女性の健康向上レターvol.1『「かかりつけ婦人科医」を持って、 婦人科をもっと身近な存在に』
大塚製薬株式会社
「更年期」を前向きにすごすために
「かかりつけ婦人科医」を持って、
婦人科をもっと身近な存在に
■「メノポーズ週間」10周年を迎えて。
10月18日は「世界メノポーズデー」です。国際閉経学会では、更年期の女性の健康や更年期に対する社会的な理解を深めてもらうために10月18日~24日の一週間を「メノポーズ週間」と定めて、さまざまな普及活動を行っています。今年は、この活動を始めてからちょうど10年目を迎えます。更年期とは、閉経、すなわちメノポーズを挟んだ10年間のことで、おもに45歳から55歳頃を指します。この時期は、家庭環境や自分を取り巻く周囲の環境が変ることに加え、卵巣機能が低下する時期でもありますので、様々な精神的、身体的症状が自覚されて参ります。また、卵巣機能の低下は、骨粗鬆症や脂質異常症等、高齢期の女性に特有な疾患の発症とも密接に関連していますので、この時期をどのように過ごすかは女性にとって重要な問題です。さらに、高齢化社会を迎えたわが国において、以前にも増して更年期以降の女性の健康問題への関心が高まって参りました。このような背景から、更年期の医療の進歩を目的として設立された「日本更年期医学会」は2011年に「日本女性医学学会」へと名称が変更されました。
これは、女性の一生を通じて、女性特有の病気を予防的観点からトータルにケアをして女性の健康を守るという、時代の流れを反映してのことです。今後とも、さらなる女性の健康支援のため、学会としても日々邁進していきたいと考えています。
■体のことをなんでも相談できる「かかりつけ婦人科医」を持ちましょう。
妊娠中に血圧が高かったり、あるいは尿糖が陽性となった妊婦さんは将来、高血圧や脂質異常症などの生活習慣病のリスクが高まることが知られています。これらの生活習慣病は更年期以降に急増していきますので、更年期をどのように過ごしていくかは、その後の健康管理をきちんと行なう上で大変重要です。また、更年期にはエストロゲン欠乏によって、ほてりや発汗、冷え、不眠などの症状に加え、いらいら、うつ、不安等の精神神経症状も多発します。したがって、更年期を上手にのりこえ、健やかに年を重ねていくためには、小さなことでも気楽に、気軽に相談できる自分に合った「かかりつけ婦人科医」を持っておくことをおすすめします。最近では、産婦人科も「レディースクリニック」のように名称が変わってきて、以前に比べて産婦人科の受診への敷居は下がってきているのではないでしょうか。自分と相性の良いかかりつけ医を見つけて、自分の健康管理を委ねてください。なお、女性医学学会のホームページには、女性のヘルスケアの専門医・専門資格者の一覧が掲載されていますので、参考にしてみてください(日本女性医学学会ホームページ:http://www.jmwh.jp/)。
■更年期症状は人それぞれです。つらい症状を我慢していませんか?
更年期というのは、頭痛や肩こり、ほてり、のぼせ、だるさ、むくみなどの、いわゆる「不定(ふてい)愁訴(しゅうそ)」と呼ばれる主観的な症状が少なくありません。不定愁訴の感じ方には個人差があり、同じような症状を持っていても、あまり感じない方がいる一方で、つらい症状を我慢している方もいます。一般的に、更年期症状の治療にはその要因によりホルモン補充療法、漢方療法、向精神薬療法、あるいはカウンセリング等の治療法が用いられますが、症状が軽い、あるいはあってもあまり気にならない場合には、サプリメントを取り入れてみてはどうでしょうか。たとえば、大豆イソフラボンの代謝物であるエクオールは女性ホルモンと似た働きをする成分で、なんだか調子が悪い、ぼーっとしてしまうといったことが続くときには効果があると言われています。また、エクオールは骨量の減少や、ホットフラッシュ、メタボリックシンドローム、肌の老化への作用が期待できるという研究報告がされています。症状が気になり、日常生活に支障を来す場合には治療が必要ですので、我慢せずに婦人科を受診してください。我々も身近な存在になるために活動しています。
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<プロフィール>
水沼英樹先生
福島県立医科大学 ふくしま子ども・女性医療
支援センター長、日本女性医学学会理事長
1975年 群馬大学医学部卒業。1983年に医学博士を取得。群馬大学産科婦人科教授を経て、2001年弘前大学大学院医学研究科 産科婦人科学講座 教授に就任。定年退職後2016.4月より現職。また、2006年からは日本女性医学学会理事長(旧日本更年期医学会理事長)を務めている。
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