospital Infection掲載 ~

2021年9月27日
大幸薬品株式会社

大幸薬品株式会社(本社:大阪市西区、代表取締役社長:柴田高、以下、大幸薬品)は、大阪府立大学生命環境科学研究科(山﨑伸二 教授)との共同研究成果である、二酸化塩素の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する不活性化効果に関する論文(Title: Chlorine dioxide is a more potent antiviral agent against SARS-CoV-2 than sodium hypochlorite)が、Journal of Hospital Infection (Published: September 15, 2021)で発表されたことをお知らせします。(当該論文への参照Link:https://www.journalofhospitalinfection.com/article/S0195-6701(21)00320-0/fulltext〉

本実験では、特許長期濃度保持型二酸化塩素ガス溶存液 (*1)及び次亜塩素酸ナトリウム溶液の各所定濃度に、有機物としてFBS(Fetal Bovine Serum/牛胎仔血清)の有無下(0%, 0.5%, 1.0%)でSARS-CoV-2液を加え、各時間経過後 (10秒, 30秒, 1分, 3分)に中和し、その溶液をSARS-CoV-2に感受性のある培養細胞(TMPRSS2発現VeroE6細胞(*2))へ接種し、その感染ウイルス量を定量する手法(TCID50法)で、抗ウイルス活性を評価しました。

その結果、低濃度(24 ppm(*3))の二酸化塩素ガス溶存液で10秒間処理することにより、SARS-CoV-2を1万分の1以下に低減できること、0.5%FBS(唾液相当のタンパク質濃度を含むウイルス液1に対して4倍量の30 ppm二酸化塩素ガス溶存液を添加)存在下でも同様の低減効果を発揮できることが明らかとなりました(グラフ)。また1.0% FBS存在下では二酸化塩素ガス溶存液は、次亜塩素酸ナトリウム溶液よりも200倍以上強力に残存ウイルス量を抑え、SARS-CoV-2を不活性化していることを示しています。

SARS-CoV-2はエアロゾル、飛沫、媒介物を通じて伝播する(*4)ため、感染者の飛沫に晒された環境、有機物存在下でのウイルスの不活性化が重要となります。本研究成果は、特許長期濃度保持型 二酸化塩素ガス溶存液が、有機物存在下でも次亜塩素酸ナトリウム溶液と比べSARS-CoV-2をより効果的に不活化することを示しており、COVID-19の制御に役立つことが期待されます。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202109270688-O1-JjUlcc2Z

除菌・消毒に広く使用されている次亜塩素酸ナトリウム溶液は、唾液や血液など有機物存在時には、その抗ウイルス活性が急激に低下すること(*5)、有機物と反応後に発がん性物質のトリハロメタンを生じることが知られています。また次亜塩素酸ナトリウム溶液が、有機物存在下でA型インフルエンザウイルスを99.999%以上不活性化するには、同条件の二酸化塩素ガス溶存液の10倍程度の濃度が必要とされています(*6)。更に院内感染を起こす主な病原体(MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌), MDRP(多剤耐性緑膿菌), MDRA(多剤耐性アシネトバクター))においては、二酸化塩素ガス溶存液は同濃度の次亜塩素酸ナトリウム溶液よりも、強い除菌作用を示すことが報告されています(*7)。二酸化塩素については、SARS-CoV-2の感染を阻止するメカニズムも解明され、二酸化塩素が、SARS-CoV-2のSタンパク質と宿主細胞表面に存在するACE2受容体との結合を阻害する(*8)ことが明らかにされています。また二酸化塩素はタンパク質のチロシン残基とトリプトファン残基を特異的に酸化することで不活性化することが報告されている (*9)ことから、Sタンパク質のACE2レセプター結合ドメインの453番目のチロシン残基を酸化することでACE2との結合阻害が起こる可能性が示唆されています。

大幸薬品では、更なる研究により、安全性・有効性に関するエビデンスを集積し、様々な新興感染症に対する衛生対策での低濃度二酸化塩素の活用を提言してまいります。
 
*1)大幸薬品株式会社製 特許長期濃度保持型 二酸化塩素ガス溶存液 (特許第5757975号)を使用。
*2) TMPRSS2発現VeroE6細胞とは: 国立感染症研究所が開発した新型コロナウイルスを増殖・分離可能な細胞株。
*3) ppmの単位について: ppm(parts per million)は100万分の1という割合を表します。液体では重量比(mg/L=ppm, 1L水=1kgと近似)、気体では体積比を用います。本試験のppmは水溶液での重量比を表します。
*4) Biocides and novel antimicrobial agents for the mitigation of Coronaviruses, Kumar G.D., Mishra A., Dunn L., et al. Front. Microbiol.;11, 1351(2020)
*5) Mechanisms of actions of sodium hypochlorite in cleaning and disinfection processes., Fukuzaki S.,Biocontrol Sci.11, 147-157(2006)
*6) Antiviral effect of chlorine dioxide against Influenza virus and its application for infection control. The Open Antimicrobial Agents Journal., Miura T., Shibata T.2, 71-78(2010)
*7) Chlorine dioxide is a better disinfectant than sodium hypochlorite against multi-drug resistant Staphylococcus aureus, Pseudomonas aeruginosa and Acinetobacter baumannii, Hinenoya A., Awasthi S.P., Yasuda N.et al., Jpn J Infect Dis. 68, 276-279(2015)
*8) Inhibition of the Binding of Spike Protein of SARS-CoV-2 Coronavirus to Human Angiotensin-Converting Enzyme 2 by Chloride Dioxide, Ogata N. and Miura T.,Annals of Pharmacology and Pharmaceutics Volume 5, Issue 5, Article 1195(2020)
*9) Denaturation of protein by chlorine dioxide: oxidative modification of tryptophan and tyrosine residues, Ogata, N. Biochemistry 46, 4898-4911 (2007)


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