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目覚めと体内リズムの重要性 『目覚め方改革プロジェクト』設立記念メディアセミナー実施レポート


2018年10月5日



目覚め方改革プロジェクト



『目覚め方改革プロジェクト』設立記念メディアセミナー

目覚めと体内リズムの重要性

~起きている時間を有意義に過ごすために~

実施レポート



 睡眠の大切さを知り、健康的で活動的な毎日を過ごせる環境を作ってほしいとの想いから、久留米大学医学部 神経精神医学講座 内村直尚教授が中心となって立ち上げた「目覚め方改革プロジェクト」。プロジェクトの発足を記念し、去る2018年8月29日(水)に「目覚めと体内リズムの重要性 ~起きている時間を有意義に過ごすために~」と題したメディアセミナーを東京・八重洲で開催いたしました。



 本セミナーでは、はじめにプロジェクトリーダーの内村直尚教授が、当プロジェクト発足の背景にある現代社会の睡眠問題についてご説明いたしました。続いてプロジェクトメンバーの東京家政大学人文学部 心理カウンセリング学科 岡島義准教授が、睡眠の役割や睡眠不足が健康・生活に及ぼす影響を解説いたしました。同じくプロジェクトメンバーの明治薬科大学 リベラルアーツ 駒田陽子准教授は、睡眠における体内リズムの重要性やより良い眠りのための快眠メソッドについてお話しいたしました。最後に、当プロジェクトの協力企業である大塚製薬株式会社 只野健太郎氏が、睡眠のリズムを改善することで健康に寄与する可能性のある食品成分の説明をいたしました。



 睡眠リズムの乱れや、質・量の低下によって心身に不調を感じる人が増加傾向にある昨今、当プロジェクトでは「スッキリ目覚めるためにはどうしたらよいか」という新しい視点から、睡眠の役割や体内リズムを整えることの重要性に対する認知を高める情報を随時発信してまいります。



【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/201810058848-O1-RWvP5uSH 】岡島義准教授、内村直尚教授、駒田陽子准教授(左から)



講演1 「『目覚め方改革プロジェクト』設立」について

久留米大学医学部 神経精神医学講座 内村 直尚 教授

体内リズムの乱れによる睡眠問題が増加している現代日本 日本人の睡眠時間は諸外国の中で最も短く、成人の5人に1人は睡眠に何らかの問題を抱えています。睡眠不足や不眠は昼間の眠気や倦怠感につながるだけでなく、仕事の能率の低下や産業事故を招く要因となったり、生活習慣病やうつ病・認知症などの疾患の誘因になったりすると言われています。

 睡眠問題を引き起こす原因には、不安・ストレス、心身の疾患、アルコールなど様々なものがありますが、中でも注目を集めているのが体内リズムの乱れです。夜でも明るい24時間社会の現代日本では、体内リズムの乱れによる睡眠障害が増えてきていると考えられます。最近では働き方改革が叫ばれていますが、就労時間が長時間に及ぶことも少なからず睡眠時間の短縮を招いています。また、日本では労働者の20%程度が交替制勤務であり、こうした働き方が体内リズムの乱れにつながっていきます。さらに、LEDやスマートフォンなどによる夜の明るい光環境やストレスなどがあると、ますます睡眠障害が助長されてしまいます。



体内リズムを整え、スッキリとした目覚めを得ることがパフォーマンス向上につながる 睡眠は量や質だけでなく、リズムも大切です。リズムをしっかり整え、睡眠と目覚めの習慣をルーティーン化することが日々のパフォーマンスの向上につながると考えられます。夏休みになると普段よりも起きるのが遅くなりリズムが乱れやすくなりますが、それを予防するのに有用なのが朝のラジオ体操です。夏休みのラジオ体操は、子どもたちの健康を守る一つの方法だと考えられます。

 私たちが開発した3次元型睡眠尺度(3DSS)チェックシートを使えば、誰でも簡単に自分自身の睡眠の量や質、さらに位相(リズム)を評価できます。スッキリした目覚めは睡眠のリズムと深く関わっており、起きている時間に高いパフォーマンスを発揮するためには、朝の目覚め方と体内リズムが重要となります。このことを広く発信していくために、「目覚め方改革プロジェクト」を設立いたしました。

 今後、当プロジェクトでは、Webサイトなどを通じて睡眠の重要性に対する理解を広め、スッキリ目覚めるためのヒントとなる情報を発信していきます。



【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/201810058848-O2-cIJCBgvn



講演2 「睡眠の基本、睡眠の乱れによる健康問題と生活への影響」について

東京家政大学人文学部 心理カウンセリング学科 岡島 義 准教授

「疲れたから眠る」のではなく「眠るからパフォーマンスが上がる」 私たち専門家はテレビなどで睡眠の必要性を訴えていますが、それを見ている人たちは「短時間睡眠でパフォーマンスを上げる方法を知りたいのに、なぜもっと睡眠をとれと言うのか」と感じています。これは、睡眠の役割を受動的なものと捉え、「活動して疲れたから眠る」と考える人が多いためだと思われます。しかし、睡眠科学の分野では「眠るからこそパフォーマンスが上がる」という研究結果が示されており、睡眠の役割は能動的なものであるというのが専門家の認識です。

 私たちは眠りにつくと、まずNon-REM(ノンレム)睡眠という深い睡眠に入っていきます。ノンレム期には成長ホルモンなどが分泌され、カラダのメンテナンスや記憶の固定に重要な役割を担っていると考えられています。入眠から時間が経過すると徐々にREM(レム)睡眠という段階に入っていきます。レム期では夢見体験が多く、記憶の固定や感情の整理などがレム睡眠の役割だと考えられています。



睡眠不足は心身の健康や日中のパフォーマンスに大きな弊害をもたらす このように心身の状態を整えるのに重要な睡眠ですが、睡眠が不足すると風邪を引きやすくなったり、高血圧や肥満の割合が増加したり、2型糖尿病の発症リスクが上がったりと、健康に様々な影響をもたらすことが分かっています。また、睡眠不足は抑うつ感を高める一方、レム睡眠の出現があると幸福感が高まり不安感が減少するという研究結果があります。

 睡眠不足はこのように様々な問題を招きますが、慢性的な睡眠負債に陥っていると眠気を自覚しにくいことから、会社や学校に休まず来ているけれどパフォーマンスが非常に低下した状態(プレゼンティズム)にある人が多くいると考えられます。17時間連続覚醒した状態ではビール中びん1~2本を飲んだ状態と同等であり、酒気帯び運転に相当するパフォーマンスしか発揮できないという報告もあり、酒気帯び運転と違って罰則がない点は非常に大きな問題です。

 睡眠不足による日本の経済損失は、年間で約15兆円と試算されています。たばこの害による経済損失が約2兆円超と推計されているので、睡眠不足の影響力がいかに大きいか分かるかと思います。睡眠不足は問題が顕在化しにくいですが、能動的に睡眠をとることが経済損失の抑制につながると考えられます。充実した一日を過ごすためには、睡眠の役割を正しく認識することが重要です。



【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/201810058848-O3-ZjzVg0CS



講演3 「体内リズムの重要性 -睡眠負債とソーシャル・ジェットラグ」

明治薬科大学 リベラルアーツ 駒田 陽子 准教授

カラダに備わる体内時計が睡眠のリズムを調整している 少しの睡眠不足が日々蓄積し、心身に様々な悪影響をもたらすことを表す「睡眠負債」という言葉が注目され始めています。睡眠負債は休日に寝だめすることで返済できると思われがちですが、実はそうではありません。なぜなら、私たちのカラダには体内時計が備わっており、この体内時計が睡眠をはじめとする様々な生理現象を調整しているからです。

 体内時計は24時間より少し長い周期を持っています。しかし、地球の1日は24時間の周期なので、社会生活を送るには体内時計をその周期に合わせなくてはいけません。体内時計は光によって調節される仕組みを備えており、朝に強い光の刺激を目から取り入れると体内時計がリセットされ、体内リズムが前進します。逆に、夜に光の刺激を受けると体内時計が夜型化し、体内リズムが遅れてしまいます。特にスマートフォンのブルーライトは、体内時計に強く作用すると言われています。



体内リズムを乱し、健康や生活に悪影響をもたらす「ソーシャル・ジェットラグ」 現代人の体内リズムを乱す要因として、近年研究が増えてきているのが「社会的時差ボケ(ソーシャル・ジェットラグ)」です。例えば、平日は0時に寝て6時に起きる人が、休日は2時に寝て10時に起きるとすると、平日と休日の睡眠時間の中央値の差が3時間ということになり、日本にいながらにして時差ボケのような状態に陥ってしまいます。ソーシャル・ジェットラグが大きいほど肥満や生活習慣病のリスクが高く、抑うつ症状が強いことが研究によって明らかになっています。また、ソーシャル・ジェットラグの影響は翌週の前半まで及び、パフォーマンスを低下させることが分かっています。

 昼間のパフォーマンスを高く保ち生き生きと過ごすには、カラダのリズムを整えることが大切です。そのためには、休日でも就寝・起床の時間を一定にし、普段から十分な睡眠時間を確保するようにしましょう。バランスの良い食事や適度な運動、ストレスを溜めない生活も、より良い眠りやスッキリした目覚めにとって大切ですし、どういった食品が睡眠の質や目覚めに良い影響を与えているのかという研究が多くなされているなか、最近では食品由来成分を摂取することによって朝の目覚めや日中のスッキリ度が良くなるといったエビデンスも確認されています。量や質だけでなく、リズムも意識して睡眠を見直していただければと思います。



【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/201810058848-O4-sgNI7PU2



講演4 「『目覚め方改革プロジェクト』への協力にあたって」

大塚製薬株式会社 ニュートラシューティカルズ事業部

サイエンスコミュニケーション担当課長 只野 健太郎 氏

体内リズムの改善に役立つ食品成分「アスパラプロリン」 健康を維持するためには、睡眠・食事・運動のバランスが取れた生活を送ることが重要であることは言うまでもありません。しかし、食事や運動に気を付ける人は多い一方、睡眠はそれほど重要視されていないというのが現状です。私ども大塚製薬では、食事と運動に加えて睡眠も心身の健康を支える柱の一つであると考え、睡眠の問題にアプローチしています。

 睡眠の問題を引き起こす要因は様々ですが、睡眠問題の根底にある体内リズムの乱れから改善を図る新しいアプローチで睡眠問題を解決しようと考え、研究開発を行ってきました。その中で、アスパラガスを加熱・酵素処理することで睡眠問題の解決に役立つ、通称「アスパラプロリン*1」が生じることが明らかになり、この成分に着目しました。



アスパラプロリンの摂取で睡眠リズムの改善や日中のパフォーマンス向上が期待できる 土日が休日の日勤者で、ソーシャル・ジェットラグがあると判定された健康な男女を対象に、アスパラプロリンを含む食品を1日1回摂取してもらったところ、アスパラプロリンを含まない食品を摂取した場合と比べて休日の朝寝坊が改善されるという結果が得られました。また、アスパラプロリンを摂取した場合は目覚め感や睡眠の質、休日明けの心の健康に改善が認められました。これらの結果から、アスパラプロリンを摂ることで睡眠と覚醒のリズムの改善や、幅広い健康ベネフィットが期待できると考えられています。

 また、アスパラプロリンを摂取することによる日中の作業効率への影響を調べたところ、アスパラプロリンを含む食品を摂取した場合で、覚醒度の指標となるPVT*2反応時間が短縮することが分かりました。このことから、アスパラプロリンには日中の仕事のパフォーマンスを向上させる作用も期待できるのではないかと考えられます。

 起きている時間を有意義に過ごすためには、朝のスッキリとした目覚めからスタートする覚醒と適切な睡眠リズムを両立したライフサイクルを作ることが重要です。「目覚め方改革プロジェクト」の協力企業として、睡眠の重要性に対する認知の向上と健康的で活動的な毎日を過ごせる環境作りへのお手伝いを通じて、皆様の健康維持・増進のお役に立てればと思っております。



*1 アスパラガス由来含プロリン-3-アルキルジケトピペラジン(シクロ(L-ロイシル-L-プロリル)、シクロ(L-フェニルアラニル-L-プロリル)、シクロ(L-チロシル-L-プロリル)として)

*2 日中の覚醒度や作業能力の指標となる検査(Psychomotor Vigilance Task;PVT)



【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/201810058848-O8-4Ga1634M



当日の会場の様子【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/201810058848-O7-H93PG9J6



【プロジェクト概要】

名称:目覚め方改革プロジェクト

設立:2018年8月29日(水)

目的:目覚め方および体内リズムを整えることの重要性を啓発する

プロジェクトメンバー:内村 直尚(久留米大学 医学部 神経精神医学講座教授)

           駒田 陽子(明治薬科大学 リベラルアーツ 准教授)

           岡島 義 (東京家政大学 人文学部 心理カウンセリング学科 准教授)

協力:株式会社アミノアップ/大塚製薬株式会社/

   特定非営利活動法人健康経営研究会/株式会社バスクリン ※五十音順 

活動内容:

・情報発信のプラットフォームとして、WEBサイト「目覚め方改革プロジェクト」 を開設および運営

・睡眠や体内リズム研究の専門家から「目覚めと体内リズムの重要性」に関する情報を発信

〔プレスリリース、コラム(WEBサイト内月1回更新予定)、セミナー開催など〕



【プロジェクトメンバー 略歴】

プロジェクトリーダー

内村 直尚 (うちむら なおひさ) / 久留米大学 医学部 神経精神医学講座教授 

久留米大学医学部卒業。久留米大学大学院医学研究科修了(医学博士)後、Oregon Health Science University 留学。久留米大学医学部神経精神医学講座 講師、准教授を経て、2007年4月より久留米大学医学部神経精神医学講座 教授。2011年4月~2013年3月久留米大学病院 副院長。2012年4月より久留米大学高次脳疾患研究所所長兼務、2013年4月より久留米大学医学部長を務め、2016年10月より同大副学長兼務。



駒田 陽子 (こまだ ようこ) / 明治薬科大学 リベラルアーツ 准教授

早稲田大学 文学部 心理学専修 卒業。早稲田大学大学院 人間科学研究科 博士課程修了・人間科学博士。日本学術振興会特別研究員、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所特別研究員、東京医科大学 睡眠学講座 准教授 などを経て、2017年より現職。



岡島 義 (おかじま いさ) / 東京家政大学 人文学部 心理カウンセリング学科 准教授

日本大学文理学部心理学科卒業。北海道医療大学大学院心理科学研究科博士課程修了(博士〔臨床心理学〕)。公益財団法人神経研究所附属睡眠学センター研究員、東京医科大学睡眠学講座兼任助教、医療法人社団絹和会睡眠総合ケアクリニック代々木 主任心理士、早稲田大学人間科学学術院助教などを経て、2018年より現職。



【目覚め方改革プロジェクト WEBサイト】  

URL:   http://mezame-project.jp/



「目覚めスッキリコラム」 Vol.02を公開しました

 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所

 松本 悠貴 先生



『「3DSSチェックシート」で

  あなたの睡眠習慣が明らかに。

   “良い睡眠”は「位相(リズム)」も大切!』





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