清涼飲料業界 プラスチック資源循環宣言
一般社団法人全国清涼飲料連合会
清涼飲料業界のプラスチック資源循環宣言
2030年度までにPETボトルの100%有効利用を目指す
お客様、政府、自治体、関係団体等と連携して
一般社団法人全国清涼飲料連合会(東京都千代田区、会長:堀口英樹、以下:全清飲)はPET ボトルなどの容器包装を使用している事業者団体として、プラスチック資源循環や海洋プラスチック対策について「清涼飲料業界のプラスチック資源循環宣言」を発表します。清涼飲料業界が一丸となり、お客様、政府、自治体、関連団体等と連携しながら、2030年度までにPETボトルの100%有効利用を目指すことを宣言いたします。
「混ぜればごみ、分ければ資源」の考え方のもと、資源循環型社会の形成を目指し、海洋ごみゼロ世界の実現に尽力してまいります。
清涼飲料水はライフラインの一つ、水分補給のために重要な商品であり、また近年では熱中症対策など、さまざまな用途で利用されています。喉の渇きを潤すだけでなく、楽しさや癒しなどもご提供しています。その容器は販売に不可欠なものであり、特にPETボトルについては軽量で再栓でき、持ち運びに便利であるとして、多くのお客様から支持されて、生活に根付いています。
清涼飲料業界は、かねてより容器の散乱防止やリサイクルなど3R推進に取り組み、PETボトルの2017年度リサイクル率は84.8%と世界的にも高い実績です。しかしながら、海洋プラスチックが社会問題化するなか、あらためてプラスチックの資源循環に対応すべく「清涼飲料業界のプラスチック資源循環宣言」を制定しました。内容は「清涼飲料業界のプラスチック資源循環戦略に対する基本的考え方」(2枚目に記載)、「清涼飲料業界のプラスチック資源循環宣言」、あわせて、短・中・長期の取組みの方向性となっております。
まずは実施事項として、自動販売機(以下、自販機)での空容器の散乱防止として、自販機の回収ボックスを「自販機専用空容器リサイクルボックス」へ名称を統一するとともに、分別回収を促進するための実証実験を12月中旬より開始します。
有効利用の一つであるボトルtoボトル(5枚目に記載)は2017年度、再生PET樹脂利用量で61.3千トンにまで増えており、5年間で2.3倍に増加。この増加は続いていくと推測されます。
また、社会問題化している海洋プラスチック対策では、発生原因の一つに、容器の散乱やポイ捨てがあり、発生させないための対策として、商品を利用している一人一人のお客様の協力が重要です。環境省が展開する「プラスチックスマート」などの国民運動と連動した啓発活動と、容器包装の分別回収や、ポイ捨てなどの容器散乱防止活動を強化します。
今後は資源循環高度化対策として、再生材の利用拡大や地球環境対策としてのバイオマスプラスチックなど素材開発を短・中・長期の取組み内容を具体化して都度、公開し、実行してまいります。
【清涼飲料業界のプラスチック資源循環戦略に対する基本的考え方】
第四次循環型社会形成推進基本計画(2018年6月19日閣議決定)に基づき、資源・廃棄物制約、海洋ごみ対策等の課題に対応しながら、持続可能な社会の実現のため、清涼飲料業界として、食の安全と技術的可能性及び経済性を考慮しつつ、使用資源の3Rに努め、回収のさらなる向上を推し進めるなど、プラスチックの資源循環を総合的に推進してまいります。
具体的には
・容器の機能性を保持しながら、環境負荷を踏まえた環境配慮設計を推進します。
・関係団体との連携協働により、コスト最小化と資源有効利用の最大化を目指すと共に、
持続的なリサイクルシステムに取組み、回収と再生利用の最適化・増進を図ります。
・持続成長可能な資源循環サイクルに寄与すべく、業界内での再生材利用拡大(ボトルtoボトル等)を推奨します。
・関係団体との連携協議により、まち美化・環境活動のさらなる取組みと、ポイ捨て防止、
再生素材利用製品の積極利用等、 消費者等への啓発活動に取組みます。
【清涼飲料業界のプラスチック資源循環宣言】
清涼飲料業界は、「清涼飲料業界のプラスチック資源循環に対する基本的な考え方」を基に、陸域・海域の散乱問題も踏まえ、お客様、政府、自治体、関連団体等と連携しながら、2030年度までにPETボトルの100%有効利用を目指し、短・中・長期に方向性を定め、プラスチック資源循環に真摯に取組むことを宣言します。
短期(2020年度)として
・国民運動と連動した業界としての啓発活動と広報強化
・3R推進団体連絡会と協力し、第3次自主行動計画の達成
目標2020年度 リサイクル85%以上 リデュース25%(2004年度比)
・自販機専用空容器リサイクルボックスにおけるリサイクル啓発、及び効率的な回収への取組み強化
・環境NGO等ステークホルダーとの連携強化
・再生材利用拡大(ボトルtoボトル等)への課題整理及び推進
・代替素材活用への取組み推奨(バイオマスプラスチック等)
中期(2025年度)として
・国や地域との協働による、より効率的な回収システム構築
・ポイ捨て防止条例強化要請
・再生材・代替素材の積極的な活用推進
長期(2030年度)として
・PETボトル100%有効利用を目指した業界の姿勢・取組み
・世界に誇る日本の回収・リサイクルシステムの価値と根拠を定量的かつサイエンスベースで示し、
諸外国への波及を目指した関係団体との協働
※詳細は全清飲HP「プラスチック資源循環宣言」に掲載しています。
<清涼飲料業界のプラスチック資源循環の取組み>
清涼飲料業界としてプラチック資源循環についてはPETボトルを中心に、かねてから取り組んでまいりました。リサイクルを促進するため1992年に「自主設計ガイドライン」(※1)を設定。翌年には日本初の再商品化施設を設立してリサイクルがスタートしました。さらに同年からPET識別表示マーク(※2)にて、消費者へPETボトルであることを啓発して、リサイクル意識を高めていきました。2001年には自主設計ガイドラインを改定、リサイクル性を高めるため、着色PETボトルとアルミキャップを廃止。PETボトル、キャップ、ラベルについて100%再生可能なものになっています。
プラスチック資源循環のため第3次自主行動計画を推進しており、リデュース(軽量化)は2004年度比2020年度25%に対して2017年度は23.9%、リサイクル率は85%以上を維持の目標に対して2017年度は84.8%となっています。このリサイクル率は世界に比べて高く、例えば米国では20.1%(2016年度)、欧米では41.8%です。
(リサイクル率・リデュース率は、PETボトルリサイクル推進協議会 年次報告書2018より)
※1.自主設計ガイドライン:PETボトルリサイクル推進協議会が中心となって、リサイクルを促進するために定めたもの。現在は2018年1月の改訂版が参照されています。
※2.識別表示マーク:指定表示品目 のPETボトルに表示することが義務づけられたもの。
※3.2010年度からリサイクル率を目標に設定、それ以前は回収率でした。
<清涼飲料業界の容器散乱防止への取り組み>
空き容器ごみの発生抑制については、全清飲をはじめとする飲料6団体として食品容器環境美化協会(現 公益社団法人 食品容器環境美化協会 以下、食環協)を1973年より立ち上げて取り組みを続けています。1981年には右の統一美化マーク採用、自販機などに掲示するなどしています。
食環協の主な取り組みとしては、「アダプト・プログラム」(※4)の普及推進事業、「環境美化教育優良校等表彰事業」があります。「アダプト・プログラム」の普及推進事業では、1998年より活動の普及推進を開始。その結果、多くの活動がスタートし17年12月に全国の自治体へ行ったアンケートの調査の結果、アダプト・プログラム導入は実施自治体が381市町村、プログラム数約530、参加団体約3,000、活動者数は250万人以上となっています。この活動を推進していくために アダプト活動団体を支援するため助成事業を実施しており、2017年度までの累計で約350団体に対して助成を行ってきました。
「環境美化教育優良校等表彰事業」では、2000年より全国の小・中学校の中から、環境美化活動に独創的・継続的に取り組む学校を表彰して地域の環境美化を支援し、2017年度までに累計1,147校へ表彰を行いました。
これらの活動を通じて、散乱防止の為の啓発等、環境教育に注力しています。
※4.アダプト・プログラムとは、一定区画の公共の場所において、市民が清掃美化を行い、行政が支援することで両者のパートナーシップのもと美化を進める活動のこと。
<自販機での散乱防止対策 2018年12月から>
1.自販機専用空容器リサイクルボックスへ名称統一
目的:業界の内外に向けてリサイクルをするための回収ボックスであるということを啓発していきます。
2.分別回収への取組
目的:回収ボックスの中には、さまざまな”ごみ“などの異物が混入しています。入りきらなかったための容器の散乱や、異物により回収品の品質が悪くなりリサイクルを阻害することもあります。現状打破のため実証実験にて、散乱防止につながる分別回収に取り組んでまいります。
【実証実験内容】
実施時期:2018年12月~2019年2月中旬、場所:東京都内
実験内容:PETボトル専用・缶びん専用のリサイクルボックスを2個、設置する。
容器の入口に「PET ボトル専用入口」「缶びん専用入口」を明記。
消費者啓発ステッカーを貼付(分別回収および散乱防止のお願い)する。
検証方法:リサイクルボックス内の異物混入実態を調査、実験実施後に散乱状況、
異物混入状況を確認する。
ステッカーイメージ
(参考)自販機の「自販機専用空容器リサイクルボックス」の設置については全清飲が1998年12月に制定した「自販機自主ガイドライン」において、自動販売機により清涼飲料水を販売する場合に遵守すべき基準の中で定めています。容器の入口は一般ごみが入りにくい形状とすること、原則として1台に1個の割合で自販機の脇や周辺に設置することなどを、明記しています。
<PETボトルのボトルtoボトルの取組み>
使用済みPET ボトルの循環型リサイクルであるボトルtoボトルは2017年度、再生PET樹脂利用量で61.3千トン、前年度比6.7%(※5)増加しています。PETボトルへの再利用は新たな原油の使用を削減し資源循環リサイクルとしての貢献が期待できます。
PETボトルは「ポリエチレンテレフタレート」という単一の素材からできており、再生PETとしての利用価値が高いのです。PETボトルの他にも食品用トレーや卵のパック、カーペットやユニフォームなどにも利用されています。
PETボトルの再生循環イメージ
PETボトルの再生循環イメージ
※5.上記のグラフは四捨五入しており、2016年度は57.46千トン、2017年度は61.33千トンです。この数字から前年度比を出しています。
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