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医薬品等の効率的合成を可能にする 触媒の設計に新たなコンセプトを提示


医薬品開発スピードの加速につながる新知見 ―「カルコゲン結合」の活用により触媒の構造を制御―

2021年1月13日

 京都薬科大学薬化学分野の古田巧教授らの共同研究グループは、触媒の構造制御において、非共有結合性相互作用である「カルコゲン結合」を活用するという新たな方法を見いだし、それによって創製された触媒により有用な化合物の合成を達成しました。
 本研究は、医薬品や有機材料等の合成を効率化する優れた触媒の開発につながるとともに、それにより医薬品の製造・開発スピードの加速に寄与することが期待されます。
 本研究の成果は、2020年12月28日(米国時間)に米国の国際学術誌「ACS Catalysis」のオンライン速報版で発表されました。

<触媒について>
 触媒は、医薬品や有機材料などの有用な有機分子の合成を効率化し、短工程での合成を可能にします。そのため、優れた機能を持つ触媒の開発は非常に重要な課題です。触媒の機能は、その構造に依存するため、触媒開発にあたっては「構造をいかに制御するか」が鍵となります。
 触媒のひとつであるロジウム二核カルボキシラート触媒は、通常不活性なC–H結合を活性化させる有機合成上極めて有用な触媒であるものの、その構造中に自由回転する結合を含むため、構造の制御が困難となっています。ロジウム二核カルボキシラート触媒の中でも特に、鏡像異性体を作り分けるために使われる不斉ロジウムカルボキシラート触媒では、触媒構造に高い対称性が要求されますが、その構造制御がしばしば問題となっていました。

<研究概要>
 今回、同グループは「カルコゲン結合」と呼ばれる、非共有結合性の相互作用を用いることで、ロジウム二核カルボキシラート触媒の構造中にある結合の回転を抑制させるとともに、対称性の高い構造に制御された触媒(不斉ロジウムカルボキシラート触媒)を創製することに成功。さらに、その触媒により有用な化合物の合成を達成しました。
 本成果は、触媒設計に「カルコゲン結合を活用する」という新たなコンセプトを示すものであり、有用で高機能な種々の触媒の創製につながると考えられます。これにより、医薬品の効率的な合成や医薬候補物質の開発への展開も期待されます。

<概要図>
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202101139684-O1-xZ51NCO8
<発表雑誌>
雑誌名:ACS Catalysis
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acscatal.0c03689

発表タイトル:Conformational Control in Dirhodium(II) Paddlewheel Catalysts Supported by Chalcogen-Bonding Interactions for Stereoselective Intramolecular C–H Insertion Reactions

著者:村井琢哉1,陸 文傑2,栗林俊文2,森崎一宏2,上田善弘2,浜田翔平1,小林祐輔1,笹森貴裕3,時任宣博2,川端猛夫2,古田 巧1 *
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著者所属:
1京都薬科大学 薬化学分野,2京都大学化学研究所,3名古屋市立大学大学院システム自然科学研究科

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